『約4ヵ月ぶり高値を更新するなど堅調な値動き。上昇トレンドの継続を想定』
〇今週の南ア円、週初の安値8.60から週後半一時8.86まで上昇
〇フィッチの南ア信用格付けに関する楽観見通し、南ア指標の好調、ドル円堅調推移等が背景
〇買い一巡後はドル円反落、金・プラチナ価格の冴えない動きに8.68前後に値を崩す
〇南ア円4カ月半ぶり高値を更新、主要テクニカルポイント上で推移、買いシグナルも継続、地合い強い
〇南ア経済復調期待、南ア中銀追加利下げ観測、政治安定化期待、中国経済復調期待等も南ア円を支持
〇引き続き、南アランド円相場の上昇継続をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):8.55ー8.85
今週のレビュー(11/4−11/8)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は週初8.66円で寄り付いた後、早々に週間安値8.60円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)格付け会社Fitch Ratingsによる「南アフリカの中期財政政策声明=MTBPSは楽観的であるとしつつも、予測通りに債務が安定すれば、信用格付けに好影響を与える可能性がある」との見解発表や、(2)南ア10月スタンダート銀行PMI(結果50.6、前回51.0)の良好な結果(前月の結果を下回りつつも、3カ月連続で好不況の分岐点となる50を上回る結果→新規受注項目が増加トレンドを維持した他、投入コスト項目も約4年ぶりに低下)、(3)ドル円相場の堅調推移(米大統領選でのトランプ氏勝利確定を受けてドル円相場が急上昇→南アランド円連れ高)、(4)中国当局による大型景気対策期待が支えとなり、週後半にかけて、週間高値8.86円(7/12以来の高値圏)まで上昇しました。
もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(5)ドル円相場の大幅下落(トランプ・トレードの巻き戻し→ドル円下落→南アランド円連れ安)や、(6)南アフリカの主要産品である金・プラチナ価格の冴えない動き(南アフリカの交易条件悪化懸念)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間11/9午前0時30分現在)では、8.68円前後まで値を崩す動きとなっております。
来週の見通し(11/11−11/15)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は、一時8.86円まで上昇するなど、約4カ月ぶり高値を更新しました(週末にかけて値を崩すも下値は堅い)。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、一目均衡表基準線、雲上限、ボリンジャーミッドバンド)の上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえれば、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南ア経済の復調期待(先週発表された南ア10月製造業PMIが2ヵ月連続で好不況の分岐点50を上回った他、今週発表された南ア10月スタンダード銀行PMIも3カ月連続で好不況の分岐点50を上回る結果)や、(2)南ア中銀による追加利下げ観測(先日発表された南アCPIが約3年ぶり低水準を記録するなど、南ア中銀が設定するインフレ目標レンジ3ー6%の中央値4.5%を下回ったため、今月21日に開催される南ア中銀会合での追加利下げが織り込まれる展開に→南ア中銀による追加利下げ実施は南ア経済の下支えを通じて南アランド買いに繋がるとの見方が市場コンセンサス)、(3)国民統一政府(GNU、Government of National Unit)に対する期待感とそれに伴う外国人投資家による資金流入期待、(4)経済的な結びつきの強い中国経済の復調期待(政府・当局による追加的な大型景気対策期待)、(5)円キャリートレード再開の思惑(南アランドと日本円の金利差に着目した南アランド買い・円売り)など、南アランド円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
(6)西側諸国との対立懸念(ラマポーザ大統領は10/22にプーチン大統領と会談の上「われわれは今後もロシアを大切な同盟国と見なしアパルトヘイトとの闘いの時代からわれわれを支えてくれた大切な友人と見なす」と表明)や、(7)アフリカ成長機会法(AGOA=African Growth and Opportunity Act)からの除外リスク(トランプ氏の大統領選勝利を受けて、南アフリカが特恵関税制度のAGOAから除外されるとの警戒感)など、幾つかの懸念要因が燻ってはいるものの、こうしたリスクが今すぐ顕在化する可能性は乏しいと見られることから、当方では引き続き、南アランド円相場の上昇トレンド継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は11/12に予定されている南ア第3四半期失業率や、南ア9月製造業生産高に加えて、経済的な結びつきの強い中国の主要経済指標(中国10月小売売上高、中国10月固定資産投資、中国10月鉱工業生産など)にも注目が集まりそうです。
来週の予想レンジ(ZARJPY):8.55ー8.85
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.13
ドル円、154円台半ばへ急上昇。トリプルレッドの成立期待がドル高を後押し(11/13朝)
12日(火)のドル円相場は堅調推移。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.12
東京市場のドルは153円台半ばまで下落、米中貿易摩擦を改めて警戒した展開か(24/11/12)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、トランプ次期政権への警戒感が意識されてドルは下落、一時153円41銭まで売られた。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.12
ドル円 レンジ継続か、ただ週後半には材料目白押し(11/12夕)
東京市場はおおむね揉み合い。153円後半を中心とした往来相場で明確な方向性は乏しかった。
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.11
南アフリカランドWeekly 強いトレンドだが、トランプ氏勝利で右往左往か(24/11/11)
先週のランドは、格付け会社フィッチの見解や、米大統領選でのトランプ氏勝利などを材料に7月以来の8.8円水準まで上昇する場面がみられた。
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.04
南アフリカランドWeekly ランドじり高継続、米大統領選によるドル乱高下には警戒(24/11/4)
先週のランドは、9月生産者物価指数(PPI)が市場予想を下回る結果となったことで、景気回復につながるとの期待感が先行し、一時3カ月ぶりの水準まで上昇した。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。