トルコリラ円見通し 3日連続陰線で一時7円を割る、米銀破綻連鎖懸念で急激な円高に圧される(23/3/14)

トルコリラ円の3月13日は概ね7.12円から6.97円の取引レンジ、14日早朝の終値は7.02円で先週末終値の7.12円からは0.10円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し 3日連続陰線で一時7円を割る、米銀破綻連鎖懸念で急激な円高に圧される(23/3/14)

3日連続陰線で一時7円を割る、米銀破綻連鎖懸念で急激な円高に圧される

〇トルコリラ円、3日連続陰線で3/13夜には6.97円へ一段安
〇当面はドル円の下落と共にトルコリラ円も安値試しへ向かいやすい
〇対ドル、3/13の取引レンジは18.72-19.07。3/14早朝終値18.97で史上最安値更新続く
〇3/13トルコ中銀発表の1月経常収支は98.49億ドルの赤字、12月から倍近い急増ぶりで過去最大
〇7.08以下での推移中は一段安余地あり、6.97割れからは6.93-6.90への下落を想定
〇7.05-7.08にかけては戻り売りにつかまりやすいが、7.08超えから反騰継続とみて7.10前後へ上昇想定

【概況】

トルコリラ円の3月13日は概ね7.12円から6.97円の取引レンジ、14日早朝の終値は7.02円で先週末終値の7.12円からは0.10円の円高リラ安となった。
ドル円は先週末の米雇用統計内容が強弱まちまちだったことと米銀の破綻報道による米長期債利回りの急低下で3月10日深夜には安値で134.10円へ急落していたが、週明けの13日早朝には先週のシルバーゲート銀とシリコンバレー銀の破綻に続いてNY州の地銀であるシグネチャー銀の破綻が報じられたために133.52円へ下落し、13日夜には132.27円まで大幅続落した。
トルコリラ円はドル円の騰落を見ながら3月8日午後高値7.29円から下落に転じていたが、10日夜の円高局面で7.07円へ下落、13日早朝に7.03円へ安値を切り下げ、13日夜には6.97円へ一段安した。その後はドル円が133円台へ戻した流れで7円台を回復しているものの、米銀の破綻連鎖が拡大する懸念が拭えず、FRBによる3月FOMCでは利上げそのものが見送られる可能性もあることから当面はドル円の下落と共にトルコリラ円も安値試しへ向かいやすい状況と思われる。

【対ドルでの史上最安値更新続く】

ドル/トルコリラの3月13日は概ね19.07リラから18.72リラの取引レンジ、14日早朝の終値は18.97リラで先週末終値の18.96リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
中長期的なリラ安基調が継続する中、2月6日のトルコ南部大地震の影響と2月23日のトルコ中銀による地震対策での利下げ等をきっかけにリラ安が徐々に勢いを増しており、3月10日には19.00リラをつけて取引時間中の史上最安値を更新したが、週明けも19.07リラへと最安値をさらに更新した。終値べースでも3月10日終値18.96リラで最安値を更新していたが、3月13日終値18.97リラでさらに安値更新となった。

米銀の破綻報道が続く中でリスク回避による米長期債利回りの大幅低下で為替市場ではドル安で推移しているが、金融市場全般の不安が高まれば投資家のポジション圧縮と損切及び換金売りでドル圏投資家によるドルの買い戻しも発生する。今のところはユーロやポンドが買われており米国の問題という認識でのドル売りが優勢ではあるが、不安心理が一段と進むと新興国への投資ポジションの圧縮から手が付けられて新興国通貨売りが勢い付くことは過去の金融危機で再三経験していることだ。特に今のトルコは大地震、成長鈍化、高インフレの中での利下げ等による政策不安、5月の大統領選挙へ向けた政局不安などの脆弱面が突かれることにも注意しておきたい。

【経常収支は過去最大の赤字に】

【経常収支は過去最大の赤字に】

3月13日にトルコ中銀が発表した1月の経常収支は98.49億ドルの赤字となり、2011年3月の94.07億ドルをこえて過去最大となった。トルコは構造的な経常赤字国であり、最近では2021年11月から赤字続きだが、赤字額は2022年10月に8.53億ドルまで縮小したところから11月の40.66億ドル、12月に59.08億ドルと増加してきたところから倍近い急増ぶりとなった。
既に発表されている1月のトルコ貿易収支は142.4億ドルの赤字で過去最大だったが、世界的なインフレに加えてリラ安に進行で輸入額が上昇する一方、主要国の金融引き締めによる景気減速でトルコの輸出が頭打ちとなってきたことが貿易赤字拡大の背景であり、それがそのまま経常赤字の急拡大に反映されている。

2月6日のトルコ南部大地震による影響で被災地からの輸出が減ることを踏まえれば今後の貿易赤字もさらに拡大しかねず、復興のための財政支出増も踏まえればトルコの財政基盤がますます脆弱となることも危惧される。
3月13日に発表された1月のトルコ小売売上高は前月比5.4%増で12月の3.7%増を上回り、前年同月比は33.9%増で12月の21.4%増を上回ったが、小売の好調さが見られるとはいえ、主要国と比較して異常な高インフレに見舞われていることとリラ安が続いていることを反映しているものとすればトルコ経済の強さを示すとまでは言えないところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月8日深夜に弱気転換目安とした7.22円をいったん割り込んだために9日午前時点では3月8日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして9日の日中から13日昼にかけての間への下落を想定した。
3月10日午前へ続落してから日銀金融政策現状維持発表でいったん戻し、10日夜の米雇用統計から急落したために、現状は3月10日午前安値を直近のサイクルボトム、10日午後高値を同サイクルトップとして弱気サイクル入りしていると思われる。ボトム形成期は15日午前から17日午前にかけての間とし、為替市場全般が乱調な展開のため7.08円を超えないうちは一段安余地ありとし、7.08円超えからは強気サイクル入りと仮定して15日午後から17日午後にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では3月9日午前に遅行スパンが悪化して9日午後には先行スパンから転落したが、その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパンが好転するところからはいったん戻しに入るとみるが、先行スパンに届かないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は3月10日夜に30ポイントを割り込んだ後は50ポイントに届かない範囲での推移にとどまっているのでまだ20ポイント前後への一段安余地ありとみるが、50ポイント超えからはいったん戻しに入るとみて60ポイント台への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.97円を下値支持線、7.08円を上値抵抗線とする。
(2)7.08円以下での推移中は一段安余地ありとし、6.97円割れからは6.90円台序盤(6.93円から6.90円)への下落を想定する。6.90円台序盤では買い戻しも入りやすいとみるが、7円以下での推移が続く場合や直前安値から0.07円を超える反騰が見られないうちは15日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.05円から7.08円にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみるが、7.08円超えからは反騰継続とみて7.10円前後への上昇を想定する。

【当面の主な予定】

3月15日
 17:00 2月 財政収支 (1月 -322.4億リラ)
3月16日
 20:30 週次 外貨準備高 3月10日時点 グロス(3月3日時点 702.8億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3月10日時点 ネット(3月3日時点 206.9億ドル)
3月20日
 23:30 2月 中央政府債務 (1月 417.8億リラ)
3月23日
 16:00 3月 消費者信頼感指数 (2月 82.5)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 8.5%)
 20:30 週次 外貨準備高 3月17日時点


注:ポイント要約は編集部

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