『CPI・PPI鈍化で年初来高値更新。心理的節目5.00円突破が射程圏内』
〇今週のトルコ円、ドル円急上昇、トルコインフレ懸念後退に週央にかけ4.99まで上昇
〇買い一巡後は、5.00を前にした戻り売り圧力、ドル円急反落等に4.92前後に値を崩す
〇テクニカルには約2年ぶりに200日移動平均線を突破、地合いは極めて強い
〇国内インフレ鈍化、海外からの資金流入期待、FATFのトルコ「グレーリスト」除外決定もサポート
〇引き続き、リラ買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.80ー5.10
今週のレビュー(7/1−7/5)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初4.91円で寄り付いた後、早々に週間安値4.89円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)ドル円相場の急上昇(ドル円が約38年ぶり高値となる161.99まで急上昇→トルコリラ円連れ高)や、(2)トルコ6月消費者物価指数(結果+71.60%、予想+72.60%、前回+75.45%)の伸び率鈍化、(3)トルコ6月消費者物価コア指数(結果+71.41%、予想+73.17%、前回+74.98%)の伸び率鈍化、(4)トルコ6月生産者物価指数(結果+50.09%、前回+57.68%)の伸び率鈍化、(5)上記2、3、4を背景としたトルコ国内のインフレ懸念後退(実質金利上昇に伴うリラ買い圧力)が支援材料となり、週央にかけて、週間高値4.99円(昨年12/19以来の高値圏)まで上昇しました。
もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(6)心理的節目5.00円を背にした戻り売り圧力や、(7)トルコ中銀カラハン総裁による「物価高騰と闘う決意。引き続き引き締め的な金融政策を根気強く維持していく」とのタカ派的な発言、(8)ドル円相場の急反落(ドル円が161.99から160.34まで急反落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間7/6午前2時15分現在)では、4.92円前後まで値を崩す動きとなっております。尚、今週発表されたトルコ6月製造業PMI(結果47.9、前回48.4)は冴えない結果となりましたが、市場の反応は限られました。
来週の見通し(7/8−7/12)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は年初来高値を更新するなど力強い動きが続きました。日足ローソク足が約2年ぶりに200日移動平均線を突破したことや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコリラと日本円の金利差に着目した円キャリートレードの継続期待や、(2)トルコ国内におけるインフレ懸念後退(今週発表された最新のCPI・コアCPI・PPIはいずれも伸び率が大幅に鈍化→実質金利上昇)、(3)外国人投資家によるプレゼンス向上とそれに伴う資金流入期待(トルコ政府・トルコ中銀による正常化政策を好感)、(4)FATFによるトルコの「グレーリスト」除外決定(トルコのユルマズ副大統領は先週「グレーリストからの除外決定を受けて国際投資家による信頼はさらに強化された」とXへ投稿)、
(5)米FRBによる早期利下げ観測再燃(パウエルFRB議長によるハト派的な発言を受けて米長期金利が急低下→新興国通貨に上昇圧力)など、トルコリラ円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、リラ買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(目先は心理的節目5.00円の早期突破を想定)。尚、来週はトルコ5月鉱工業生産や、トルコ5月失業率、トルコ5月小売売上高、トルコ5月経常収支などが予定されております。
来週の予想レンジ(TRYJPY):4.80ー5.10
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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