ユーロ8営業日連続の高値更新、1.1300目指す動き
昨日ベルリンでドイツのメルケル首相が学生たちに向けて「ドイツの貿易収支を黒字化させている要因はECBの政策による弱すぎるユーロと原油安」と述べた事からユーロは再び買い優勢となりました。同日にブリュッセルで開かれたユーロ圏財務相会合では、ギリシャへの支援融資をめぐりユーロ圏側諸国とIMF(国際通貨基金)はギリシャの債務削減策において合意に至らず、議論を来月に先送りする事となりましたが、この圧倒的にユーロにとってはネガティブな材料も、メルケル首相の発言にかき消された形です。
メルケル首相の発言がユーロ高誘導を意識したものとも思えない中で、昨晩の市場の材料の取捨選択は結果としてユーロの基調の強さを象徴するような展開となりました。
この流れを受けて本日の東京市場でもユーロは1.12台前半で底堅く推移、欧州序盤になりいったん小幅下げたもののすぐに上昇基調に転じ、早々に昨日高値を上回る1.1268をつけ、これで8営業日連続前日高値を上回ることが確定、ユーロの強気は本日も継続しています。日中ドル円は大きく動かなかったことからユーロ円も125円台の乗せての取引です。
先ほど夕刻に発表されたユーロ圏の5月製造業PMIは57.0と事前予想56.5を上回り、同時に発表されたドイツのIFO企業景況感指数も予想以上の数字、引き続き域内の経済好調を裏づけました。これを受けて序盤の欧州株価指数先物はほぼ全域で上げており、ユーロは昨年の米大統領選直後のドル急落でつけた対ドル1.1300を目指す動きとなっています。
ユーロドルの1.1300到達はほぼ時間の問題と考えられますが、つけた後はさすがにここまでほぼ一本調子で上げてきただけに、一旦は調整があるものと思われます。ただ、相場に勢いがありかつ大きな政治的、経済的な変化をベースにした資金の流れの変化ですので、調整後は再びブレグジット前の高値1.1428、2016年高値の1.1616あたりを目指す可能性も否定できません。
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