トルコリラ円見通し トルコ中銀利下げショック一服、ドル円の急伸に支えられて12.50円台へ戻す(21/9/28)

トルコリラ円の9月27日は12.58円から12.42円の取引レンジ、28日早朝の終値は12.56円で24日終値12.45円からは0.11円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し トルコ中銀利下げショック一服、ドル円の急伸に支えられて12.50円台へ戻す(21/9/28)

トルコ中銀利下げショック一服、ドル円の急伸に支えられて12.50円台へ戻す

〇トルコリラ円、9/27午後から対ドルでの下落に一服感、ドル安リラ高となり12.50台回復
〇ドル/トルコリラ、9/27は9/24安値8.89と同値にとどまり夜にかけてやや上昇、利下げショック安一服
〇米FOMC後欧米長期債利回り上昇続く、リラをはじめ新興国通貨の売り圧力かかる
〇9月消費者物価コア指数の結果次第では、連続利下げの可能性も警戒される
〇12.55以上での推移中は上昇余地ありとし、12.60を超える場合は12.65前後への上昇を想定する
〇12.50円割れからは下げ再開とみて、12.45から12.40を目指す下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の9月27日は12.58円から12.42円の取引レンジ、28日早朝の終値は12.56円で24日終値12.45円からは0.11円の円安リラ高だった。
9月23日のトルコ中銀による利下げ強行を受けて一段安となり23日安値で12.45円へ下落、24日安値で12.426円をつけて6月2日安値12.44円を割り込み今年2月16日高値15.26円以降の最安値を更新した。
週明けの27日も12.423円まで下げてわずかに安値を更新したが、27日午後からは対ドルでの下落に一服感が出てドル安リラ高となり、ドル円が111円到達へと大幅続伸したことによる円安効果が重なったために24日の下落分を解消して12.50円台を回復した。下げ一服だがドル高一服と円安に依存した反発のため、対ドルでのリラ安が再開すれば対ドルでの史上最安値更新を追いかけて対円でも最安値更新を試しに向かいやすい環境と思われる。

【対ドルでの下落一服】

ドル/トルコリラの9月27日は8.89リラから8.79リラの取引レンジ、28日早朝終値は8.81リラで24日終値8.87リラからは0.06リラのドル安リラ高となった。
9月23日に8.7998リラを付けて6月25日につけた従前の史上最安値8.7992リラを割り込んで最安値を更新、24日もリラ売り止まずに8.89リラまで最安値を切り下げたが、27日は24日安値と同値にとどまり、日中から夜にかけてやや上昇して中銀による利下げショック安も一服となった。

【米FOMC後の欧米長期債利回り上昇続きリラへの売り圧力も継続】

9月23日未明の米FOMC以降、米長期債利回りの上昇が顕著となり米10年債利回りは9月23日から27日へ3連騰で高値で1.51%まで上昇して今年6月以来の高値水準となった。米長期債利回りの上昇と共に独英豪等の長期債利回りも上昇しており、ドルストレートにおいては必ずしも米長期債利回り上昇=ドル高とならないケースもあるが、欧米主要国が揃って長期債利回り上昇となれば、新興国通貨には売り圧力がかかる。
物価上昇と景気回復を踏まえて主要国中銀はパンデミック対策としての量的金融緩和の縮小から利上げ準備へとスタンスを変え始めているが、そうした流れに逆行するように主要国と比較して「異常な高水準」にある物価上昇率にもかかわらず利下げを強行したトルコ中銀及びエルドアン政権による金融政策への不信感は増すばかりだ。
トルコの物価高騰には国際原材料相場の上昇が影響しているが、9月27日には北海ブレント原油が7月高値を超える一段高となり昨年4月のコロナショック暴落以降の高値を更新しており、世界全般への物価上昇圧力を強めている。

トルコ中銀は「インフレ率を下回る政策金利にしない」と繰り返し強調してきたが、9月8日にカブジュオール総裁が「インフレ指標をコア指数とする」と発言したことから利下げの可能性が懸念されてリラ売りが加速、9月16日にエルドアン大統領が利下げ要求的な発言を行った事でリラ安が進行、中銀による利下げ強行により対ドルでの史上最安値更新、対円でも6月2日安値を割り込む下落となった。
週替わりで市場心理も利下げショックをひとまず消化して若干の落ち着きを見せているものの、トルコの8月消費者物価コア指数の前年比は16.8%であり、今回の利下げによる政策金利18.0%を下回っているため、10月4日に発表される9月の消費者物価コア指数が17%以下ないしは8月から低下なら10月21日の次回トルコ中銀金融政策決定会合での連続利下げの可能性も警戒されるところだ。世界の金融政策姿勢と異なる連続利下げとなれば市場は金融政策の適正化を求めてリラ売り攻勢をかける可能性もあると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月23日夕へ戻り高値を切り上げていたところから中銀の利下げ報道により一段安したが、23日夜安値からは急落一服で戻していたために24日午前時点では23日夕高値を直近のサイクルトップ、23日夜安値を同サイクルボトムとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとした。
9月24日夜に23日夜安値を割り込んで27日も続落したが、その後に12.55円台回復へ反騰したため直近のサイクルボトムを27日午後安値へ改めて強気サイクル入りとする。トップ形成期は23日夕高値を基準として28日夕から30日夕にかけての間と想定するが、戻りは短命の可能性もあると注意し、12.50円割れからは下げ再開とみて27日午後安値試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして30日午後から10月4日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では9月27日夜への反騰で遅行スパンが好転したが先行スパン突破には至らずにいる。遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパンを上抜く場合は上昇も加速する可能性があるが、先行スパンから再び転落するところからは下げ再開として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は27日への安値切り下げに対して指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられて反騰した。50ポイント台を維持するうちは上昇余地ありとするが、50ポイント割れから続落に入る場合は下げ再開とみて30ポイント割れを目指す流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.50円を下値支持線、12.60円を上値抵抗線とする。
(2)12.55円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、12.60円を超える場合は12.65円前後への上昇を想定する。12.65円以上は反落警戒とするが、12.55円以上での推移なら29日も高値を試す可能性が残るとみる。
(3)12.55円割れを弱気転換注意とし、12.50円割れからは下げ再開とみて12.40円台前半(12.45円から12.40円)を目指す下落を想定する。12.42円以下は反騰注意とするが、12.50円以下での推移なら29日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

9月29日
 16:00 9月 経済信頼感指数 (8月100.8)
9月30日
 16:00 8月 貿易収支 (7月 -42.8億ドル)
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨
 20:30 週次 外貨準備高(グロス) 9/24時点 (9/17時点 814.2億ドル)
10月01日
 16:00 9月 イスタンブール製造業PMI (8月 54.1)
10月04日
 16:00 9月 消費者物価指数 前月比 (8月 1.12%)
 16:00 9月 消費者物価指数 前年同月比 (8月 19.25%)
 16:00 9月 消費者物価コア指数 前月比 (8月 0.4%)
 16:00 9月 消費者物価コア指数 前年同月比 (8月 16.8%)
 16:00 9月 生産者物価指数 前月比 (8月 2.77%)
 16:00 9月 生産者物価指数 前年同月比 (8月 45.52%)

10月21日
 20:00 トルコ中銀の次回金融政策決定会合


注:ポイント要約は編集部

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