ドル円見通し 米大統領選後のドル高・米長期債利回り上昇の一巡感で円高加速、151円を割る(24/11/28)

ドル円、夕刻に152円を割り込み、27日夜の米経済指標発表を挟んで若干の乱高下を経て28日未明に150.46円まで安値を大幅に引き下げた。

ドル円見通し 米大統領選後のドル高・米長期債利回り上昇の一巡感で円高加速、151円を割る(24/11/28)

米大統領選後のドル高・米長期債利回り上昇の一巡感で円高加速、151円を割る

〇昨日のドル円、夕刻に152円を割り込んだ後、米指標発表を経て本日未明150.46まで下落
〇トランプ・トレードによるドル高一巡感と米長期債利回り低下が下げ足速める
〇本日の米休場等を控え、大統領選後のドル買いポジションの整理売りが集中した印象
〇米PCEデフレーターは前月から上昇、四半期ベースでは低下
〇151.70超えからは反騰継続とみて152円前後への上昇を想定
〇150.46割れからは149円台後半への下落を想定

【概況】

ドル円は米トランプ次期政権の財務長官人事やメキシコ・カナダ・中国に対する関税強化政策による先行き不透明感から26日夜への下落で11月19日夕安値153.28円を割り込み11月15日高値156.74円からの下落が二段目に入ったが、トランプ・トレードによるドル高一巡感と米長期債利回り低下により下げ足を速めて夕刻に152円を割り込み、27日夜の米経済指標発表を挟んで若干の乱高下を経て28日未明に150.46円まで安値を大幅に引き下げた。

11月27日の米経済指標はまちまちだったが、インフレ指標の10月PCEデフレーターが前月を上回りインフレ低下傾向が鈍い印象を与える一方、新規失業保険申請件数が改善して労働市場の底固さを示した。
ドル円の下落は27日早朝からは2円を大きく超え、先週末からは4円を超える急落となったが、27日夕刻から28日未明にかけてユーロドル、ポンドドル等が急伸しており、28日の米感謝祭休場と29日のブラックフライデーを控えて米大統領選後のドル買いポジションの整理売りが集中した印象だ。
ドル円の日足チャートでは上昇トレンドの重要支持線となる26日移動平均や一目均衡表の26日基準線を割り込んでいるが、下落規模は7月3日からの下落時に近い印象だ。

【米PCEデフレーターは前月から上昇、四半期ベースでは低下】

米商務省による7〜9月期GDP改定値は年率換算前期比2.8%増となり速報値と変わらず市場予想と一致した。4‐6月期の3.0%を下回っているものの前期比プラスは10四半期連続。
個人消費は3.5%増で速報の3.7%増から下方修正され、輸出も7.5%増で速報の8.9%増から下方修正されたがいずれも前期を上回り堅調な水準とし、設備投資は3.8%増へ速報の3.3%から上方修正された。
四半期ベースのGDPデフレーターは1.9%(速報1.8%)、PCEデフレーターは2.3%(速報2.3%)、コアPCEデフレーターは2.1%(速報2.2%)だった。
米労働省による新規失業保険申請件数は11月23日までの週間で前週比2000件減の21万3000件となり予想の21万6000件を下回って3週連続の改善だった。失業保険受給者総数は11月16日までの週間で190万7000人となり前週から9000人増加したが市場予想の190万8000人をわずかに下回った。
米商務省による10月耐久財受注は前月比0.2%増となり予想の0.5%増を下回ったが、9月の0.4%減から改善した。

MNIインディケーターズによる11月のシカゴ購買部景況指数は40.2となり10月の41.6から低下して市場予想の44.0を下回った。
米商務省による10月個人消費支出(PCE)は前月比0.4%増で9月の0.6%増を下回ったが市場予想の0.3%増を上回った。インフレ指標のPCEデフレーターは前年同月比2.3%となり9月の2.1%を上回ったが市場予想と一致し、エネルギーと食品を除いたコア指数も2.8%で9月の2.7%を上回った。
労働市場及び米景気全般が概ね底固く、インフレ低下傾向が鈍い印象だが、12月17-18日開催の次回FOMCにおいては利下げ見送りの可能性も指摘されつつ0.25%利下げ期待が5割を上回っている。

