トルコリラ週報:『トルコ中銀は追加利下げ。対円・対ドル共に史上最安値大幅更新』(11/20朝)

トルコリラの対円相場は9/1に記録した約4ヵ月ぶり高値13.34円をトップに反落に転じると、今週末にかけて史上最安値10.05円まで暴落しました。

トルコリラ週報:『トルコ中銀は追加利下げ。対円・対ドル共に史上最安値大幅更新』(11/20朝)

『トルコ中銀は追加利下げ。対円・対ドル共に史上最安値大幅更新』

〇今週のトルコ円、米長期金利上昇によるドル高、トルコ中銀の金利引き下げに週末にかけ10.05まで暴落
〇トルコリラ、対円、対ドルともに史上最安値を大幅更新
〇ローソク足がすべてのテクニカルポイントを下抜け、三役逆転、弱気のパーフェクトオーダー成立
〇ファンダメンタルズもトルコ中銀声明に緩和姿勢の継続が盛り込まれる等トルコ売り材料多い
〇引き続きトルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):9.80ー10.40

今週のレビュー(11/15−11/19)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初11.41円で寄り付いた後、早々に週間高値11.46円まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、@米金利上昇に伴うドル高圧力(トルコ国内からトルコ国外への資金流出圧力)や、Aトルコ経済の先行き不透明感、Bエルバン・トルコ財務相による「我々はインフレと戦っていく」との発言(トルコの場合、インフレ退治=利上げではなく、インフレ退治=利下げを連想)、Cエルドアン大統領による「金利とインフレとの戦いを最後まで続ける」「人々が金利に押しつぶされることは許さない」との発言(追加利下げ観測が一段と広がる展開)、

Dトルコ中銀による政策金利の3会合連続引き下げ(1週間物レポ金利を16%から15%へ引き下げることを決定。声明文の中でも次回12月の会合まで緩和姿勢が継続する可能性を示唆)が重石となり、週末にかけて、史上最安値10.05円まで暴落しました(対ドルでも史上最安値大幅更新)。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/20午前3時20分現在)では10.10円前後で推移しております。

来週の見通し(11/22−11/26)

トルコリラの対円相場は9/1に記録した約4ヵ月ぶり高値13.34円をトップに反落に転じると、今週末にかけて史上最安値10.05円まで暴落しました(この2ヵ月半で▲24.7%の下落率)。この間、ローソク足が全てのチャートポイントを下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転や弱気のパーフェクトオーダー、弱気のバンドウォークも成立するなど、テクニカル的に見て地合いの弱さを決定付けるチャート形状となっております(対円・対ドル共に史上最安値を大幅更新)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ中銀による次回会合(12/16)での追加利下げ観測や、Aエルドアン大統領による更なる利下げ圧力(中銀の独立性への不信感→外国人投資家によるトルコ離れの加速懸念)、B世界的なインフレ懸念(新興国から米国への資金流出が発生しやすい環境)、Cリラ安防衛手段の乏しさ(外貨準備急減→介入余力の乏しさが露呈)、Dトルコ経済の先行き不透明感(エネルギー価格高騰→資源輸入国であるトルコ経済への大打撃)、E実質金利のマイナス幅拡大(トルコ国内におけるスタグフレーション懸念→インフレ高進+名目金利引き下げの組み合わせ)など、トルコリラ円相場の更なる下落を意識させる材料が増えつつあります。

『トルコ中銀は追加利下げ。対円・対ドル共に史上最安値大幅更新』

以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は11/22に予定されているトルコ11月消費者信頼感指数や、11/24のトルコ11月設備稼働率などに注目が集まります。市場予想を下回る結果となった場合には、トルコ経済の先行き不安を背景にトルコリラが一段と下げ足を速める恐れもある為、来週もダウンサイドリスクに注意を要する1週間となりそうです(心理的節目10.00円割れを試すシナリオを想定→ボラティリティの一段の高まりに要警戒)。  

来週の予想レンジ(TRYJPY):9.80ー10.40

注:ポイント要約は編集部

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