ドル円年初来高値更新後に反落。米長期金利や米主要株価指数を睨みながらの展開を想定
〇ドル円、アジア時間朝方の年初来高値147.88から米国時間朝方にかけ147.04まで下落
〇心理的節目148.00を背にした戻り売り圧力や政府・当局の介入警戒感などが重石
〇ユーロドル、ECBの金融引き締め休止観測などから約3か月ぶり安値の1.0686まで下落
〇ドル円、上値の重さ目立つが日足ローソク足が全テクニカルポイントの上で推移等、極めて強い地合い
〇日米金利差拡大に着目したドル買い・円売り等、ファンダメンタルズに沿った動きも確認
〇ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:146.50ー148.00
海外時間のレビュー
7日(木)のドル円相場は高値圏から反落。アジア時間朝方にかけて、年初来高値147.88(昨年11/4以来の高値圏)まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)心理的節目148.00を背にした戻り売り圧力や、(2)政府・当局による介入警戒感を嫌気したドル円ロングの手仕舞い活発化、(3)株式市場の冴えない動き(リスク回避の円買い圧力)、(4)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値147.04まで下落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間9/8午前6時10分現在)では、147.30前後で推移しております。
尚、昨日発表された米新規失業保険申請件数(結果21.6万件、予想23.4万件)および、米4ー6月期単位労働コスト(結果+2.2%、予想+1.9%)は共に予想比強い結果となりましたが、ドル買いでの反応は限定的となりました。また、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁による「インフレは高すぎるが低下傾向にある」「次回FOMCまでにさらに多くのデータが発表される」との発言や、アトランタ連銀ボスティック総裁による「インフレ率を2%の目標に下げるためにまだやるべき仕事がある」との発言も見られましたが、市場の反応は限られました。
7日(木)のユーロドル相場は上値の重い展開。アジア時間朝方にかけて、高値1.0732まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)ECBによる金融引き締め休止観測や、(2)株式市場の冴えない動き、(3)欧州債利回り低下に伴うユーロ売り圧力、(4)ドイツ7月鉱工業生産(結果▲0.8%、予想▲0.4%、前月比)の市場予想を下回る結果、(5)ユーロ圏4ー6月期GDP確報値(結果+0.5%、予想+0.6%、前年比)の市場予想を下回る結果、(6)米経済指標(米新規失業保険申請件数や米4ー6月期単位労働コストなど)の良好な結果が重石となり、米国時間朝方にかけて、約3カ月ぶり安値となる1.0686(6/8以来の安値圏)まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間9/8午前6時10分現在)では、1.0697前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は年初来高値更新後に反落するなど、心理的節目148.00をバックに上値の重さが目立つ展開となりました。政府・当局による介入警戒感がドル高・円安の流れを足踏み状態に陥らせた背景と考えられます。但し、日足ローソク足が依然として全てのテクニカルポイントの上側で推移していることや、上位足から下位足に至る全ての期間で強い買いシグナルが点灯していること等を踏まえれば、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます(下値余地は限定的)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、日米金融政策の方向性の違いに着目したドル買い・円売り(日米金利差拡大に伴う円キャリートレードの活発化)など、正真正銘、ファンダメンタルズに沿った動きが確認されます。神田財務官は9/6に「ファンダメンタルズでは説明できない動きがみられる」と発言しましたが、市場では「完全にファンダメンタルズに沿った動き」との見方が大勢であるため、さすがに昨年高値151.95を上抜けるまでは実弾介入に踏み切ることは難しいのではないかと考えられます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は本邦4ー6月期GDP二次速報や、米7月卸売在庫確報値、米7月卸売売上高以外に目立った経済イベントが予定されていないため、アジア時間・海外時間を通して、静かな動きとなりそうです(米長期金利や米主要株価指数に振らされる動きを想定)。
本日の予想レンジ:146.50ー148.00
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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