ドル安トレンドでユーロドルも上昇へ
〇先週のユーロドル、安値1.0290つけるも米利上げ幅縮小への言及で上昇、1.0545レベル高値圏で引ける
〇短期的には米金利低下のドル売りがユーロ買いとなる流れ
〇来週のECB理事会は利上げ幅に注目、FRB同様に0.5%へ縮小がコンセンサス
〇週明けもユーロ買いが強いか、ただし1.06台半ばあたりが上値を抑えられやすい水準に
〇今週は1.0510レベルをサポートに、1.0740レベルをレジスタンスとする週とみる
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、月曜にストップオーダーも巻き込んでの上下はあったものの水曜までは1.03台後半を中心としたもみあいが続いていました。水曜のドル買いの動きで一時週間安値となる1.0290レベルをつけましたが、パウエルFRB議長が12月FOMCでの利上げ幅縮小に言及したことから一転ドル売りの動きとなり、週後半はドル安。ユーロ高の動きが続きました。米国雇用統計でもやや下押しした程度で高値圏での引けとなっています。
欧州の景気後退懸念やウクライナ問題による地政学リスクといった悪材料には変化は無いものの、先週は米金利低下の動きがドル円とともにドル売り・ユーロ買いの動きとなり、1.05台半ばに上昇しての引けとなりました。長期的には既に9月の0.95台で底打ちし、ECBの利上げも手伝ってのユーロ買いとなっていましたが、短期的には米金利低下のドル売りがユーロ買いとなっている流れです。
今週は目立った大きな材料もありませんが、来週のECB理事会に向けて12月の利上げ幅が0.75%なのか、0.5%へとFRB同様に利上げ幅を縮小するのか、ECB関係者、市場参加者ともに意見が分かれている状況です。今週は来週のECB理事会に向けて利上げ幅思惑でユーロドルに動きが出てきそうですが、昨日のフランス中銀総裁がインタビューで0.5%利上げの見通しを示したことで、現時点では米国同様に利上げ幅を縮小しハードランディングを避ける方向という見方がコンセンサスになりつつあります。
テクニカルには強い地合いを維持していますが、1.06水準はいったん上昇ペースが鈍りやすい水準でもあります。日足チャートをご覧ください。
年初来高値と安値の半値戻しが1.0514で11月は大台とも重なる同水準を意識してダブルトップ状のチャートパターンを形成していましたが、先週金曜の終値で上抜けたことで、週明けもユーロ買いが強く、次のターゲットとなる61.8%戻しの1.0746レベルが5・6月高値と重なることもあって、意識されやすい水準です。
ただ、年初来安値からのサポートラインと平行に引いた上昇チャンネルを上抜けた後は上側ラインをサポートとしながらも、さらにそれと平行に引いたラインがレジスタンスとなってくる可能性が高いのではないかと考えています。今週はそのラインが1.06前後を上昇中です。つまり、1.06台半ばあたりがいったん上値を抑えられやすい水準になってくるというのが個人的な見方です。
いっぽうで下値は1.05の大台が強いサポートとなって、その手前ではユーロ買いが出やすくなってくると見られます。今週はこれらの水準を参考に、1.0510レベルをサポートに、1.0740レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
今週もユーロ円の日足チャートを見ておきましょう。
先週はドル円での円高の動きがユーロ円にも波及したことで、ピンクの上昇チャンネルのサポートラインを下抜ける動きとなり、10月高値からの下降チャンネル(青)の中での動きに転じたことが確定しました。
安値がちょうど下降チャンネルの下側のラインで止まったことから、短期的には下がって行く青のラインを下限に、上がっていくピンクのラインをレジスタンスとする動きになっていくと考えています。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
12月5日(月)
10:45 ラガルドECB総裁講演 ☆
17:00 フランス中銀総裁講演
17:50 フランス11月サービス業PMI
17:55 ドイツ11月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏11月サービス業PMI
18:00 アイルランド中銀総裁講演
18:30 英国11月サービス業PMI
19:00 ユーロ圏10月小売売上高
12月6日(火)
09:01 英国11月小売売上高
16:00 ドイツ10月製造業新規受注
18:30 英国11月建設業PMI
12月7日(水)
16:00 ドイツ10月鉱工業生産
16:45 フランス10月貿易収支
19:00 ユーロ圏7〜9月期GDP確報値 ☆
12月8日(木)
09:01 英国11月住宅価格
21:00 ラガルドECB総裁講演 ☆
12月9日(金)
(特になし)
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
11月28日(月)
ユーロドルは東京市場ではドル円だけでなくユーロ円の売りも出たことから上値の重たい展開となっていましたが、欧州市場以降は急速に水準を切り上げ、ストップオーダーも巻き込みながら1.0497レベルの高値をつけました。NY市場では逆に日計りの投げも出て米金利上昇とともに1.0330レベルまで水準を下げ、行って来いの一日で終わりました。
11月29日(火)
ユーロドルは米金利の低下と上昇の動きを受けてユーロ買い後のユーロ売りとなりましたが一日の値幅は75pipsと狭く、予想よりも弱いドイツのCPI速報値にも反応薄でした。各国のCPIよりも30日発表のユーロ圏CPIを確認したいという印象でした。
11月30日(水)
ユーロドルは東京時間からユーロの買い戻しが若干目立っていましたが、NY市場前場のドル買いの動きで1.0290レベルまで下げ、後場のパウエル議長の講演では1.0429まで買われての引けとなりました。ただユーロ円の動きがドル円に追随したことからユーロドルの値幅はそれほど大きなものとはなりませんでした。
12月1日(木)
ユーロドルは前日に続いてドル安の動きとなりましたが、東京市場ではユーロ円の売りも強く、ユーロドルは若干底堅い程度の動きに留まっていました。クロス円の影響もあって欧州市場序盤には一時1.0393レベルの日中安値をつけたもののすぐに買い戻され、その後はドル売りの動きとともに1.0534レベルまで水準を切り上げ高値引けとなりました。
12月2日(金)
ユーロドルは1.05台前半でもみあいが続き、欧州市場でドル円が下げた時もユーロ円が同様に下げたことからユーロドルはもみあいのままNY市場入りしました。予想よりも強い雇用統計後は1.0428レベルの安値をつけましたが、その後は買い戻しが目立ち1.0540レベルと高値圏での引けとなりました。
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