昨年12月以来の5.0円の攻防に、実体経済の回復を見極める展開
【先週のトルコリラ】
先週のトルコリラは、6月消費者物価指数(CPI)が市場予想を下振れたものの、カラハン・トルコ中央銀行(トルコ中銀)総裁が「タカ派」な姿勢を示したことで売り買いが交錯した。
3日、トルコ統計局が発表した6月CPIは、前年比71.60%上昇、前月比では1.64%上昇といずれも市場予想を下回った。5月は前年比が75.45%上昇と2022年11月以来の高い伸びだったが、6月は大幅に鈍化した。また、6月生産者物価指数も5月比では伸びが大幅に鈍化。
この内容を受けて、シムシェキ財務相はXに「ディスインフレプロセスが始まった」と投稿。示唆されているトレンドは政府の年末目標と合致するとし、ディスインフレは金融の安定や持続可能な経常赤字などでの成果が反映されたものとの認識を示した。
一方、同日、カラハン・トルコ中銀総裁は、インタビューにおいて、「引き締め政策を維持し、データと予想がわれわれのディスインフレ軌道に一致するのを待つ。この点でまだ先があると考えている」と語った。また、「月次インフレの基調的傾向が大幅かつ持続的に低下するよう期待する。インフレ抑制に向け強い決意を持っている」などと「ややタカ派」なコメントを行った。
トルコリラは、一時5.0円手前まで買われたが、買い一巡後は利益確定売りなどに押される展開となり、4.9円台で推移した。
トルコリラ・円(東京時間:7月1日―7月5日)
※Investing.comの日足を参照
始値:4.9165円
高値:4.9962円
安値:4.8895円
終値:4.9115円
【先週と今週の重要指標】
※時間は東京時間
7月1日
16時00分、6月製造業PMI、前回:48.4、結果:47.9
7月3日
16時00分、6月消費者物価指数(前月比)、前回:3.37%、市場予想:2.20%、結果:1.64%
16時00分、6月消費者物価指数(前年比)、前回:75.45%、市場予想:72.60%、結果:71.60%
16時00分、6月消費者物価指数(コア・前年比)、前回:74.98%、市場予想:73.13%、結果:71.41%
16時00分、6月生産者物価指数(前月比)、前回:1.96%、結果:1.38%
16時00分、6月生産者物価指数(前年比)、前回:57.68%、結果:50.09%
7月10日
16時00分、5月失業率、前回:8.5%
16時00分、5月鉱工業生産指数(前月比)、前回:−4.9%、市場予想:3.7%
16時00分、5月鉱工業生産指数(前年比)、前回:−0.7%、市場予想:2.5%
7月12日
16時00分、5月経常収支、前回:−52.9億ドル、市場予想:−14.0億ドル
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のトルコリラは、失業率や鉱工業生産指数など実体経済の状況を見極める展開となろう。
先週は高いインフレがピークアウトを迎えるとの見方が強まったことで、実体経済の回復が確認できた際、トルコリラは心理的な節目の5.0円台を回復すると考える。
2月の鉱工業生産指数は前年同月比11.5%増、3月は同4.6%増、4月は同0.7%減、そして、5月は同2.5%増が見込まれている。データ上、伸び率は鈍化傾向を強めているが、これは高い政策金利が影響していると考える。今後、高いインフレが明確にピークアウトを迎えた場合は、政策金利の引き下げを行い、景気を刺激する段階に移るだろうが、さすがにまだ早い。鉱工業生産指数は今しばらく前年同月比で増減まちまちの状況となりそうだ。
一方、失業率に関しては、2021年の12.0%、22年の10.4%、23年の9.4%と段階的に低下しており、四半期ベースでも5期連続で低下しており、失業率は順調に改善している。低下傾向にある失業率が前月比で悪化していなければトルコリラへのネガティブ材料とはならないだろう。
テクニカル面は、日足の一目均衡表の雲上限や50日移動平均線をサポートラインにしっかりとした推移が確認できる。足元の上値抵抗だった4.9円水準をようやく上回ったことで、目先のターゲットは、2023年12月13日以来の5.0円だ。いったんは利益確定売りが強まり、5.0円に跳ね返されたが、これまでの上値抵抗だった4.9円水準で下げ渋っていることから、上を意識したトレンドは継続と考える。
トルコリラ円日足
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トルコリラ円の7月5日は概ね4.95円ら4.90円の取引レンジ、6日早朝の終値は4.91円で前日終値の4.94円から0.03円の円高リラ安となり、週間では6月28日終値と変わらなかった。
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