ドル高基調継続だが、調整の動きにも注意
〇本日のドル円、113円半ばレベルまで続伸し年初来高値を更新するも軟化、夕方113円前後まで値を崩す
〇ドル円、約1ヵ月のあいだに4.4円ほどドル高・円安が進行
〇基本的にはドル高・円安トレンドだが、調整の動きが進む可能性も
〇本日欧米時間ドル円予想レンジは112.70-113.70
〇ドル高方向は本日東京高値113円半ばが目先の抵抗、ドル安方向は112.70-80が目先のサポート
<< 東京市場の動き >>
12日の東京市場はドルが小安い。ザラ場ベースでは113円半ば近くまで続伸し、年初来高値を再び更新したものの続かなかった。
ドル/円は113.30円前後で寄り付いたのち、当初はドル買い優勢。前日示現した年初来高値を再び更新している。しかし徐々に上値が重くなると、ドルはジリジリと軟化。夕方に掛けては寄り付きを下回る113円前後まで値を崩し、16時現在でもそのまま日中安値圏で推移、欧米市場を迎えていた。
なお、本日なかなか興味深い値動きをたどっていたのは韓国ウォン。売りが続くと、ドル/ウォンは昨年7月以来の一時1200ウォン台を示現している。
一方、材料的に注視されていたものは、「中国不動産リスク」と「それ以外の中国情勢」について。
前者は、「恒大集団」を中心とした中国不動産業者に対する不信感がさらに強まっている感。実際、米紙WSJでは「恒大以外にも中国不動産業者に5兆ドルの負債」などと報じていたうえ、ブルームバーグは「11日が期日の恒大クーポンをまだ受け取っていないと一部保有者が明らかにした」、ロイターも同業の新力控股(Sinicホールディングス)が「2億5000万ドル相当の社債について、デフォルトとなる可能性が高いと発表した」−−などと報じている。
対して後者は、前述した「不動産リスク」以外でも、中国情勢に関する材料目白押し。うちひとつはいわゆる「電力不足」問題で、遼寧省が電力不足の悪化を警戒し、上から2番目に高い「第2級電力不足警報」を出したとして話題に。また、中国メディアが最近中印国境付近で両軍が一時衝突したと報じたうえ、今後さらに緊張が高まる恐れを警戒していた。なお、中国軍が台湾対岸の島で海岸上陸演習を実施し、台湾との軋轢も強まっていたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は本日東京時間に一時113円半ばというドル高値を示現。起点をどこでとるかによるものの、仮に9月15日の109.11円を起点とすれば、約1ヵ月のあいだに4.4円ほどの上昇をたどっている計算になる。一方、昨日もレポートしたように今年初夏、4月半ば安値を起点としたドル高進行は期間こそ2ヵ月超ながら、価格的には4.2円ほどの上昇でピークアウトしており、それからすると東京で高値つけたのちアッサリと50銭ほど下落したことは気になるところだ。
米金利動向への関心が高いという状況が依然として続くなか、日米金利差を考えるとドルを積極的に売っていくだけの要因は乏しい。発表される米経済指標の内容次第では「調整」の動きが進むことはありそうだが、それでもトレンド転換は見込みにくいだろう。本日は目立ったところでの米指標発表は予定されておらず、米要人の講演や米債入札などに一喜一憂する値動きをたどりそうだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円は前述したように1ヵ月に4.4円ものドル高・円安が進行している。基本的なリスクは依然として上向きながら、スピード的にはかなり速いうえ、ポジション的な偏りもさすがに散見され始めてきた。直近上げ幅のフィボナッチを参考にすれば、仮に38.2%の押しが入ったとしても112円程度の下押しが入る可能性を否定できず、このあといま一段のドルの下押しにも注意を払いたい。
材料的に見た場合、中長期的には、「恒大」だけでない不動産リスクそのものが取り沙汰されはじめた「中国情勢」のほか、衆院解散が14日午後でほぼ決まった感のある「日本の政局」、「新型コロナ関連」−−などが注視されている。
一方、本日は米経済指標として、8月の雇用動態調査などが発表されるものの、市場の関心はそれほど高くない。ただ、IMF年次総会など幾つかの国際会議が引き続き開催されるほか、米財務省による3年債と10年債の入札が実施される見込みだ。それら要因には一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは112.70-113.70円。本日東京高値にあたる113円半ばが目先の抵抗で、超えれば113円台後半に強いテクニカルポイントがないことで、114円台乗せをうかがう展開も否定できない。
対するドル安・円高方向は、実需筋のビッドがジワリと切り上がっており、すでに111円台はかなり遠いイメージ。112.70-80円が目先のサポートで、仮に割り込んでも底堅そうだ。
ドル円日足
※ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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