【米長期債利回りの低下続き、ダウは6日ぶり反落】

11月27日の米長期債利回りは総じて低下した。感謝祭を控えて債券買い・利回り低下を招いているが、米大統領選後のドル高・米長期債利回り上昇が一巡した印象だ。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.04%低下の4.27%となり、一時4.23%をつけて11月15日に付けた4.51%以降の最低とした。30年債利回りも0.04%低下の4.44%となり、一時4.41%をつけて11月18日に付けた4.68%以降の最低とした。政策金利動向に敏感な2年債利回りは0.03%低下の4.23%となり、一時4.20%をつけて11月22日に付けた4.38%以降の最低として25日から3営業日連続低下した。
一方で連日にわたり史上最高値を更新してきたNYダウは取引時間中の史上最高値を45003.06ドルへ伸ばしてから下落に転じて前日比138.25ドル安となり6日ぶりに反落した。ナスダック総合指数も115.10ポイント安で5日ぶり反落、26日にS&P500指数も22.89ポイント安で8日ぶりに反落した。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は11月19日夕安値153.28円を割り込んで一段安に入っている。25日午前安値からいったん戻してから下落を再開したために、25日午前安値を基準として目先の安値形成期を28日午前から12月2日午前にかけての間と想定したが、28日未明へ急落してからの戻りもまだ鈍いため151.50円以下での推移中は一段安余地ありとし、151.50円超えからは強気転換注意として151.70円台から152円を試す上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では遅行スパンの悪化と先行スパンからの転落が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。大幅下落後の反動高にも注意がいるため、28日未明安値割れを回避する内は遅行スパンが実線に迫る可能性があるとみるが、先行スパンを下回るうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開とし、28日未明安値割れからは遅行スパンの悪化がしばらく続くとみる。

60分足の相対力指数は28日未明に10ポイント台へ低下してから30ポイント台後半へ戻している。40ポイント台前半は戻り売り有利とするが、相場が一段安する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられる場合は反騰注意とし、45ポイント超えからは50ポイント台回復を試す上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、28日未明安値150.46円を下値支持線、151.70円を上値抵抗線とする。
(2)151.30円台から151.50円前後は戻り売りにつかまりやすいとみるが、151.70円超えからは反騰継続とみて152円前後への上昇を想定する。152円到達後も151.50円を上回っての推移なら29日も高値試しへ向かう可能性ありとするが、152円前後からの反落で151.50円を割り込む場合は下落再開を疑う。
(3)28日未明安値150.46円割れからは149円台後半への下落を想定する。149.70円以下は反騰注意とするが、29日早朝にかけて151円を下回っての推移なら29日の日中も安値試しへ進みやすいとみる。

【当面の予定】

11/28(木)
休場 米国(感謝祭) 株式・債券市場
19:00 (欧) 11月 消費者信頼感・確報値 (速報 -13.7、予想 -13.7)
19:00 (欧) 11月 経済信頼感 (10月 95.6、予想 95.1)
22:00 (独) 11月 CPI(消費者物価指数)速報値 前月比 (10月 0.4%、予想 -0.2%)
22:00 (独) 11月 CPI(消費者物価指数)速報値 前年同月比 (10月 2.0%、予想 2.3%)

11/29(金)
米国(ブラックフライデー) 株式・債券市場は短縮取引
08:30 (日) 10月 失業率 (9月 2.4%、予想 2.5%)
08:30 (日) 11月 東京区部CPI(生鮮食料品除く)  前年同月比 (10月 1.8%、予想 2.0%)
08:50 (日) 10月 鉱工業生産・速報値 前月比 (9月 1.6%、予想 4.0%)
08:50 (日) 10月 鉱工業生産・速報値 前年同月比 (9月 -2.6%、予想 2.0%)
08:50 (日) 10月 小売業販売額 前年同月比 (9月 0.5%、予想 2.0%)
14:00 (日) 10月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (9月 -0.6%、予想 -2.0%)
14:00 (日) 11月 消費者態度指数・一般世帯 (10月 36.2、予想 36.5)
16:00 (独) 10月 小売売上高 前月比 (9月 1.2%、予想 -0.5%)
16:00 (独) 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 0.9%、予想 3.3%)
17:55 (独) 11月 失業率 (10月 6.1%)
19:00 (欧) 11月 HICP(調和消費者物価指数)速報値 前年同月比 (10月 2.0%、予想 2.3%)
19:00 (欧) 11月 コアHICP速報値 前年同月比 (10月 2.7%、予想 2.8%)


注:ポイント要約は編集部

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