トルコリラ円見通し ドル円が戻すもドル高リラ安基調継続に圧迫されて持ち合いに(22/7/21)

トルコリラ円の7月20日は7.90円から7.84円の取引レンジ、21日早朝の終値は7.85円で前日終値の7.87円からは0.02円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル円が戻すもドル高リラ安基調継続に圧迫されて持ち合いに(22/7/21)

ドル円が戻すもドル高リラ安基調継続に圧迫されて持ち合いに

〇トルコリラ円、21日早朝の終値は7.85、前日終値の7.87からは0.02円の円高リラ安
〇対ドルでは軟調推移続け12/23以降の安値更新、終値ベースでの史上最安値も更新
〇20日発表のトルコ7月消費者信頼感指数は68.0となり6月の63.4から改善
〇本日はトルコ中銀政策金利発表、予想通り14%で維持なら市場の反応も限定的か
〇7.90前後では戻り売りも出やすいとみるが7.90を超える場合は7.93前後への上昇を想定
〇7.84割れからは下げ再開とみて19日夜安値7.81試し、底割れからは7.77前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円の7月20日は7.90円から7.84円の取引レンジ、21日早朝の終値は7.85円で前日終値の7.87円からは0.02円の円高リラ安だった。
ドル円が7月14日夜高値139.39円へ上昇したことに押し上げられ、ドル円の上昇が一服した7月15日はドル/トルコリラでのリラ反発が勝って8.02円まで高値を切り上げていたが、ドル円が7月19日夜安値137.37円へ続落したこととドル/トルコリラにおいてもドル高リラ安がぶり返したために7月18日から19日へと続落、19日夜には7.81円の安値を付けた。
7月20日はドル円が19日夜からの反発継続したものの138円台序盤の揉み合いにとどまる中、ドル/トルコリラでのドル高リラ安が進行したことに圧迫されたため、新たな安値更新は回避したものの7.84円から7.90円までのレンジ内にとどまった。

【ドルトルコリラは終値ベースの史上最安値更新続く】

ドル/トルコリラの7月20日は17.62リラから17.47リラの取引レンジ、21日早朝の終値は17.60リラで前日終値の17.56リラから0.04リラのドル高リラ安となった。
6月24日にトルコ財務省が国内の外貨保有企業に対して制限を超える保有のある場合は新規のリラ建て融資を禁止すると発表したことで直前の17.40リラ台から15.90リラまで一時的に急騰したが、戻りは2日間に終わってドル高リラ安が再開、7月18日、19日と終値ベースで史上最安値を更新し、19日は安値で17.59リラを付けて取引時間中の安値としては12月23日高値10.06リラ以降の最安値となった。
7月20日はユーロドルがパリティ割れからの反騰一巡で失速したほか、14日夜から反発していたポンドや豪ドルなどが下落してドル高感が再燃し、ドル/トルコリラも21日夜のトルコ中銀MPCにおける政策金利維持見通しから軟調推移を続けて12月23日以降の安値を更新、終値ベースでの史上最安値も更新した。
昨年12月20日に付けた取引時間中の史上最安値18.36リラへ徐々に迫る展開であり、17.50リラで下げ止まれなかったことにより市場心理としても18リラ台への下落感が強まってきている印象だ。

【トルコの消費者信頼感指数は改善】

7月20日に発表されたトルコの7月消費者信頼感指数は68.0となり6月の63.4から改善した。
今年1月から3月までは70ポイント以上を維持していたところからインフレ悪化やウクライナ戦争の影響などにより4月に67.3へ低下、6月には63.4まで下げていたが7月はやや落ち着いた。しかし昨年3月の86.7をピークとした低下基調の範囲での若干のリバウンドとみられ、インフレの悪化が続けば消費者マインドもさらに悪化しかねない状況と思われる。
6月のトルコ中央政府債務は343.1億リラとなり5月の336.4億リラから拡大した。リラ安を反映しているが2020年1月時点で181.2億リラから拡大基調に入り、2021年10月に236.8億リラだったところからは急激な拡大となっており、政府としてもリラ安に歯止めをかけないと債務負担の拡大が財政政策への大きな圧迫要因になりかねないところだ。

