豪州中銀議事録(9月5日開催分)(2017/9/19)

豪州中銀の金融政策の議事録内容を一部抜粋

豪州中銀議事録(9月5日開催分)(2017/9/19)

豪州中銀議事録 (出所:豪州中銀HPから)

豪州中銀の金融政策の議事録内容を一部抜粋してお送りします。

(議事録要旨)
委員達は改善続ける労働市場を念頭におきながら議論を始めた。7月の雇用は更に上昇した。参加率は高まり、失業率は5.6%で安定的に留まっている。フルタイムの雇用は前年から強い状態で上がり、時期によってはパートタイムの雇用を上回る程となった。委員達は2016年末から、州を越えての労働市場改善を確認した。先行きの指標をみても労働市場は改善していくことを示唆している。また委員達は参加率の影響について議論したが、これは退職を遅らせる年長の女性たちによる参加率の改善と見られることを確認した。

雇用はクイーンズランド州や豪州西部地区で相対的に改善の度合いが大きく、以前の貿易停滞や鉱山関連投資減少による雇用低下を相殺した形となっている。クイーンズランド州の成長についてはここ数四半期で強まっており、企業投資・消費の伸びが挙げられる。対称的に人口の伸びは平均以下となっており、これは海外からの移民が低いことを反映している。

委員達は今後10年程度の豪州東部の産業活動についても議論した。鉱山活動や商品価格のサイクル、あるいは関連産業や建設の持続的成長に関してはクイーンズランド州の進展に係っていると見ている。教育や訓練セクター部門の増加する貢献によって、海外からの需要に応えられるからである。とりわけニューサウスウェールズ州やビクトリア州に依存している。製造業の下降気味だった流れは当時東部から全ての州に広がったからである。

賃金価格指標は6月末期の数値をみて、依然低い数値に留まっていることを確認した。その他のデータは…企業の新たな雇用契約は現状の契約よりも下回っていることを示している。これらのデータに基づき、中銀見通しでも賃金の伸びがこれから暫くは低いことを確認している。先々は労働市場の改善に沿ってゆっくりと賃金が上昇していくと見ている。

委員達は住宅関連について簡単に議論した。豪州全体で、2000年代央からの10年間は人口の伸びが住宅の伸びを上回っていた。最近は逆転現象になっている。住宅投資は高水準だけれども、ビル建設は低下傾向で、居住用建設も明らかにピークは過ぎたようだ。特に豪州西部地区では住宅投資が著しく減少した。住宅投資の持続的上昇度合いは期待できないけれども、ニューサウスウェールズ州やビクトリア州では依然高水準を維持していくと思われる。2017年の住宅価格の伸びについては緩やかになっている。しかし、メルボルンでは依然高いままである。

非鉱山関連産業は6月末期に上昇が期待されている。稼働率や先行きの投資状況指標は更に上昇することを示唆している。非居住者用ビル建設は上昇している。中銀としても非鉱山関連産業は先行き上昇すると予想している。

鉱山関連は6月末期には低下することが予想されている。しかし緩やかなものになろう。2017年・2018年も低下を予想している。公共投資はインフラ整備などで上昇を見込んでいる。

(金融市場に一部略)

為替市場において、米ドルは貿易加重平均で幾分下落した。米国選挙前よりはドル安になっている。しかしながら、2014年のFRBバランスシート拡大期の終わりと比較するとまだドル高水準である。貿易ベースで、円とユーロは8月に対照的な動きをした。後者は2014年レベルまで回復した。豪ドルの8月は、対米ドルでも貿易加重平均でも、あまり変化なかった。2017年の豪ドル高は大きく言えば米ドル安の反映となっている。

金融政策のスタンスを考えるに、委員達は次の点を確認した。世界経済は2016年以降強くなっている。労働市場は引き続きタイトになり、先進国の成長は予想よりも高くなっている。賃金やインフレは一般的に緩やかなままであり、コアインフレも低い。

豪州経済は2016年と2017年はトレンド以下になっているが、国内経済活動はポジティブであり、先行きは徐々に上昇していくと予想している。委員達は鉱山関連セクターも暫くすると回復していくと見ており、これは成長に歓迎できるものと見ている。

雇用は幅広く改善し、鉱山関連投資の減少は少なくなっており、鉱山関連投資ブームの終焉調整が終わりに近づいていると見ている。これが底固い雇用を促すだろう。ひいては家計収入を拡大し、先行きの消費拡大に繋がるだろう。委員達は成長シナリオのリスクとして、家計債務の拡大が家計収入以上になっていることは認識している。しかしながら、雇用改善、それに伴う賃金の緩やかな上昇、インフレの上昇等に成長が上向き、加えて低金利がこれらを支えてくれると見ている。

最近の豪ドル高…幅広い意味で米ドル安…は国内経済成長のしかかり、インフレ圧力を緩和してしまう。一層の豪ドル高は成長やインフレを低下させる結果に繋がる。

利用できるあらゆるデータを勘案し、低インフレ下における家計債務のリスクを勘案する必要あるが、委員会は現行の金利水準を据え置きに維持し、これが経済成長やインフレ目標達成に繋がると判断した。

委員会は現行の1.5%のキャッシュレートを据え置いた。
(要旨は以上)

(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。

豪ドル/米ドルは議事録公表前0.7990米ドル付近で推移していましたが、公表後は0.7960〜65米ドルまで小幅安となり、現在は0.7980米ドル付近で推移しています。内容的にはこれまでの議事録と大差なかったので、相場への影響は限定的でした。

(9月19日16時30分、1豪ドル=0.7981米ドル)

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