ドル円見通し リスク選好でクロス円全面高、資源輸入国通貨としての円安も重なる(21/10/21)

ドル円は10月20日午前高値で114.69円を付けて2018年10月4日高値114.54円を上抜いた。

ドル円見通し リスク選好でクロス円全面高、資源輸入国通貨としての円安も重なる(21/10/21)

リスク選好でクロス円全面高、資源輸入国通貨としての円安も重なる

〇ドル円、20日午前に高値更新、114.69をつけ2018/10/4高値114.54を上抜く
〇リスク選好感高まりビットコインが1BTC=6万6000ドル台に乗せ史上最高値更新
〇NYダウ35669.69ドルで取引時間中の最高値更新、市場心理の楽観が戻ってきている印象
〇為替市場は必ずしも米長期債利回り上昇=ドル高にならず、ドル安基調での推移続く
〇主要国の長期債利回り上昇、株高等によるリスク選好感、資源輸入国通貨としての円安が重なる
〇114円割れは弱気転換注意、113.87割れからは下落期入りとして113.50前後試しを想定

【概況】

ドル円は10月20日午前高値で114.69円を付けて2018年10月4日高値114.54円を上抜いた。10月15日夜に114.46円まで上昇して年初来高値を更新した後は114円割れを何度か試したものの若干割り込むところは買われて一段高状態での持ち合いを形成、20日午前へ持ち合いをいったん上放れして高値を更新した。2018年10月高値を超えたことで利益確定売りが急がれたことと、夜にかけてのドル安局面で20日深夜に114.06円まで下げたものの114円台を維持して21日早朝へ持ち直している。

【株高によるリスクオン優勢での円安】

10月20日は仮想通貨(暗号資産)のビットコインが1BTC=6万6000ドル台に乗せて史上最高値を更新した。6か月振りの高値更新となるが、ビットコイン先物に連動したETFの取引が始まったことが材料視されているが、リスク選好感の高まりを象徴している。
NYダウも10月20日に史上最高値を更新した。ダウは前日比152.03ドル高で2連騰だが、8月16日に35631.19ドルで史上最高値を付けたところから9月20日安値33613.03ドルまで調整安が続いたものの10月入りから反騰に入り20日は35669.69ドルで取引時間中の最高値を更新した。米連銀による年内のテーパリング開始は来年の利上げ等も意識されるところだがテーパリング開始でも当分は金融緩和と実質ゼロ金利は続くとみて景気回復期待を優先する市場心理の楽観が戻ってきている印象だ。ナスダック総合指数は米10年債利回り上昇を見て20日は7.41ポイント安とわずかに反落したが、その前は13日から19日まで5連騰で持ち直しており、9月7日の史上最高値に迫っている。

10月20日の米10年債利回りは前日比0.02%上昇の1.66%となったが、一時は1.67%を付けて8月以降の最高値を更新した。30年債利回りは0.05%上昇で2.14%。これらは株買い債券売りの動きを反映している。一方で2年債利回りは0.01%低下の0.39%となったが、10月18日に0.44%へ急伸した後の反動と、米連銀の利上げ想定時期が早まらないだろうとの見方が背景のようだ。

【資源高と主要国長期債利回り上昇によるクロス円の全面高、円の独歩安】

株高基調によるリスク選好感も踏まえ、米長期債利回り動向と独英豪等の主要国の長期債利回りも上昇基調にあるため、為替市場は必ずしも米長期債利回り上昇=ドル高にはならず、逆にドル安基調での推移が続いている。
ユーロドルは10月19日に1.1669ドルへ上昇して10月12日からの上昇基調を継続、日足は6日連続の陽線となっている。ポンドドルは9月29日安値からの反騰を継続して20日も高値を切り上げた。豪ドル米ドルは10月19日に9月3日高値を超えて20日も続伸となる8月20日安値からの上昇が二段上げに発展している。南アランドも対ドルで9月30日からの上昇を継続している。

