豪州中銀金融政策記者発表
(出所:豪州中銀HPから)
本日、豪州中銀の金融政策会合では、大方の予想に反し金利は据え置きになりました。また先々の利上げもデータや今後のリスク次第としています。
以下は今回の要旨です。
(金融政策決定)
本日の会合で、委員会はキャッシュレート(OCR)の目標を変更なしの4.10%に据え置きを決定し、そして為替決済残高に支払われる金利率を4.00%で変更なしとした。
金利は昨年5月以降、4%ポイント上昇した。より高い金利率は、経済の需給においてより持続的バランスを確立するために作用しており、今後も続ける見込みである。この点や経済の先行きを取り巻く不確実性に鑑み、委員会は今月も再び金利の据え置きを決定した。これにより、今日までの金利上げ幅や経済見通しへの影響を査定する更なる時間が与えられる。
豪州のインフレは下がっているが、6%とまだ非常に高い。商品価格のインフレは緩んだが、多くのサービス価格は活発に上昇している。家賃のインフレもまた上昇した。CPIインフレに関する中銀の予想は2024年末には約3.25%、2025年の終わり頃には目標レンジの2〜3%内に戻るまで下がり続けるとみている。
豪州の経済はトレンドを下回る成長の期間を経験しており、これは暫くの間続くと予想されている。家計消費の伸びは、住宅投資同様に弱まっている。中銀のGDP見通しは2024年を通して約1.75%、その翌年には2%を少し越えるとみている。
労働市場の状況は少し緩和したけれども、まだ非常にタイトなままである。企業の報告によれば労働不足は緩和されたとあるけれども、求人や求人広告はまだ非常に高い水準にある。経済や雇用の予測がトレンドを下回る伸びの中、失業率は現行水準の3.5%から来年末には4.5%へ徐々に上昇すると予想されている。賃金の伸びはタイトな労働市場や高インフレに呼応するように上昇している。総計の水準では、賃金の伸びは、生産性の伸びが上昇することで、インフレ目標とまだ一致している。
妥当な時間内でインフレを目標内に回帰することが委員会の最優先事項である。高インフレは人々の生活を困難にし、経済の機能を損なう。貯蓄の価値を蝕み、家計予算を傷つけ、企業にとっては計画や投資をより厳しくし、所得の不平等性をより悪化させる。もし高インフレが人々の予想に根強くなってきたら、より高い金利率や失業率の一段と高い上昇を巻き込みながら、その後にそれを引き下げるには非常にコストがかかるだろう。現在まで、中期インフレ期待はインフレ目標と整合的であり、これがそのままであることが重要である。
最近のデータはインフレを予想する期間で2〜3%に戻ることや生産や雇用は増加することと整合的である。しかしながら、大きな不確実性がある。サービス価格インフレは海外では驚くほどにしつこいものであり、同様なことが豪州内でも起きる可能性がある。また、金融政策執行の遅効性(ラグ)や企業の価格に関する意思決定や賃金が、労働市場がタイトなままである時期に経済の減速に対してどのように反応するかに関する不確実性もある。家計消費の見通しもまた不確実性の継続的な要因である。多くの家計は財力を絞り出すのに苦痛を経験しており、一方で、幾つかの家計は住宅価格上昇や、十分な貯蓄のバッファー、あるいは高金利収入の恩恵を受けている。全体では消費の伸びは生活コスト圧力や高金利の組み合わせにより減速している。
インフレを妥当な時間内で目標に回帰することを確実にするため、金融政策の更なる引き締めが必要になるかもしれない。しかしそれはデータや進化するリスクの査定に依存する。この決定を下すに際し、委員会は世界経済の進展、家計消費のトレンド、あるいはインフレや労働市場の見通しに十分注意を払うことになるだろう。委員会はインフレを目標に戻すために断固とした決意のままであり、それを達成するために必要なことを行うつもりである。
(以上)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。(出所:豪州中銀HP)
豪ドル米ドルは公表前に0.6700付近で推移していましたが、予想外の据え置きに0.6655絡みまで売られました。まだシカゴポジション396内にある、「今週の3角保合いは0.6530〜0.6890で見ておきます」の範囲内で推移しています。地合いは豪ドルが弱い流れを続けています。
尚、豪州中銀の金融政策の決定は次回以降データ次第となっているので、材料としては17日(木)の失業率、28日(月)の小売売上高、30日(水)のCPI辺りが注目されます。また16日にはNZ中銀の金融政策が予定されています。
次回の豪州中銀金融政策は9月5日(火)に予定されています。
(2023年8月1日15時30分、1豪ドル=0.6656米ドル)
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.12.07
南アランド円週報:『南アGDPはマイナス成長を記録。来週は南アフリカのインフレ指標に注目』(12/7朝)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は、11/7に記録した約4ヵ月ぶり高値8.86円をトップに反落に転じると、今週初に、一時8.18円(9/20以来の安値圏)まで急落しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.12.07
トルコリラ円週報:『リセッションと高インフレの二重苦で弱含み。来週も続落リスクに要警戒』(12/7朝)
トルコリラの対円相場は、今週前半にかけて、約2ヵ月ぶり安値となる4.27円(10/4以来の安値圏)まで急落しました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.12.07
来週の為替相場見通し:『日米金利差縮小で円キャリートレードの巻き戻しが活発化』(12/7朝)
ドル円は11/15に記録した約3カ月半ぶり高値156.75(7/23以来の高値圏)をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、一時148.64(10/11以来の安値圏)まで急落しました。
-
オーストラリアドル(AUD)の記事
Edited by:橋本 光正
2023.07.31
豪州政策金利(キャッシュ・レート・ターゲット)の予想(23/7/31)
2023年8月1日火曜日東京時間13時30分に公表予定です。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。