ドル円の上昇頭打ち、ドル高リラ安基調に変化なくトルコリラ円の上値も重い
〇トルコリラ円、2/19は概ね4.89から4.85の取引レンジ、ドル高リラ安基調の継続に圧迫される展開
〇対ドル、2/19は概ね30.92から30.64の取引レンジ、最安値更新には至らないが最安値圏で推移
〇ソシエテゼネラルは年後半のリラ高を予想、それ以外の主要な見方は年末に向けて更なるリラ安予想
〇4.85を割り込まないうちは、4.88超えから4.89、4.90を順次試す上昇を想定する
〇4.85割れからは、4.83、4.82を順次試す下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の2月19日は概ね4.89円から4.85円の取引レンジ、20日早朝の終値は4.86円で先週末終値の4.87円からは0.01円の円高リラ安だった。
2月19日は米国市場が休場で欧州の主要経済等もなく手掛かりに欠け、ドル円は2月13日夜の米CPI発表後の急伸で付けた高値150.88円の後は149円台へ下落したところは買われつつ新たな高値更新へ進めずに方向感を探っている。米国の早期利下げ期待は大幅に後退して利下げ開始は6月以降との見方が優勢となっているが、利下げ先送りによるドル高はすでに織り込み済となっており、日銀のマイナス金利解除へ向けた動きや151円に迫ったところでの神田財務官による円安けん制発言を意識して上値が重くなってきている。
トルコリラ円は米CPI後のドル円が急伸した局面で4.91円を付けた後はジリ安の推移が続いている。ドル/トルコリラにおける瞬間的なリラ高により2月16日未明と2月20日未明に4.96円の飛び値を付けているが、それらを除けば右肩下がりの展開であり、ドル円の上昇が頭打ちとなる中で円安による押し上げが効かず、ドル高リラ安基調も続いていることに圧迫されており、2月19日は夕刻に4.85円を付けて2月16日朝安値4.85円を割り込んでいる。
【ドル/トルコリラは最安値圏での推移で徐々に1ドル31リラへ迫る】
ドル/トルコリラの2月19日は概ね30.92リラから30.64リラの取引レンジ、20日早朝の終値は30.81リラで先週末終値の30.82リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。
1月25日のトルコ中銀による2.5%利上げと利上げ終了宣言を不服とし、2月2日に金融政策正常化と連続利上げを実行してきたエルカン中銀総裁が突然辞任したことによる先行き不透明感、2月5日の1月トルコCPIが前月比で6.7%と加速したこと、2月8日のカラハン中銀新総裁による楽観的インフレ見通しと利上げ終了姿勢の強調等がリラ売り基調を加速させており、2月15日には1ドル30.96リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新し、2月16日終値30.82リラで終値ベースの史上最安値を更新した。
2月19日は新たな最安値更新には至らなかったものの最安値近辺での推移を続けている。
【ソシエテゼネラルは年後半のリラ高を予想】
ソシエテゼネラルは最新のドル/トルコリラ予想において、2024年上半期に1ドル32リラを付けるところでピークとなり、年後半には1ドル30リラへ下落するとの見通しを示した。同社は今年3月31日に予定されているトルコの地方選挙を通過して2024年第2四半期にはリラを取り巻く環境が好転し、高金利を魅力として海外からの投資が増大してトルコ経済も改善してゆくと見込んだ。
ドイツのコメルツ銀行は2月16日にドル/トルコリラの2024年末見通しを1ドル35リラとし、トルコ中銀の新総裁がインフレ抑制のための金融引き締め状態を継続すると述べたもののそれはエルドアン大統領次第と指摘しており、インフレ抑制が進まなければドル高リラ安は続くとした。
1月10日にJPモルガンは顧客向けレポートで2024年末のレート予想を従来の1ドル34リラから36リラへ下方修正し、高金利によるトルコ国債への投資については「マーケットウエイト」としてチャンスを待つべきとした。
トルコリラの先行きは改善するかもしれないが、当面は1ドル31リラでは済まず、ソシエテゼネラルの楽観的見通し通りなら1ドル32リラが大底となるかもしれないが、それ以外の主要な見方は年末に向けて1ドル34リラ、36リラへと悪化してゆくものであり、しばらくはリラの環境好転の可能性に注意しつつもリラ安継続姿勢で考えるべきだろう。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、2月14日早朝高値をサイクルトップとして15日夜から19日夜にかけての間への下落を想定していたが、2月16日夜に戻してから失速して2月12日夜安値からすでに4日を経過したために19日午前時点では2月16日早朝安値を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとするのを妥当とみて16日早朝安値を直近のサイクルボトムとした。
2月19日夕刻への下落で16日早朝安値を割り込んだため、2月16日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして21日早朝から23日早朝にかけての間への下落を想定する。強気転換には連続的な上昇で2月16日夜高値を上抜く必要がある。
60分足の一目均衡表では2月20日午前序盤の上昇で遅行スパンは好転しつつあるため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンの下限から下側3分の1にかけての水準では抵抗感が大きいと思われ、遅行スパンが再び悪化するところからは下げ再開とする。
60分足の相対力指数は2月19日夕刻に30ポイント台前半へ低下してから50ポイント台へ戻しているので、60ポイント超えからは70ポイントに迫る上昇を想定するが、45ポイント割れからは下落再開として20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.85円を下値支持線、4.89円を上値抵抗線とする。
(2)4.85円を割り込まないうちは4.88円超えから4.89円、4.90円を順次試す上昇を想定するが、4.89円前後は反落警戒とする。
(3)4.85円割れからは4.83円、4.82円を順次試す下落を想定する。4.82円以下は反騰注意とするが、4.85円を割り込んでの推移なら21日の日中にかけても安値試しを続けやすいとみる。
【当面の主な予定】
2月20日
23:30 1月 中央政府債務残高 (12月 6兆7230億リラ)
2月21日
16:00 2月 消費者信頼感指数 (1月 80.4)
2月22日
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 45.0%)
20:30 週次 外貨準備高 2月16日時点 グロス (2月9日時点 863.7億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 2月16日時点 ネット (2月9日時点 288.0億ドル)
2月23日
16:00 2月 製造業景況感 (1月 100.9)
16:00 2月 設備稼働率 (1月 76.2%)
17:00 1月 海外観光客数 前年同月比 (12月 3.51%)
注:ポイント要約は編集部
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