4.8円水準でのもみ合い、財政改革を材料に4.9円水準の上値を試すか注目
【先週のトルコリラ】
先週のトルコリラは、経済指標の結果がまちまちだったことで方向感が出にくいなか、ドル高の流れが重しとなったことから上値の重い展開となった。
10日に発表された4月失業率は前回の8.6%を下回る8.5%。また、4月経常収支も前回より赤字幅は増えたものの、52.9億ドルの赤字と市場予想(60億ドルの赤字)よりも赤字幅は縮小するなど良好な結果が確認できた。一方、4月鉱工業生産は前回及び市場予想を大幅に下回る結果となったことで、高い政策金利に対する実体経済の影響がネガティブ視された。
また、12日に発表された米連邦準備制度理事会(FRB)による米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果は、想定通りの政策金利据え置きだったが、2024年利下げ予想を3回から1回に修正するなどややタカ派な内容となった。パウエルFRB議長は、早期の利下げをけん制したが、データ次第での利下げの可能性は示唆したことで過度なドル買いとはならなかったが、週末の日銀金融政策決定会合では「ややハト派」な結果となったことで、ドル・インデックスは104台から105台に上昇。
トルコリラは対ドルで、終値ベースの史上最安値を更新。対ドルの動きに対円もつられたことから、4.8円台での上値の重い展開となった。
トルコリラ・円(東京時間:6月10日―6月14日)※Investing.comの日足を参照
始値:4.8498円
高値:4.8896円
安値:4.7864円
終値:4.8012円
【先週と今週の重要指標】※時間は東京時間
6月10日
16時00分、4月失業率、前回:8.6%、結果:8.5%
16時00分、4月鉱工業生産指数(前月比)、前回:−0.1%、結果:−4.9%
16時00分、4月鉱工業生産指数(前年比)、前回:4.6%、市場予想:1.9%、結果:−0.7%
16時00分、4月経常収支、前回:−44.3億ドル、市場予想:−60.0億ドル、結果:−52.9億ドル
6月20日
16時00分、6月消費者信頼感、前回:80.5
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のトルコリラは、今週は目立った売買材料が観測されないなか、週末に伝わった財政改革ニュースが下支えとなり4.9円水準の上値を試す展開となろう。
週末、シムシェキ財務大臣から新たな財政改革の話が伝わっている。GDPの0.7%に相当する2260億リラ(約1兆1000億円)の追加歳入を検討しており、月内の議会審議に向け新たな法案を作成中だという。この検討案には、暗号資産取引に対する0.03%の取引税を含む新たな税制も含まれているようだ。この財政改革によって、2023年に発生したトルコ・シリア大地震による財政赤字に対処することを目指すとのことだ。
まだ、シムシェキ財務大臣によるXの投稿に留まっており、財務省及び大統領府は計画の詳細についてコメントを控えている。ただ、エルドアン大統領とは良好な関係が築けているシムシェキ財務大臣の発言のため、ほぼ事実情報と考える。
6月上旬に伝わった憲法裁判所と大統領府による大統領に付与したトルコ中央銀行総裁と副総裁の任命と解任権を無効とする判断の小競り合いは続きそうだが、財政赤字対応の話はトルコリラ買いにつながるだろう。
テクニカル面は、日足の一目均衡表の雲上限や50日移動平均線、100日移動平均線がサポートラインとなり、雲上限より上を推移している。4.9円水準での上値の重さは引き続き意識されているが、3月13日の史上最安値4.5227円から下値をじりじりと切り上げており下値不安は乏しい。4.9円水準の上値の重さを意識しつつ、4.8円水準での値固めを試したいところだ。
トルコリラ円日足
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