148円手前での足踏み続くも147円割れ回避で高値圏維持
〇ドル円、9/7午前147.87へ上昇し年初来高値を更新、市場介入警戒感抱えつつ徐々に高値を切り上げ
〇米新規失業保険申請件数4週連続の改善、労働市場のひっ迫感を意識させて発表後はドル高反応
〇ダラス連銀総裁「利上げ見送りは打ち止めではない」として11月FOMCでの追加利上げに含み
〇9/7米長期債利回りは総じて低下、10年債利回りは高値切り上げ後に反落、30年債利回りも上げ渋り
〇NYダウ3日ぶり反発、ナスダックは4営業日続落、中国政府職員アップル製品使用禁止の影響も
〇147.01以上での推移中は147.60超えから147.87試し、高値更新からは148円台序盤への上昇を想定
〇147.01割れからは146円台中盤(146.65から146.35)への下落を想定
【概況】
ドル円は9月7日午前に147.87円へ上昇して1月16日安値127.22円以降の高値を更新、その後は市場介入警戒感から失速してNY時間には147.04円まで下げたが、147円割れを回避して戻している。
9月7日は米週間新規失業保険申請件数が4週連続の改善となり、ユーロやポンドが凡そ3か月振り安値を更新、人民元がオンショアで16年ぶり安値を付けるなどドル高優勢の流れが強まったが、ドル円は新規失業保険申請件数発表後に一時的に戻したものの早々に売られて147.04円へ下げるなど上値の重い展開となった。
9月6日朝に財務省の神田財務官が円安けん制発言を行ったことで円安にブレーキがかかっているものの、財務官発言後の6日午前に147.81円へ上昇して7日午前にも高値を更新するなど、高値警戒感を抱えつつも徐々に高値を切り上げてきている。財務省の神田財務官は9月6日朝に、「足元をみると投機的な行動あるいはファンダメンタルズでは説明できない動きが見られており、高い緊張感を持って注視している」、「昨年に続いて今年も急激な変動が起こっている。こういった動きが続くようであれば、政府としてはあらゆる選択肢を排除せずに適切に対応する」と述べており、昨年9月と10月の市場介入を意識させるような発言を行っている。
【米新規失業保険申請件数は4週連続の改善】
米労働省による新規失業保険申請件数は9月2日までの週間で21万6000件となり、前週の22万9000件から1万3000件減少して市場予想の23万4000件を下回った。4週連続の改善で今年2月11日以来の低水準だった。失業保険受給者数は8月26日までの週間で167万9000人となり、前週の171万9000人から4万件減少して7月15日以来の低水準となった。いずれも労働市場のひっ迫感を意識させて発表後はドル高反応がみられた。
米労働省による第2四半期の非農業部門単位労働生産性改定値は3.5%上昇して速報値の3.7%上昇から下方修正されたが第1四半期の1.2%低下から改善、2020年第3四半期以来凡そ3年ぶり高水準となった。また第2四半期単位労働コスト改定値は2.2%上昇となり、2022年第4四半期以来の低水準だったが、速報値の1.6%上昇から上方修正された。
【FRB高官発言は追加利上げに含みを持たせる】
NY連銀のウィリアムズ総裁は9月7日に「政策金利が十分に制約的かどうかは未解決の問題」とし、「9月19-20日の次回FOMCまでにはまだ多くのデータが発表される」として今後の判断は指標次第として追加利上げが妥当なのか利上げ打ち止めとすべきかについては明言しなかった。
ダラス連銀のローガン総裁は7日に、9月FOMCでは「利上げを見送るのが適切」とはっきり述べたが、「見送りは打ち止めではない」として11月FOMCにおける追加利上げの可能性に含みを持たせた。同総裁は「景気が鈍化するなら追加の金融引き締めはさほど必要なくなる」とも述べたが、「過度なインフレが解消したとはまだ確信できない」「まだやるべきことが残っている」としてややタカ派姿勢を示した。
9月6日にはボストン連銀のコリンズ総裁が「政策金利は暫くは景気抑制的な水準で維持する必要がある」、「指標次第では一段の引き締めが妥当」として利上げ状態の長期化や追加利上げ余地に言及している。
【米10年債利回りは高値切り上げ後に反落、ダウは反発、ナスダックは続落】
9月7日の米長期債利回りは総じて低下した。長期金利指標の10年債利回りは9月1日から6日まで休場を挟んで3連騰となり、7日も一時4.31%を付けて1日の4.06%以降の高値を更新したが、その後は連騰一服で失速して前日比0.03%低下の4.25%で終了した。
30年債利回りも0.02%低下の4.34%となり、8月31日の4.18%からの上昇で6日には一時4.40%を付けたがその後は上げ渋りに入っている。利上げに敏感な2年債利回りは9月1日から6日まで3連騰し、1日安値4.76%から6日高値5.04%まで切り返して8月28日の5.11%および7月6日の5.12%へ迫っていたが、7日は上昇一服で前日比0.06%低下の4.96%となった。
株式市場ではNYダウが前日比57.54ドル高と3日ぶりに反発したが、中国の政府職員のアップル製品使用禁止の影響もありナスダック総合指数は123.64ポイント安と下落、9月1日からは4営業日続落した。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
ドル円は9月6日午前高値147.81円から9月7日午前高値147.87円へ高値を切り上げ、6日午後と8日未明に147円近辺まで下げたものの147円割れを回避した。9月7日高値を超えずに147円を割り込む場合は7日午前高値を頭として60分足レベルの三尊天井型となり146円台中盤へ下落する可能性が高まると思われ、その際は13日午後にかけて続落しやすくなると考える。
9月7日午前高値を超える場合は、再び147円を試す揺れ返しの下落となる可能性もあるものの、底上げをしてさらに高値を切り上げるなら9月8日未明安値を起点とした上昇期入りとして14日午前にかけての上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では9月7日夜の下落時に遅行スパンが悪化したが、8日未明安値で先行スパン下限に到達したところからは持ち直している。遅行スパンの悪化中は一段安警戒とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まるとみるが、先行スパンを上抜き返す場合は上昇感が強まるとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は9月8日未明安値時に30ポイント台へ低下してから持ち直し気味となっているので、50ポイント超えからは上昇再開とみて70ポイントを目指す上昇を想定するが、再び40ポイントを割り込む場合は下げ再開の可能性に注意し、147円を割り込む場合は20ポイント台前半への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、147.01円を下値支持線、9月7日午前高値147.87円を上値抵抗線とする。
(2)147.01円以上での推移中は147.60円超えから147.87円試しとし、高値更新からは148円台序盤への上昇を想定する。148円以上は反落警戒とするが、147.50円以上を維持しての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)147.01円割れからは146円台中盤(146.65円から146.35円)への下落を想定する。146.50円以下は反騰注意とするが、147円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
9/8(金)
14:00 (日) 8月 景気ウオッチャー現状判断DI (7月 54.4、予想 54.4)
14:00 (日) 8月 景気ウオッチャー先行判断DI (7月 54.1、予想 53.4)
15:00 (独) 8月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前月比 (速報 0.3%、予想 0.3%)
15:00 (独) 8月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (速報 6.1%、予想 6.1%)
23:00 (米) 7月 卸売売上高 前月比 (6月 -0.7%)
28:00 (米) 7月 消費者信用残高 前月比 (6月 178.5億ドル、予想 160.0億ドル)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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