トルコリラ週報:『トルコ中銀によるサプライズ利下げで年初来安値を割り込む展開』(9/25朝)

トルコリラの対円相場は9/1に記録した約4ヵ月ぶり高値13.34円をトップに反落に転じると、今週末にかけて、約10ヵ月半ぶり安値となる12.45円まで急落しました。

トルコリラ週報:『トルコ中銀によるサプライズ利下げで年初来安値を割り込む展開』(9/25朝)

『トルコ中銀によるサプライズ利下げで年初来安値を割り込む展開』

〇今週のトルコ円、12.77まで上昇後トルコ中銀のサプライズ利下げで12.45まで急落
〇トルコ円、約10か月半ぶり安値まで急落、主要テクニカルポイント下抜け、地合い弱い
〇ファンダメンタルズもトルコ中銀の追加利下げ観測、中銀独立性への不信感等トルコ下落材料増える
〇トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):12.25ー12.65

今週のレビュー(9/20−9/24)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初12.71円で寄り付いた後、翌9/21にかけて、週間高値12.77円まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、@チャイナ・エバーグランデ・グループ(中国恒大集団)を巡るデフォルト懸念や、A米FOMCのタカ派的な結果(米長期金利急上昇→対ドルでのリラ安信仰)、Bトルコ中銀によるサプライズ利下げ(据え置き予想に反して、トルコ中銀は主要政策金利の1週間物レポレートを19.0%から18.0%へ100bp引き下げ)、C上記Bを背景とした資本流出圧力(中銀の独立性に関する不信感)、Dテクニカル的な地合いの弱さ(短期筋のロスカット)が重石となり、週末にかけて、昨年11/9以来、約10ヵ月半ぶり安値となる12.45円まで急落しました(年初来安値を更新)。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間9/25午前6時00分現在)では、12.46円前後で推移しております。

来週の見通し(9/27−10/1)

トルコリラの対円相場は9/1に記録した約4ヵ月ぶり高値13.34円をトップに反落に転じると、今週末にかけて、約10ヵ月半ぶり安値となる12.45円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、90日移動平均線や21日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のバンドウォークも成立するなど、テクニカル的に見て「地合いは弱い」と判断できます。

ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感や、AEU及び米国との関係悪化懸念、Bアフガニスタンを巡る地政学的リスク(難民受入問題)、Cトルコ中銀による連続利下げ観測(トルコ中銀が約1年4ヵ月ぶりに利下げに踏み切ったことで、引き締めサイクル終了→緩和サイクル開始の連想が生まれやすい環境。当方では年末・年始に向けて毎月50bp程度の利下げを続け、最終的に15.00%程度まで政策金利を引き下げるシナリオを想定)、D中銀の独立性に対する不信感(トルコ中銀がエルドアン大統領の圧力に屈したことで市場参加者の失望感が生まれ易い環境→国内から海外への資本流出圧力に繋がる恐れ)など、トルコリラ円相場の下落を意識させる材料が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(来週はトルコ国内の経済イベントに乏しいことから、米長期金利や米主要株価指数、中国恒大集団を巡るヘッドラインに揺さぶられる展開を想定。年初来安値を更新できたことで、次のターゲットは昨年11/6に記録した史上最安値12.04円。短期的にも、中長期的にもダウンサイドリスクに要警戒)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):12.25ー12.65

注:ポイント要約は編集部

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トルコ円日足

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