基調転換の可能性も、ドル下値は正念場(週報8月第1週)

先週のドル/円相場はドルが大幅続落。6月17日以来、一時1ヵ月半ぶりの132円台を示現する局面も観測されていた。

基調転換の可能性も、ドル下値は正念場(週報8月第1週)

基調転換の可能性も、ドル下値は正念場

〇先週のドル円はFOMC後にドルが大幅続落、6/17以来の132円台に
〇FOMC後の会見でパウエル議長「いずれ利上げペース落とす」と述べドル急落トリガーに
〇米GDP速報値が2期連続マイナス成長、米景気マイルドリセッション入りもドル安進行に拍車かける
〇今週は、7月ISM製造業景況指数や同雇用統計など重要な米経済指標の発表相次ぐ
〇今週のドル/円予想レンジは、132.00-135.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが大幅続落。6月17日以来、一時1ヵ月半ぶりの132円台を示現する局面も観測されていた。

前週末は、「穀物輸出」合意の翌日にロシアがオデッサ港を攻撃したとして物議を醸す。また7月26-27日の米FOMCが注目を集めるなか、米財務長官が「米経済は広範なリセッションに陥っている兆しが見られない」と述べたと伝えられていた。
そうした状況下、ドル/円は136.10-15円で寄り付いたのち、当初はドル買い優勢。週間高値の137.46円まで緩やかな右肩上がりをたどっている。しかし、週間最大の注目材料だったFOMCを境に流れが一変。下方向のストップロスを次々に巻き込むなか、あれよあれよという間に132.51円まで5円近くも値を下げた。そののち週末にかけては、若干のドル買い戻しも観測され、週末NYは133.20-25円で取引を終え、越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策とファンダメンタルズ」と「ロシア情勢」について。
前者は、現地時間7月27日に米FOMCの結果が明らかとなり、「0.75%」の利上げ実施と発表された。予想通りではあったが、これそのものはドル高支援要因。しかし、パウエルFRB議長が会見で、次回9月(8月は会合なし)以降は「利上げの判断をデータ次第とする」、「いずれ利上げペースを落とすことになる」などと述べたことが市場の金利先高観を殺ぐ結果となり失望を誘うと、その後のドル急落トリガーを引いた感も否めない。また、その翌日に発表された、こちらも注目の米経済指標、4-6月期の米GDP速報値が2期連続のマイナス成長に。米景気の「マイルドリセッション」入りが声高に指摘され始めるとドルの下押し機運がさらに強まると、一段のドル安進行に拍車をかけていた。

対して後者は、ウクライナにおける実際の戦闘もさることながら、ここのところ話題の中心は次の2つ。すなわち「穀物輸出問題」と「エネルギー供給問題」になる。うち前者は7月22日、ロシアとウクライナは輸出再開と航路の共同監視を柱とする合意文書にそれぞれ署名したが、その舌の根も乾かぬ翌23日にロシア軍がウクライナ南部オデッサの商業港をミサイル攻撃したことが明らかになった。結果として、その後も合意の履行が尾を引く結果に。一方後者は、7月21日に点検が明け、ロシアから欧州に天然ガスを送る主要パイプライン「ノルドストリーム1」からの供給そのものは再開されたが、供給量は元の水準に遠く及ばないことが大きな懸念材料として取り沙汰されている。むしろ、パイプライン「ノルドストリーム1」を運営するガスプロムが「ガスの輸送量を8割減らす」と発表するなど、冬の需要期に向け、先行きを不安視する声も少なくない。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円相場は、7月27日に記録した137.46円を目先高値に、そののちおよそ5円の下押しが入った。久しぶりの大きなドル安進行であり、本格的なドル高の調整が入ったことになる。ちなみに市場では、まだ大きな流れ、中期的なドル高基調そのものは変わっていないと予想する向きが優勢。しかしながら、起点をどこから取るのかで異なるが、仮に5月24日安値126.36円を起点としても約2ヵ月、13円ものドル高が進行してきただけに、トレンド転換についてもそろそろ考える必要がありそうだ。まずは、6月半ば安値131.49円をめぐる攻防に要注意。

米国は、前述したように7月27日のFOMCを含め、2会合連続「0.75%」という大幅利上げを実施したものの、その反動ともいえる景気減速が鮮明となってきた。これまでのように日米金利差だけに着目し、積極的にドルを買っていくことは出来ないとの指摘も少なくない。しばらくは広義の米ファンダメンタルズに市場の関心が集まりそうで、具体的には発表される経済指標や企業決算、株価の動きなどに一喜一憂する展開か。ドルのさらなる下押しには要注意だが、まだしばらくは底堅い展開を見込む向きも多いようだ。

テクニカルに見た場合、ドル/円は先週目先高値から5円近い下げを記録したこともあり、週足は2週続けての陰線引けとなった。これだけでも基調転換などが警戒されるものと言えるが、そのほかたとえばドルの下値を支えてきた移動平均の21日線をしっかりと割り込んでもいる。さらに、6月半ば安値131.49円を起点とした上げ幅のフィボナッチでは、半値戻しや61.8%戻しだけでなく76.4%戻しの133.35円も下回っている。100%戻しも否定できない状況だ。

今週は、7月のISM製造業景況指数や同雇用統計など重要な米経済指標の発表が相次ぐうえ、米企業に加え欧州企業の決算発表も多く予定されており、こちらも要注意。また、今週はペロシ米下院議長が日本などアジアを歴訪するが、そのなかで台湾を訪問するのか否か、仮に訪問するとなれば中国がどういった行動に出るのかにも注目だ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、132.00-135.50円。ドル高・円安については、目先ドル安値を示現後のドル戻り高値134.60円レベルをめぐる攻防にまず注目。抜けると135円台を目指すが、上値はかなり重そうだ。
対してドル安・円高方向は、先週安値の132.51円が最初のサポートか。下回ると、6月半ば安値の131.49円がターゲットとなる。

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ドル円日足

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