レンツィ首相辞任ならユーロ安圧力(週報12月第一週)

4日のイタリア国民投票の結果を受けてレンツィ首相が辞任すればユーロ安圧力になる見通しです。

レンツィ首相辞任ならユーロ安圧力(週報12月第一週)

ユーロドル:11月28日からの先週

先週のユーロドルは、30日のOPEC総会前に1.0686まで反発した後、トランプ相場からの米債利回りの上昇、12月4日のイタリアの国民投票への警戒感から1.0551まで下落した後、1.0673で引けました。

11月28日は、先週の引け1.0591からややギャップアップして1.0608で始まり、その後一気に28日の高値の1.0686まで上昇。
欧州時間に入り、ドル買いが再燃、1.0686から28日安値の1.0581まで下落。ドラギECB総裁の欧州議会証言を控え、ユーロ売りが優勢でした。NY時間に入り米国債利回りの上昇や株高が一段落したため、ドル売りが再燃。一旦1.0564まで下落後、1.0617へ上昇し1.0615で引けました。

11月29日は、前日引けの1.0613ではじまり、前日からのユーロ売りが先行し29日安値の1.0558まで下押ししました。その後は欧州時間に入り、OPEC総会で減産への期待が後退、米債券利回りの低下に伴うドル売りから、1.0558から1.0654上昇し1.0650で引けました。ユーロ売りは一服の様子でした。

11月30日は、前日引けの1.0650で始まり、30日の高値の1.0666を付けました。その後、OPECが定例総会で原油の減産で最終合意したとの報道が好感され、債券利回りの上昇に伴うドル買いが一気に強まり、1.0666から39日安値の1.0551へ下落し1.0588で引けました。

1日は、前日引けの1.0588で始まり、日中1日の安値1.0583まで下押しました。海外時間に入りドル高値警戒感が強まり、1日の高値の1.0669まで上伸し、1.0660で引けました。

2日は、、前日引けの1.0660で始まり、2日の高値の1.0690を付けました。その後、11月米雇用統計後に上下に振れた場面で2日安値の1.0624まで下押すも、その後は買い戻しが優勢になり、アジア時間につけた高値の1.0690に迫る水準まで値を上げ、1.0673で引けました。

ユーロドル:12月5日からの今週

CME通貨先物ポジション状況:11月29日時点
     (11月29日)    (11月22日)    (11月15日)
円       ▲269         10900        20676
ユーロ    ▲119240     ▲119348      ▲119182
ポンド     ▲78135      ▲74318        ▲80313

シカゴIMM:短期投機・投資家によるユーロの売り持ち高は前週からやや減少。
過去最高の買い持ち高は、2007年5月15日 +119,538、
過去最高の売り持ち高は、2010年2月9日 -57,152

シカゴVIX指数:投資家の恐怖心理の度合いを示す指数、
14.12←14.07 VIX指数は上昇しての引け。前営業日終値を挟んでの推移で、方向感の見えにくい展開となった。
2016年最大は32.09、過去最大は2014年の31.06、過去最安は1993年の8.89、直近では2006年の9.39

今週は、ユーロの動向が焦点です。
1. 4日のイタリア国民投票の結果を受けてレンツィ首相が辞任すればユーロ安圧力になると想定します。
2. 8日のECB理事会は量的緩和政策の延長が予想されていますが、将来の買い入れ終了が示唆されればユーロ買い戻しと想定します。

まずは4日のイタリアの憲法改正の是非を問う国民投票です。
イタリアは銀行部門の不良債権が膨らみ金融危機になりかけている状況で、強力なリーダーシップを発揮しているレンツィ首相は、先ずはその銀行部門の救済をめざして改革を進めている最中なのです。
そんな中で、政治的な権力を上院から中央政府に集中させることで、安定した政府を目指そうとしています。そのために国民投票にまでこぎつけ、かねてから懸案の議院改革を憲法改正によって行おうとしているのです。
否決の合は、レンツィ首相はが辞任、イタリアの政治は不透明になり、イタリアの銀行への救済の過程も一旦とん挫するでしょう。

6月には予想外な英国の欧州連合(EU)離脱決定の国民投票がありました。何が起こるかはわからないので、否決の場合の心の準備はしておくべきで警戒はすべきです。

次は8日のECB理事会です。
今回のECB定例理事会、政策金利を据え置くと想定します。
ポイントは来年3月で終了期限を迎える債券買い入れの量的緩和(QE)の扱いです。
購入条件変更をどう変えて来るのかに注目です。

4日のイタリア国民投票の結果次第ながらも、現在の欧州ではユーロ安、原油反発、米新政権での経済対策期待などで、インフレの圧力が芽生えています。その中で先行き緩和縮小が示唆される可能性ありで、その場合はユーロの上昇を招く波乱を想定すべきです。
資産購入プログラムに関しては、対象となる債券不足から、プログラムの解消(テーパリング)の思惑も根強い。解消されると、ユーロのショートカバーにつながるも、ドラギ総裁はこれまでたびたび、欧州の経済には依然緩和策が必要との見解を示しているので、今回の会合で、量的緩和(QE)の延長が発表されるとの見方が優勢です。
ドラギ総裁が債券不足に対しても、対応可能と強調していることから、債券不足に対処するために条件を緩和する可能性もあります。現在、利回りが預金ファシリティレート(‐0.4%)を下回る債券の購入は不可能で、この条件の緩和、QEの延長はユーロ売りにつながります。

予想レンジは、1.0500~1.0800 と見ます。

オーダー/ポジション状況

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