ドル円見通し 111円割れからの切り返し続かず、米雇用統計待ちに入る(21/10/7)

ドル円は10月4日深夜安値110.81円から持ち直しに入っていたが、6日午後高値で111.78円まで戻したとこから失速、6日深夜には111.19円を付けた。

ドル円見通し 111円割れからの切り返し続かず、米雇用統計待ちに入る(21/10/7)

111円割れからの切り返し続かず、米雇用統計待ちに入る

〇昨日のドル円、午後に111.78まで戻したところから失速、深夜に111.19をつける
〇6日ADP民間雇用報告は予想以上に伸びるも、週末の米雇用統計本番に向け様子見の動き
〇米10年債利回りは前日比0.01%低下、NYダウは前日比102.32ドル高で5日から連騰
〇7日夜米労働省雇用統計強ければ利上げ時期前倒し感で米長期債利回り上昇・ドル高の流れに
〇6日深夜安値111.19割れからは4日深夜安値110.81前後への下落を想定、110.80以下は反発注意
〇111.50超えからは強気転換注意として6日午後高値111.78試し

【概況】

ドル円は10月4日深夜安値110.81円から持ち直しに入っていたが、6日午後高値で111.78円まで戻したとこから失速、6日深夜には111.19円を付けた。その後は111.30-40円近辺での動きとなり、111円割れを回避した。10月6日の日中は米長期債利回りが前日からの上昇を継続してドル高の流れだったが、米10年債利回りが1.57%を付けて9月28日のピーク時1.56%を超えたところから低下に転じたことでドル円の上昇も推進力を失って下落した。7日午前は111.50円を下回った水準での横ばい推移となっている。
6日夜のADP民間雇用報告は予想以上の就業者の伸びだったが決め手にならず、NYダウが反発したことや米連邦債務上限問題での共和党譲歩姿勢等でリスク選好感がやや回復したものの、週末の米雇用統計本番を見たいというところで様子見の動きに入っている印象だ。

【米10年債利回りは9月28日のピークを超えてから失速、NYダウは連騰】

10月6日のNYダウは前日比102.32ドル高と上昇、5日の311.75ドル高からの連騰となった。ナスダック総合指数も前日比68.08ポイント高と上昇、5日の178.34ポイント高からの連騰となったが、4日に同311.21ポイント安と下げた状況を解消できずに下げ渋りの範囲にある。ADPが良好だったこと、米連邦債務上限問題で共和党の譲歩的な動きがみられてデフォルト懸念がやや後退したが、依然としてデフォルト懸念は引きずることと週末の米雇用統計本番を見たいということで上昇幅も限定的だった印象だ。
10月6日の米10年債利回りは前日比0.01%低下の1.52%で終了。一時は1.57%台を付けて9月28日の1.56%を超えて8月4日以降の最高水準としたが、その後は失速した。6日夜は高騰していた原油相場が在庫増で反落したが、物価上昇と先行き不透明感、米連銀による利上げ想定時期前倒しによる金利上昇圧力等が混在しており、水準切り上げへ進むにはまだ気迷いが残るところだ。

米2年債利回りは前日比0.01%上昇の0.30%となり3連騰。9月23日未明の米FOMCから上昇に転じて9月28日に0.32%を付け、上昇一服で0.26%まで下げた10月4日から再び反騰入りしている。
2年債利回りも10年債利回りも一段高状態を維持している。ドル円は米長期債利回り動向を見ながらの展開を続けつつ、111円割れから続落基調へ進むのか、112円超えからさらに高値追及へ向かうのか決めかねている。

【米ADP民間雇用は予想以上、7日夜の米労働省雇用統計も良好か】

米民間雇用サービス会社ADPが発表した9月全米雇用報告では非農業部門民間就業者数が56万8000人増となり8月の34万人増を上回る増加で市場予想の42.8万人増を上回った。米国の雇用回復は多少のブレを見せながらも堅調に進んでいる。
10月7日夜の米労働省雇用統計では非農業部門雇用者数は50万人増と予想されており、8月の23.5万人増から倍増する見込みとなっている。失業率も8月の5.2%から5.1%へとさらに改善が見込まれているが、ADPが良好だったことで市場予想通りかやや上回る可能性もあると思われる。

