円売り圧力強いが、NZ経済のリセッション入りが重しに
【今週のNZドル】
今週のNZドルは上昇したものの、ニュージーランド経済のリセッション入りが重しとなり、豪ドルと比較すると上値は重くなった。
19日、日本銀行が金融政策決定会合にてマイナス金利の撤廃を決定。17年ぶりの利上げ及び金融政策の正常化に踏み出すといった歴史的な政策転換を発表したものの、「緩和姿勢をしばらく維持する方針」が確認できたことから、円は全面安の展開となり、NZドルは21日に2月28日以来となる92円台まで買われた。
ただ、21日に発表されたニュージーランド第4四半期GDPが前年比−0.3%と市場予想(+0.1%)を下回った。前期比も−0.1%と、第3四半期の同−0.3%に続き2四半期連続のマイナス成長となった。下期のリセッション(景気後退)入りが示されたことで、早期の利下げ観測も浮上。
NZドルは、GDP発表後も、日銀会合の影響による円売り圧力が強かったことから上昇し92円台をつけたが、ニュージーランド経済のリセッション入りが重しとなり、上値の重い展開にとなった。対円で2014年以来の水準まで上昇した豪ドルと比べると相対的に弱く、NZドルは0.92豪ドルと昨年11月28日以来の水準まで下落した。
NZドル・円(東京時間:3月18日―3月22日(終値は9時台終値を参照))※Investing.comの日足を参照
始値:90円74銭
高値:92円21銭
安値:90円57銭
終値:91円67銭
【今週と来週の重要指標】
※時間は東京時間
3月21日
6時45分、第4四半期GDP(前年比)、前回:−0.6%、市場予想:0.1%、結果:−0.3%
6時45分、第4四半期GDP(前期比)、前回:−0.3%、市場予想:0.1%、結果:−0.1%
3月28日
9時00分、3月ANZ企業信頼感、前回:34.7
※予定は変更することがございます。
【来週の見通し】
来週のNZドルは、日銀会合後の円売り圧力の強さが支えとなりそうだが、ニュージーランド経済への不透明感が先行し、上値の重い展開となりそうだ。
第4四半期GDPが第3四半期に次ぐマイナス成長となったことで、ニュージーランド経済はテクニカルリセッション(景気後退)に入った。円売り圧力の強さでNZドルが押し上げられる展開は想定されるが、ドルや豪ドルなど他の主要通貨に対しては弱い動きを示すと想定する。
今後、ニュージーランド準備銀行(NZ中銀)関係者から利下げに関する発言が出る可能性も浮上しており、欧米よりも先に利下げ実施という話となれば、NZドル売り材料となろう。
また、投機筋の円売りポジション積み上げが一服となれば、NZドルは対円での支えが無くなる。日足の一目均衡表では、切り上がる雲上限より上で推移しているが、遅行スパンは実線に隠れており、強気のトレンドではない。100日移動平均線がサポートラインとして機能しているが、上影(上ヒゲ)が連発していることから上値の重さがうかがえる状況だ。
長期的なトレンドは、一目均衡表にて「三役好転」が示現していることから、14年12月以来の94円台をターゲットとした強いトレンドは継続している。NZドルの長期的なトレンドはまだ崩れていないが、短期的には正念場を迎えたと言えよう。
NZドル円日足
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