ユーロドルは横方向のもみあい(週報1月第3週)

先週のユーロは金曜には高値1.1482レベルと月曜安値から200pips近い上げとなり、11月下旬のオミクロン株ショック以来の値幅となりました。

ユーロドルは横方向のもみあい(週報1月第3週)

ユーロドルは横方向のもみあい

〇先週のユーロ、高値1.1482レベル、月曜安値から200pips近い上げ
〇米利上げ前倒し思惑背景とした株安によるドル円でのドル売りの動きがユーロドルに波及
〇ユーロドル、米国株や米金利動向に左右されやすい状況続く
〇今週は欧州主要国CPI、ECB理事会議事要旨、ユーロ圏1月消費者信頼感速報値発表予定
〇今週は1.1360レベルをサポートに1.1480レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは週初からドル円がリードしてのドル売りの動きが目立ち、金曜には高値1.1482レベルと月曜安値から200pips近い上げとなり、ドル円同様に11月下旬のオミクロン株ショック以来の値幅となりました。材料的には週初の米ロ会談懸念がユーロ売りに繋がった程度で、それ以降は米国利上げ前倒し思惑によるリスクオフの株安の動きがドル円でのドル売りとなり、それがユーロドルに波及した流れです。週後半はユーロ円の下げがユーロドルの上昇をやや弱めた格好になりました。

今週は欧州関連では主要国CPI(改定値を含む)が発表されますが、米国と異なりPEPPは3月に終わっても、その後3か月はAPPが倍額と緩和的な政策が続くこととなり、高めの数字が出たとしてもその流れが変わることは無いでしょうから、流れを変えるような材料にはなりません。引き続き外部要因として米国株や米金利の動向に左右されやすい状況が続きそうですが、米国株の動きはドル要因としてユーロドルに与える影響と、円要因としてユーロ円に与える影響とがユーロの動きを相殺する面もあり単純ではありません。

そうなってくると、テクニカルな面を重視したくなりますが、ユーロドルのチャートは先週の上げで重要なチャートポイントを上抜けてきました。いつもの日足チャートをご覧ください。

ユーロドルは横方向のもみあい

これまでユーロドルは11月半ばから上昇ウェッジ(ピンク)の中で長らくもみあいの動きを続けてきました。しかし先週の上げで上側のネックラインに相当する水平線を上抜け、同時に9月高値からのレジスタンスライン(青)も上抜けたことでこれまでのレンジを上にシフトさせてきたと考えることが出来ます。

先週高値は近いところで10月高値と11月安値の61.8%戻し1.1496(赤のターゲット)にかなり近づきましたが、この水準よりも10月安値(ピンクの点線)1.1524レベルのほうがターゲットとなりやすい水準に思えます。米国と欧州との金融政策の差を考えるとユーロ買いには動きにくいのですがテクニカルには下げたら買いのチャートです。

サポートはネックライン1.1380水準が妥当ですが、現行水準からは近すぎる感じもしますので、今週のレジスタンスラインが下がる水準をサポートと考えることとします。今週はサポートに転じたレジスタンスが位置する1.1360レベルをサポートに先週の高値圏1.1480レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。なお、テクニカルには上に動き始めた時の方が速い動きとなりやすい点には注意しておきましょう。

今週のコラム

今週はユーロ円の日足を見てみましょう。

ユーロドルは横方向のもみあい 2枚目の画像

年明け以降の高値圏はやや上振れしてはいますが10月高値と12月安値の61.8%戻し(赤のターゲット)を中心としたもみあいの後に反落しました。米国株の下げが続いた場合の下げのターゲットとしてはドル円の動きが影響しますが、ユーロ円単体で考えると12月安値と1月高値との押しを考えることとなります。

先週の安値は38.2%前後で反発していますが、さらに下げる場合には半値押しの129.48、129円台半ばがターゲットとなりやすいことを意識しておくとよさそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

1月17日(月)
**:** NY市場休場
**:** ユーロ圏財務相会合

1月18日(火)
16:00 英国12月失業率
19:00 ドイツ1月ZEW景況感
19:00 ユーロ圏1月ZEW景況感
26:00 フランス中銀総裁講演
**:** EU財務相会合

1月19日(水)
16:00 英国12月CPI ☆
16:00 ドイツ12月CPI ☆
19:00 ユーロ圏11月建設支出

1月20日(木)
09:01 英国12月住宅価格
16:00 ドイツ12月PPI ☆
16:45 フランス1月企業景況感
19:00 ユーロ圏12月CPI ☆
21:30 ECB理事会議事要旨公表 ☆

1月21日(金)
09:01 英国1月GFK消費者信頼感
16:00 英国12月小売売上高
24:00 ユーロ圏1月消費者信頼感速報値 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月10日(月)
ユーロドルは米露会談を前に売りが先行し一時1.1285レベルの安値をつけましたが、ユーロクロスの買いとともに日計り組の買い戻しも入り、米露間の協議は今後も継続されることから下げ始める前の水準へ戻す行って来いとなりました。ユーロ円は株安の動きに押され一時130.16レベルの安値をつけましたが、こちらも引けにかけてはやや買い戻される動きとなりました。

1月11日(火)
ユーロドルは東京市場ではやや底堅い程度の動きとなっていましたが、欧州市場ではパウエル議長公聴会におけるタカ派発言思惑でドル買いの動きが見られ、NY市場前場に1.1313レベルの安値をつけました。その後はユーロ買い・ドル売りに転じましたが、ユーロドルは前日高値を超えたことでストップオーダーも入り1.1375レベルまで上昇後に若干押して引けました。

1月12日(水)
ユーロドルはNY市場までは動かず、米国CPIが予想通りだったことから米金利低下に反応しユーロ買い・ドル売りの動きとなりました。ユーロドルは1.1453レベルまで上昇後、そのまま高値圏での引けとなりました。

1月13日(木)
ユーロドルは東京市場では動かなかったものの欧州市場に入り前日高値を上抜け、海外市場でも米国新規失業保険申請件数が増えていたことによるドル売りの動きから底堅い地合いのまま引けました。

1月14日(金)
ユーロドルは東京から欧州市場前場まではドル円と歩調を揃えたドルの動きとなり東京後場に週間高値となる1.1482レベルをつけました。NY市場ではダウの下げがユーロ円の売りとなり、ユーロの上値を抑えたこと、また米国が3連休となる週末を控えた短期筋のポジション調整から1.1399レベルまで下げた後に若干戻して引けました。

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