クロス円は全面高となり、ユーロ円は10日連続の陽線で133円台に乗せて6月1日高値134.11円に迫る勢い。ポンド円は5月27日高値を超えて昨年3月底以降の高値を更新して158円台に到達。豪ドル円も連騰で5月10日高値を超えて昨年3月以降の最高値を更新した。
総じてドルストレートではドル安感が強まっているところに円安も重なるためにクロス円は概ね全面高の様相だ。主要国の長期債利回り上昇による円安、原油相場等の高騰による資源輸入国通貨としての円安、株高等によるリスク選好感での円安が重なる展開と思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、10月15日夜高値以降は新たな高値更新へ進めずに持ち合いとなっていたため19日午前時点では15日夜高値を超える場合は持ち合い上放れによる新たな強気サイクル入りとした。
10月19日夕刻に113.87円までいったん下げてから114円台を回復して20日朝に15日夜高値を超えたため、20日午前時点では19日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして20日夜から22日夜にかけての間への上昇を想定した。
10月20日午前高値から20日夜へ反落したものの19日夕安値割れには至らずに持ち直しているので引き続きトップ形成中とみる。弱気転換は19日夕安値割れからとし、その際は22日夕から26日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では10月20日夜への下落で遅行スパンが悪化したものの先行スパンからの転落は回避して持ち直している。先行スパンは値幅が薄いため、114円台を維持するうちは上昇余地ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とし、114円割れからは両スパン揃っての悪化が顕著となるので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は20日夜の下落時に40ポイントを割り込んだが持ち直しているので70ポイント台への上昇余地ありとするが、次の40ポイント割れからは下げ再開を疑い30ポイント割れを目指す流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10月19日夕安値113.87円を下値支持線、20日午前高値114.69円を上値抵抗線とする。
(2)114円以上での推移中は114.69円超えから115円を目指す流れとみる。114.85円以上は反落注意とするが、114.30円以上での推移なら22日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)114円割れを弱気転換注意とし、113.87円割れからは下落期入りとして113.50円前後試しを想定する。113.50円前後は押し目買いされやすい水準とみるが、113.87円を割り込んだ後は21日夜、22日の日中へと安値試しへ進みやすくなるとみる。

【当面の主な予定】

10/21(木)
EU首脳会議(10月22日まで、ブリュッセル)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 18.00%、予想 17.00%〜17.50%)
21:30 (米) 10月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (9月 30.7、予想 25.0)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 29.3万件、予想 30.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 259.3万人、予想 255.0万人)
23:00 (米) 9月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (8月 0.9%、予想 0.4%)
23:00 (米) 9月 中古住宅販売件数 年率換算件数 (8月 588万件、予想 609万件)
23:00 (米) 9月 中古住宅販売件数 前月比 (8月 -2.0%、予想 3.6%)
23:00 (欧) 10月 消費者信頼感速報値 (9月 -4.0、予想 -5.0)
26:00 (米) 財務省インフレ指数連動5年債入札
28:00 (豪)ロウ豪中銀総裁、パネル討論会参加

10/22(金)
08:01 (英) 10月 GFK消費者信頼感 (9月 -13、予想 -16)
08:30 (日) 9月 全国消費者物価指数 前年同月比 (8月 -0.4%、予想 0.2%)
08:30 (日) 9月 全国消費者物価指数・生鮮食品除く 前年同月比 (8月 0.0%、予想 0.1%)
08:30 (日) 9月 全国消費者物価指数・生鮮食品・エネルギー除く 前年同月比 (8月 -0.5%、予想 -0.4%)
15:00 (英) 9月 小売売上高 前月比 (8月 -0.9%、予想 0.6%)
15:00 (英) 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 0.0%、予想 -0.5%)
15:00 (英) 9月 小売売上高・除自動車 前月比 (8月 -1.2%、予想 -0.1%)
15:00 (英) 9月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (8月 -0.9%、予想 -1.8%)

16:30 (独) 10月 製造業PMI速報値 (9月 58.4、予想 56.6)
16:30 (独) 10月 サービス業PMI速報値 (9月 56.2、予想 55.2)
17:00 (欧) 10月 製造業PMI速報値 (9月 58.6、予想 57.0)
17:00 (欧) 10月 サービス業PMI速報値 (9月 56.4、予想 55.4)
17:30 (英) 10月 製造業PMI速報値 (9月 57.1、予想 56.0)
17:30 (英) 10月 サービス業PMI速報値 (9月 55.4、予想 54.5)
22:45 (米) 10月 製造業PMI速報値 (9月 60.7、予想 60.5)
22:45 (米) 10月 サービス業PMI速報値 (9月 54.9、予想 55.2)
23:00 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、講演

※ポイント要約は編集部

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