欧州中央銀行(ECB)政策金利に関する要旨
昨日、7月開催のECB金融政策会合の議事要旨の発表がありました。大多数のメンバーが利上げ50ベーシスに賛同し、金融正常化期にはフォワードガイダンスの有効性が低下するなどの議論が行われました。また9月以降の会合では、会合毎に対応していくことで合意しています。
市場はこの内容にあまり反応しませんでした。次回会合は9月7日・8日に予定されています。
以下が昨日の要旨内容です。
(金融政策のスタンスと政策に関し考慮すべき事柄)
金融政策スタンスの査定に目を向けると、メンバー達は金融政策の正常化に向けた道のりで、更なる歩みを取ることが適切であると合意した。ここ数ヶ月間、インフレは予想以上の高まりを繰り返し、運営審議会が6月に予想した上振れリスクの幾つかが顕在化し、一方エネルギー価格の一段の上昇が経済成長見通しを削いでいる。また中期的なリスクも高まっている。経済が一連の供給ショックに見舞われた時、金融政策が効果的な支援を提供できなかったことが思い起こされた。パンデミック期間中に見られた様に、各国政府は家計や企業への支援に、より良いものが提供でき、金融政策はインフレの進展に焦点をあて、ECBの使命に沿って必要な行動を採った。
6月の運営審議会以降、インフレ圧力はとりわけ短期間で強まったと判断された。市場ベースのインフレ期待尺度と調査ベースの長期インフレ期待の双方が、幅広い意味で運営審議会の中期インフレ目標に沿ったものであったとしても、持続的な高インフレはより長期のインフレ期待の上昇リスクを止められないことを強調した。インフレ期待の継続的な繋ぎ止めは、悪化するインフレ見通しに関し、運営審議会の決定的な行動に依存していることだとの警告を受けた。
これらの背景に対し、インフレを中期の2%目標に戻す運営審議会の決断を再確認することが適切であるとした。
(中略:TPI「Transmission Protection Instrument 」に関する項目は略)
(注)ECBの金融政策を欧州圏に広く伝達することを阻む市場の無秩序な動きに対抗する措置で、具体的にはECBが自身のある発動条件を基に、ある国の国債市場を支える仕組みと言われています。今回の序文でレーン氏が提案したTPIを全会一致で支持しています。
現状の金融政策スタンスについて考慮すると、ほとんど大多数のメンバーは、レーン氏によって提案されたECBの主要金利を50ベーシス引き上げることが適切であることに合意した。
50ベーシスの利上げは、運営審議会の6月会合以降のインフレ見通し悪化を考慮すると、正当化されると見られる。それ故、運営審議会は前回会合で示されたよりも、金融正常化に向けた一段と大きなステップを採る。これにはデータ依存や選択制の原則を適用する。これにより行動への決意や使命を果たすという明確なシグナルを提供すると見られている。
一部の委員は、ECBの主要金利を25ベーシス引き上げることに賛成する議論もあった。これは意図された動きが6月会合で示されており、運営審議会の先の話し合いで整合性を維持するものでもあるとした。リセッションリスクが迫る中で、25ベーシスの利上げはゆったりとした金融正常化により沿っていると見られた。(以下一部略)
今回の会合で50ベーシス利上げする決定はマイナス金利からの出口前倒しであり、金融政策を正常にするために必要な金利調節の1つであるとしてみなされるべきと強調された。(以下一部略)
9月の会合や更に先を展望すると、金利決定に対し、会合毎のアプローチで変えていくというレーン氏の提案に幅広い支持が表明された。金利に関するフォワードガイダンスは、金利が実効の下限に近づいている時には強力な武器であるが、正常化局面ではその有効性は著しく低下すると判断された。非常に不確実性が高い現状の環境下では、将来の金利道筋に関する明確なフォワードガイダンスは運営審議会の選択肢、柔軟性、データ依存性を著しく制約すると見られる。状況が変化した後、反対の政策をする必要がある決断に運営審議会が自らを縛り付けるリスクがある。
(以下略)
(以上)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
(2022年8月26日14:00、1ユーロ=0.9965ドル)
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