ドル円反落で再び失速、ドル高リラ安基調変わらず、ドル円の乱調に振り回される
〇トルコリラ円、11/16未明5.28まで上げたが、ドル円の反落に合わせて5.23まで下落
〇11/17朝に5.27まで戻すも再び失速気味、ドル円の乱調に振り回される
〇対ドル、11/16は概ね28.70から28.44の取引レンジ、最安値更新には至らなかったが最安値近辺で推移
〇トルコ中銀の外貨準備高、順調に増加
〇5.23を上回るうちは上昇再開余地ありとし、5.28超えからは5.30前後への上昇を想定する
〇5.23割れからは、5.20前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の11月16日は概ね5.28円から5.23円の取引レンジ、17日早朝の終値は5.25円、前日終値の5.27円からは0.2円の円高リラ安だった。
ドル高リラ安基調に変わりはなく、トルコリラ円はじわじわとリラ安に圧迫されているが、短期的にはドル円の騰落が勝るためにドル円を追いかけている。
ドル円は11月13日夜に151.90円を付け、11月14日夜の米CPI鈍化で15日早朝に150.13円へ下落し、15日夜の米PPI発表直後に150.05円を付けてから16日早朝高値151.42円まで切り返したが、16日夜は米新規失業保険申請件数や米鉱工業生産の悪化と米輸出入物価指数の大幅低下により150.28円まで失速した。15日夜安値割れは回避しているものの乱調な展開が続いている。
トルコリラ円は11月6日午前安値5.21円から11月10日早朝高値5.32円まで上昇してきたが、ドル円の乱高下を追いかけながら15日早朝安値5.23円へ大幅下落し、15日夜からドル円が反騰したのを見て16日未明には5.28円まで切り返した。しかし16日にドル円が反落したために5.23円まで下落、17日朝に5.27円まで戻してから再び失速気味となっている。
米長期債利回りの低下傾向が再確認されたことにより、ドル円は日米金利差から円高へ進みやすくなっている側面もあるが、米国の利下げはまだ先であり日銀の金融緩和もまだしばらく続くため、152円超えを目指す円安基調は継続しているのではないかと考える。
トルコリラ円にとってはドル円の乱高下に振り回されつつもドル円とともに突っ込んだところを買い拾われるのだが、ドル高リラ安基調が続いていることで戻り高値は切り下がりとなり、8月24日高値5.77円以降の下落トレンドの範囲から抜け出せない印象だ。
【対ドルでは最安値近辺での推移】
ドル/トルコリラの11月16日は概ね28.70リラから28.44リラの取引レンジ、17日早朝の終値は28.54リラで前日終値の28.66リラからは0.12リラのドル安リラ高だった。
8月24日にトルコ中銀による大幅利上げをきっかけに25.02リラへ一時急伸した後は、ドル高リラ安がぶり返し、8月最終週から先週まで11週連続のドル高リラ安が続いてきた。
今週は11月15日に28.77リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新し、終値ベースでも15日終値28.66リラで最安値を更新したが、16日は米長期債利回り低下によるドル安もあり最安値更新には至らなかった。しかし最安値近辺での推移は続いており、17日午前は28.71リラから28.43リラのレンジで推移して最安値更新を伺っている。
【外貨準備高は順調に拡大】
11月16日に発表されたトルコ中銀の外貨準備高は11月10日時点のグロスで846.4億ドルとなり11月3日時点の839.4億ドルから増加し、ネットでは254.5億ドルとなり11月3日時点の247.4億ドルから増加した。
ネットの外貨準備高は6月序盤にマイナス57億ドルまで悪化したところから回復してきた。エルカン新総裁就任前は外貨準備高を取り崩してリラ買いの市場介入を繰り返していたことで外貨が事実上の枯渇状態となっていたが、エルカン総裁は市場介入を止めて外貨準備高を増加させる方針を掲げ、順調に外貨準備高は増加してきた。
中銀がリラ安への防波堤ではなくなったことで対ドル等での史上最安値更新が収まらない状況にあるが、エルカン総裁就任以来、政策金利の週間レポレートは8.5%から35.0%まで大幅に引き上げられており、今後も追加利上げが見込まれることでトルコの長期債利回りが上昇しており、インフレ率をリラの下落率が下回り始めていることで、高金利のトルコリラへの海外投資家の注目も集まり始めているという側面もある。
トルコ国債利回りは直近で3か月物が21.693%、2年債が41.090%、5年債が33.310%、10年債が28.370%となっており、現状のリラ安を踏まえた上で先行きのリラ安が落ち着けば高利回りを確保できるとした投資妙味も高くなってきているといえる。しかしリラ安がさらに深刻化するようだとそうした期待感も後退する。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月10日早朝と13日午後の両高値をダブルトップとした弱気サイクル入りとして11月15日午後から17日午後にかけての間への下落を想定していたが、15日夜に15日早朝安値と同値を付けてから反騰入りして16日未明には強気転換目安とした5.28円を付けたため、16日午前時点では15日早朝とのダブルボトムとなる15日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして16日午後から20日午後にかけての間への上昇を想定した。また戻りは短命の可能性があるとして5.23円割れからは弱気サイクル入りとした。
11月16日深夜に5.23円まで下げてから戻しているのでまだ上昇再開余地ありとみるが、17日午前は軟調推移のため弱気転換注意とし、5.23円割れからは弱気サイクル入りとして20日夜から22日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では11月16日夜の下落で遅行スパンが悪化して17日朝への反発では先行スパン上抜けずに失速しているため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。ただし先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は11月16日未明に60ポイント台に到達してから反落したが、16日夜は30ポイント割れをひとまず回避して40ポイント台へ戻した。50ポイント超えからは上昇再開として60ポイント台を試すとみるが、40ポイント以下での推移が続く場合は下向きとし、5.23円割れから一段安に入る場合は20ポイント以下への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.23円を下値支持線、5.28円を上値抵抗線とする。
(2)5.23円を上回るうちは上昇再開余地ありとし、5.28円超えからは5.30円前後への上昇を想定する。5.30円以上は反落注意とするが、5.27円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.23円割れからは5.20円前後への下落を想定する。5.20円以下は反騰注意とするが、5.23円を割り込んだ後も5.25円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
11月17日
16:00 11月 トルコ中銀ビジネスサーベイ(年末CPI等の予想)
11月20日
23:30 10月 中央政府債務 (9月 6兆0700億リラ)
11月22日
16:00 11月 消費者信頼感指数 (10月 74.6)
11月23日
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 35.0%)
20:30 週次 外貨準備高 11月17日時点 グロス (11月10日時点 846.4億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 11月17日時点 ネット (11月10日時点 254.5億ドル)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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