米労働省雇用統計が強い場合、米連銀の11月会合でのテーパリング開始決定が濃厚となり、利上げ想定時期の前倒し感も再認識されて米長期債利回り上昇・ドル高の流れへ進みやすくなるが、雇用統計はサプライズも付き物のため内容確認までは油断できないところであり、雇用統計を通過してから風向きが変わることも多々ある。9月30日高値を超えて一段高へ向かうのか、3月31日と7月2日の高値を含めて三点天井型を形成して下落期に入るのかを決めるような展開になるのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、9月30日夜高値を起点として弱気サイクル入りしたが、10月4日深夜安値からの反騰を継続して4日夜高値を上抜いたため、6日午前時点では4日深夜安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたとして5日夜から7日夜にかけての間への上昇を想定した。10月6日午後高値まで0.93円の上昇となったところから6日深夜安値まで0.59円の反落で戻り幅の半値以上を解消したため、6日午後高値をサイクルトップとして新たな弱気サイクルに入ったと思われる。ボトム形成期は7日深夜から11日深夜にかけての間と想定されるので6日午後高値を超えないうちは一段安余地ありとみる。

60分足の一目均衡表では10月6日夜への下落で遅行スパンが悪化した。先行スパンからの転落は回避しているものの転落しやすい位置にある。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、遅行スパン好転からは6日午後高値試しとするが、強気転換は6日午後高値超えからとして超えないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とみる。
60分足の相対力指数は6日午後の上昇時に70ポイントを超えたが5日夜の上昇時の70ポイント超えとほぼフラットで弱気逆行型となってから50ポイント割れへと低下している。50ポイント台序盤までを抵抗としてまだ一段安余地ありとして30ポイント割れを目指す流れとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10月6日深夜安値111.19円を下値支持線、6日午後高値111.78円を上値抵抗線とする。
(2)111.50円以下での推移中は下向きとし、111.19円割れからは4日深夜安値110.81円前後への下落を想定する。110.80円以下は反発注意とするが、下げ足が速まる場合は110.50円前後へ下値目途を引き下げる。また111.50円以下での推移が続くなら7日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)111.50円超えからは強気転換注意として6日午後高値111.78円試しとする。111.70円以上は反落注意とするが111.78円超えからは9月30日夜高値112.07円試しへ向かう流れを予想する。

【当面の主な予定】

10/7(木)
休場、中国
14:00 (日) 8月 景気先行指数CI速報 (7月 104.1、予想 101.9)
14:00 (日) 8月 景気一致指数CI速報 (7月 94.4、予想 91.5)
15:00 (独) 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 1.0%、予想 -0.5%)
15:00 (独) 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 5.7%、予想 5.0%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 36.2万件、予想 34.8万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 280.2万人、予想 279.0万人)
22:00 (欧) レーンECB理事、講演
22:00 (欧) シュナーベルECB理事、講演
24:45 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、パネル討論会参加
28:00 (米) 8月 消費者信用残高 前月比 (7月 170.0億ドル、予想 180.0億ドル)

10/8(金)
08:30 (日) 8月 全世帯消費支出 前年同月比 (7月 0.7%、予想 -1.2%)
08:50 (日) 8月 経常収支・季調前 (7月 1兆9108億円、予想 1兆4860億円)
08:50 (日) 8月 経常収支・季調済 (7月 1兆4134億円、予想 1兆1540億円)
08:50 (日) 8月 貿易収支・国際収支ベース (7月 6223億円、予想 -3750億円)
09:30 (豪) 豪中銀半期金融安定報告
10:45 (中) 9月 財新サービス業PMI (8月 46.7)
14:00 (日) 9月 景気ウオッチャー現状判断DI (8月 34.7、予想 43.0)
14:00 (日) 9月 景気ウオッチャー先行判断DI (8月 43.7、予想 48.5)

15:00 (独) 8月 貿易収支 (7月 181億ユーロ、予想 150億ユーロ)
15:00 (独) 8月 経常収支 (7月 176億ユーロ、予想 170億ユーロ)
21:30 (米) 9月 非農業部門就業者数 前月比 (8月 23.5万人、予想 50.0万人)
21:30 (米) 9月 失業率 (8月 5.2%、予想 5.1%)
21:30 (米) 9月 平均時給 前月比 (8月 0.6%、予想 0.4%)
21:30 (米) 9月 平均時給 前年同月比 (8月 4.3%、予想 4.6%)
23:00 (米) 8月 卸売在庫 前月比 (7月 0.6%、予想 1.2%)
23:00 (米) 8月 卸売売上高 前月比 (7月 2.0%)

※ポイント要約は編集部

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