【本日は日銀、トルコ中銀、ECBの金融政策決定会合と続く】

本日は昼前後に日銀金融政策発表、午後に黒田総裁定例会見、夜にトルコ中銀とECBの政策金利発表がある。
日銀は従来の金融緩和政策維持と思われるが、展望レポートでは年度末の物価上昇率見通しが4月時点の1.9%から2.0%へ引き上げられ、成長率見通しも4月の2.9%から下方修正されるのではないかと予想されている。物価目標の2%に達してきていることを踏まえて黒田総裁が出口戦略に言及するか金融緩和の継続姿勢を改めて強調して任期中の変更はないという見方が強まるのか注目される。また円安の水準についての具体的な言及の有無も注目される。

トルコ中銀は政策金利の週間レポレートを14%で維持するとみられる。予想通りなら市場の反応も限定的となるのではないかと思われるが、市場がリラ売り攻勢をエスカレートさせるきっかけを与えるか注目される。
高インフレが進行する中で利上げを拒否していることがリラ安の背景だが、ロイター社による調査ではトルコの物価上昇率は第3四半期に84.7%まで跳ね上がると予想されている。、
ECBの利上げ幅については先週まで0.25%利上げの予想だったが、今週に入ってからは0.50%の利上げがあり得るのではないかとの見方が強まったことでユーロの反発を招いた。しかし7月20日は0.50%利上げ予想がやや後退しており、従来の0.25%利上げで落ち着くのではないかとの見方が有力になっている印象だ。
ユーロ動向次第ではいったん収まっていたドル全面高の様相がぶり返す可能性もあるところと注目したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月15日深夜高値をサイクルトップとして弱気サイクル入りしたとしてボトム形成期を18日夕から20日夜にかけての間と想定していたが、7月19日夜に一段安したところから反騰したために7月20日午前時点では7月13日夕安値から4日目となる7月19日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて強気サイクル入りしたとし、新たなトップ形成期を20日夜から22日夜にかけての間と想定した。7月20日から21日午前にかけては持ち合い推移にとどまっているのでまだ上昇余地ありとみるが、7.84円割れからは弱気転換注意とし、7月19日夜安値7.81円割れからは弱気サイクル入りとして22日夜から26日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、7月19日夜安値から反発したもののその後を揉み合いにとどめているため方向感に乏しい。遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパン上限が上値抵抗となりやすいとみて、遅行スパン悪化からは下げ再開注意とし、7.84円割れからは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は7月19日夜に20ポイント割れまで一段安してから反発し、その後も40ポイント前後を支持線としてしっかりして7月21日午前には50ポイント台後半へ上昇している。40ポイント以上での推移中は60ポイント台中後半への上昇余地ありとみるが、40ポイント割れからは下げ再開と仮定して20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.84円を下値支持線、7.90円を上値抵抗線とする。
(2)7.84円以上での推移中は上昇余地ありとみる。7.90円前後では戻り売りも出やすいとみるが7.90円を超える場合は7.93円前後への上昇を想定する。また7.84円以上での推移なら22日午前にかけての高値を試す余地ありとみる。
(3)7.84円割れからは下げ再開とみて7月19日夜安値7.81円試しとし、底割れからは7.77円前後への下落を想定する。7.77円以下は買い戻し入りやすいとみるが、7.83円以下での推移なら22日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7月21日
 20:00 トルコ中銀MPC(金融政策委員会) 週間レポレート (現行 14.0%、予想 14.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 7/15時点 グロス (7/8時点 588.7億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 7/15時点 ネット (7/8時点 60.7億ドル)
7月25日
 16:00 7月 製造業景況感 (6月 106.4)
 16:00 7月 設備稼働率 (6月 77.6%)
7月28日
 16:00 7月 経済信頼感 (6月 93.6)
 20:00 トルコ中銀 年末予想インフレ率 (6月 42.8%)
 20:30 週次 外貨準備高 7/22時点

注:ポイント要約は編集部

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