ユーロは対ドル、対円とも下降トレンド継続(週報11月第4週)

先週のユーロは、週初からユーロ売りが強まり17日東京昼過ぎに1.1263レベルの安値をつけました。

ユーロは対ドル、対円とも下降トレンド継続(週報11月第4週)

ユーロは対ドル、対円とも下降トレンド継続

〇先週のユーロドル、ユーロ売り強まり1.1250レベルまで安値広げる
〇ECB総裁利上げ23年以降の姿勢、米国早期利上げ思惑と対照的状況がユーロ安形成
〇今週はユーロ圏11月製造業・サービス業PMI速報値、ラガルドECB総裁講演に注目
〇ユーロ円一時129.05レベルの安値、128円下抜ける動きに注意
〇今週は1.1200レベルをサポートに1.1370レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、週初からユーロ売りが強まり17日東京昼過ぎに1.1263レベルの安値をつけましたが、ドル円とともに急速に値を戻しいったんは安値をつけたかという値動きでしたが、金曜に改めてユーロ売りが強まり1.1250レベルまで安値を広げやや戻しての週末クローズとなりました。先週のユーロドルは週を通して売りが強い流れでしたが、ひとつは米国のテーパリング加速にFRB関係者が言及したことで利上げ前倒し思惑が強まったこと。

そして、もうひとつは欧州の主要国において新型コロナ感染者数が急増、ドイツでは18・19日に過去最大となる5万8千人前後の感染者数が出たことで、ロックダウンを検討といったニュースも飛び出しました。ドイツのロックダウンはその後否定されたものの、隣国オーストリアでは今週からロックダウンを実施することを考えると、ドイツにおいても今後部分的なロックダウンを実施する可能性も否定できません。

前回のドイツ連銀月報においてドイツでは10〜12月期に景気が減速する懸念が示されていましたが、それには現在の感染者数急増は前提として考えられていなかったことから、ドイツにおける景気減速は現実のものとなりそうです。こうした状況を踏まえてラガルドECB総裁はインフレ動向に懸念を示しつつも利上げは2023年以降とし、米国の早期利上げ思惑と対照的な状況が現在のユーロ安を形成している要因となっています。

今週はECB関係者の講演が相次ぎますが、こうした状況下あまりタカ派な発言が出てくるとは思えませんし、製造業・サービス業PMI速報値が弱かったりすると着実に上値を抑える展開となってくることは間違いありません。火曜の東京休場の影響は少ないと思いますが、木曜が米国市場が休場、金曜も短縮取引となり参加者が減少する週後半となりますので、流動性の低下が思いのほか値動きを荒くする可能性がありますし、特に下げ方向での動きには今週も注意が必要でしょう。

テクニカルには着実に年初来安値を更新する展開が続き、先週示した昨年安値と今年高値の61.8%押しとなる1.1288は既に達成してしまいました。もう一度、次のターゲットを追加した週足チャートから見ていきます。

ユーロは対ドル、対円とも下降トレンド継続

ネックラインも下降ウェッジも下抜けたことで現在は1.14水準が戻りの限界点ではありますが既に同水準は遠のきつつあります。いっぽうで下値の次の大きなターゲットは78.6%(61.8%の平方根)押し1.1000がありますが、まだ距離があるため、1.1908を起点とした逆N波動(ピンク)を想定し、127.2%(161.8%の平方根)エクスパンションの1.1202と161.8%エクスパンションの1.1069がターゲットとなってきます。

これらの水準に水平線(ピンクの太線)を引いた日足チャートです。

ユーロは対ドル、対円とも下降トレンド継続 2枚目の画像

下降ウェッジ(青)の下側のラインが今週はレジスタンスとなりやすそうです。動きが速いので戻す時も早いでしょうから、上記近い方のターゲットと組み合わせて今週は1.1200レベルをサポートに1.1370レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週もユーロ円の日足を見ておきます。

ユーロは対ドル、対円とも下降トレンド継続 3枚目の画像

先週はかろうじて年初来安値更新にはなりませんでしたが、8月、9月、11月と3度128円水準で止められています。次にこの128円を明確に下抜けるような動きとなった時には先週のように大きめの下げを再現する可能性が高まります。昨年末高値の127円台前半は最初のターゲットですが、年初来安値の125.08レベルを試しに行く展開になりそうですから、ユーロドルの動きとともに注意して見ておきましょう。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

11月22日(月)
23:00 オーストリア中銀総裁講演
24:00 ユーロ圏11月消費者信頼感速報値 ☆
26:00 スペイン中銀総裁講演
26:30 デギンドスECB副総裁講演 ☆

11月23日(火)
17:15 フランス11月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 ドイツ11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:00 ユーロ圏11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:30 英国11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆

11月24日(水)
15:45 フランス11月企業景況感
18:00 ドイツ11月ifo企業景況感
22:30 米国7〜9月期GDP改定値 ☆
28:00 FOMC議事要旨公表 ☆

11月25日(木)
**:** NY市場休場 ☆
16:00 ドイツ7〜9月期GDP改定値 ☆
16:00 ドイツ12月GFK消費者信頼感
17:00 フランス中銀総裁講演
22:30 ラガルドECB総裁講演 ☆
26:00 英中銀総裁講演 ☆

11月26日(金)
16:00 ドイツ10月輸入物価
16:45 フランス11月消費者信頼感
**:** 米国取引所短縮取引 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

11月15日(月)
ユーロドルはNY前場まではもみあいが続いていましたが、米金利上昇に加え欧州での新型コロナ感染者が増加傾向にあることも嫌気されて対ユーロでのドル買いが強まりました。ユーロドルは年初来安値を1.1356レベルまで切り下げ安値圏での引けとなりました。

11月16日(火)
ユーロドルはNY市場までは上値は思いものの動きは少なかったのですが、ドル円同様にドル買いの動きに押され1.1309レベルまで年初来安値を更新しました。ドル円とドル買いのペースが同様だったこともあり、ユーロ円は横方向のもみあいのまま終わりました。

11月17日(水)
ユーロドルは上値が重たいスタートを切り、東京昼過ぎに前日安値を下抜けるとストップオーダーも加わって一時1.1263レベルの安値をつけました。その後の欧州市場ではユーロドルは買い戻しが目立ちじり高の展開、ドル円でのドル売りの動きがユーロ円の下げにもつながったため、ユーロドルはほぼ横ばいのまま1日を終えました。

11月18日(木)
ユーロドルは終日じり高の展開となり、ほぼドル円と歩調を揃える値動きとなっていました。ユーロ買いの動きはユーロ円が前日の下げを全て回復した動きが大きく影響していた様子でした。

11月19日(金)
ユーロドルは欧州市場序盤までは静かな動きとなっていましたが、新型コロナ感染者数が増えているドイツでロックダウンを検討していること、オーストリアでは週明けからロックダウンが実施されること、といったニュースが嫌気されユーロは対ドル、対円で大きく水準を下げることとなり、それぞれ1.1314レベル、129.05レベルの安値をつけました。しかし、その後ドイツの全土ロックダウンは否定されNY市場では週末前の買い戻しも目立ち、それぞれ1.12台後半(←訂正 ×1.13台後半)、130円間近の水準に戻して引けました。

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