ドル円の急落続きトルコリラ円は5営業日続落、28日午前は反発気配
〇トルコ円、ドル円と共に本日未明4.43へ急落、午前序盤は4.37近辺へ反発
〇対ドルでのリラ安継続感と円高の両面から売り圧力がかかりやすい状況
〇対ドル、11/27は概ね34.76から34.43の取引レンジ、4営業日連続で終値の史上最安値更新
〇カラハン中銀総裁、インフレ低下のための引き締め継続を強調
〇4.34割れからは4.32前後への下落を想定
〇4.38超えからは4.39、4.40を順次試す上昇を想定
【概況】
トルコリラ円の11月27日は概ね4.42円から4.34円の取引レンジ、28日早朝の終値は4.36円で前日終値の4.42円から0.06円の円高リラ安だった。
トランプ次期政権を巡る人事や関税強化方針等による先行き不透明感と日銀の12月追加利上げへの警戒感に加え、ユーロやポンド等が反騰して米大統領選後に積み上がってきたドル買いポジションが感謝祭を前に売に転じたことでドル安優勢の流れとなったため、ドル円は27日午前の153円近辺から28日未明に150.46円へ2円を大きく超える急落に見舞われた。トルコリラ円もドル円の急落により28日未明に4.43円へ急落して11月15日早朝高値4.56円以降の安値を大幅に更新した。
ドル円は151円割れに対する売られ過ぎ感から28日午前序盤に151.50円超えへ戻し、トルコリラ円も4.37円近辺へ反発している。
ドル円は11月19日安値を割り込んで11月15日午前高値156.74円からの下落が二段目に入り、26日移動平均や一目均衡表の26日基準線等を割り込んで下落規模が7月3日高値から大幅下落した当初に近い印象だ。トルコリラ円も同様に26日移動平均及び26日基準線を割り込んでおり、5日連続の日足陰線による下落規模は7月3日高値4.98円から9月16日の史上最安値4.10円(ベンダーによっては4.05円や4.11円等)へ下落した時に近い規模となっている。
トルコリラは27日に対ドルで取引時間中及び終値の最安値を更新しており、年末にかけてのリラ安継続感が増しているため、トルコリラ円には円高とリラ安の両面から売り圧力がかかりやすい状況と思われる。
【ドル/トルコリラは取引時間中の最安値更新と共に4営業日連続で終値の史上最安値を更新】
ドル/トルコリラの11月27日は概ね34.76リラから34.43リラの取引レンジ、28日早朝の終値は34.62リラで前日終値の34.61リラから0.01リラのドル高リラ安だった。
11月15日に取引時間中の史上最安値を34.69リラへ大幅に更新した後は最安値更新を回避していたが、27日は34.76リラへ最安値を大幅に更新し、日足終値ベースでも22日から27日へ4営業日連続で最安値を更新した。
トランプ次期政権による外交・経済政策、とりわけ関税強化見通しによりトルコの輸出産業への影響も懸念されてリラ売りが優勢となっている印象もある。
大手メディアは トルコ中銀の高官が「当局は時間の経過とともに外国為替市場への介入を減らす予定であると国際投資家に語った」と報じた。中銀はコメントを控えているが、リラ安防衛のための介入が緩んでいることで史上最安値更新へ進んでいるとの見方もできる一方、リラの下落率よりもトルコのインフレ率が高いため、キャリートレード的には低金利通貨で資金調達して高金利・高インフレのトルコで運用するという動きが活発化しているために介入を手控える姿勢としたという見方も可能だ。
【カラハン中銀総裁、引き締め継続を強調】
トルコ中銀のカラハン総裁は27日にイスタンブール工業会議所(ISO)会合において、インフレ低下のため金融引き締め政策を維持することに注力していると述べた。
総裁は「予想されるディスインフレの道筋に必要な引き締めを確保する水準に政策金利を設定する」とし、「インフレの全体的な傾向は改善しているが、予想よりも緩やかに進んでいる」、「月間インフレ率が顕著に低下することが確実になるまで引き締め姿勢を維持する」と述べた。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月20日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして22日午後から26日夕にかけての間への下落を想定してきたが、27日午前時点では直近のサイクルボトムを25日午前安値としてすでに底割れから新たな弱気サイクル入りしているとみて28日午前から12月2日午前にかけての間への下落を想定した。
28日未明へ急落してから戻しているものの乱高下が続く可能性もあるため、4.38円を超えないうちは一段安余地ありとし、4.38円超えからは強気サイクル入りの可能性ありとみて28日午後から12月2日午後にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では20日夜高値からの下落基調が続く中で遅行スパンの悪化と先行スパンからの転落状態が続いているため遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、急落後の反動高が継続する可能性もあるので遅行スパン好転からは高値試し優先とする。ただし、先行スパンに届かないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開とする。
60分足の相対力指数は28日未明に20ポイントを割り込んでから40ポイント台へ戻しているため、50ポイント超えからは50ポイント台中盤への上昇を想定するが、55ポイント以上は反落警戒とする。30ポイント割れからは下落再開として20ポイント割れを再び試すとみるが、相場が一段安する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられる場合は反騰注意とする。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.34円を下値支持線、4.38円を上値抵抗線とする。
(2)4.38円以下での推移中は一段安余地ありとし、4.34円割れからは4.32円前後への下落を想定する。4.32円以下は反騰注意とするが、下げ足が速まる場合は4.31円や4.30円を順次試して行く下落を想定する。
(3)4.38円超えからは4.39円、4.40円を順次試す上昇を想定するが、4.39円以上は反落警戒とし、その後に4.35円を割り込むところからは下落再開と一段安を想定する。
【当面の主な予定】
11月28日
16:00 10月 貿易収支確報 (9月 -51.3億ドル)
16:00 11月 経済信頼感指数 (10月 98)
20:30 週次 外貨準備高 11/22時点 グロス(11/15時点 940.9億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 11/22時点 ネット(11/15時点 590.6億ドル)
11月29日
16:00 7‐9月 GDP 前期比 (4‐6月 0.1%)
16:00 7‐9月 GDP 前年同期比 (4‐6月 2.5%)
12月2日
16:00 11月 イスタンブール製造業PMI (10月 45.8)
12月3日
16:00 11月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (10月 2.88%)
16:00 11月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (10月 48.58%)
16:00 11月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (10月 1.29%)
16:00 11月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (10月 32.24%)
注:ポイント要約は編集部
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