14年以来となる100円台到達で達成感が意識されそうな地合いに
【今週の豪ドル】
今週の豪ドルは、オーストラリア準備銀行(豪中銀、RBA)が従来のタカ派姿勢をややハト派よりに修正した一方、日本銀行がマイナス金利の撤廃を発表。金融政策の正常化を進めるが、緩和姿勢は維持する方針が確認できたことから円は全面安の展開となり、2014年12月以来の100円台をつけた。
RBAは19日の政策決定会合で、政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標を12年ぶり高水準の4.35%に据え置くと決定した。昨年12月より3会合連続での据え置きとなった。
RBAは声明で「最近のデータはインフレが和らぎつつある様子を示唆するが、依然として高い。インフレ率が合理的な時間枠の範囲内で目標に戻ることを最も確実にする金利の軌道は引き続き不透明であり、政策委員会はいかなる可能性も排除しない」と説明。その一方、追加利上げの可能性には言及せず、タカ派寄りだった従来のスタンスを修正した。
ブロック総裁は政策決定発表後の記者会見で「追加の金利変更の可能性を排除できると言う十分な自信はないが、われわれの予測の範囲内でインフレ率を目標に戻す道をたどっていると考えている」と発言した。
RBAは「中立」に転換したのかとの質問には、見通しへの上向きと下向きのリスクは「微妙なバランス」と認識を示した。さらに中銀はデータ次第というモードであり、インフレ率が2-3%の目標レンジに持続的に戻る軌道にあると確信して初めて、利下げを開始するとの立場を繰り返した。「昨年11月の利上げが不必要だったとは考えていない」とも語った。
一方、同日、日銀は金融政策決定会合で、「マイナス金利の撤廃」「イールドカーブ・コントロール(YCC)、(長短金利操作)の終了」「リスク資産の買い入れ終了」を発表後、緩和姿勢を維持する方針を日銀声明及び植田日銀総裁の記者会見で確認できたことから、日米など主要国との金利差は縮小しないとの公算が大きくなり、円全面安の展開に。
日本が祝日の20日、豪ドルは対円で2月23日の戻り高値99円07銭を上回り、21日に2014年12月以来となる100円台に到達。100円17銭をつけた後はやや上影(上ヒゲ)を残したが、約10年ぶりの水準まで豪ドル高円安が進行した。
豪ドル・円(東京時間:3月18日―3月22日(終値は9時台終値を参照))※Investing.comの日足を参照
始値: 97円79銭
高値:100円17銭
安値: 97円59銭
終値: 99円63銭
【今週と来週の重要指標】
※時間は東京時間
3月19日
12時30分、政策金利、前回:4.35%、市場予想:4.35%、結果:4.35%
3月21日
9時30分、2月雇用者数、前回:1.53万人増、市場予想:3.9万人増、結果:11.65万人増
9時30分、2月失業率、前回:4.1%、市場予想:4.0%、結果:3.7%
3月26日
8時30分、3月消費者信頼感指数(前月比)、前回:6.2%
3月27日
9時30分、2月消費者物価指数(前年比)、前回:3.4%、市場予想:3.5%
3月28日
9時30分、2月小売売上高(前月比)、前回:1.1%、市場予想:0.5%
※予定は変更することがございます。
【来週の見通し】
来週の豪ドルは、99円台での根固めを試す展開を迎えそうだ。投機筋が円売りポジションを積み増すかが注目点となる。
19日の日銀会合以降「円全面安」の地合いが強まっている。市場では「早くても日銀は10月会合に利上げを実施」もしくは「11月に米大統領選挙を控えていることから米政策の見極めも考慮すると利上げは来年」との見方が強く、円と主要通貨の金利差は縮小しないことが円全面安の背景にある。
16日に発表された米先物取引委員会(CFTC)建玉報告の12日時点のデータでは、差し引き10.2万枚の円売りポジションと前週比では1.6万枚減少した。一方、この時はドルが147円水準、ユーロは161円水準だったことから、既に円安ドル高が進行しており、足元、円売りポジションはそれなりに増加したと考える。
50日移動平均線、100日移動平均線が引き続きサポートラインとして機能しているほか、月足チャートでは、20年3月の59.87円を起点とした下値支持線が機能しており、長期的なトレンドはしっかりだ。
とはいえ、短期的には、21日に長い上ヒゲを残していることや、ターゲットである100円台をつけたことに伴う達成感が意識されることで豪ドル買い円売りは一服する展開を想定。来週は99円台水準での根固めを試す展開となろう。
豪ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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