『約1ヵ月半ぶり安値圏へ続落。来週はトルコ中銀会合に注目』
〇今週のトルコ円、リスク選好ムードに9/14にかけて13.09まで上昇
〇その後はエルドアン大統領による利下げ圧力と中銀の根強い利下げ観測等に週末にかけ12.70まで急落
〇トルコ中銀は市中銀行が中銀に預ける外貨建ての預金準備率を2%引き上げ
〇トルコ円テクニカルの地合い悪化、ファンダメンタルズも下落材料増えつつある
〇トルコ円続落をメインシナリオとして予想、9/23予定のトルコ中銀の金融政策決定会合要注目
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):12.30ー12.90
今週のレビュー(9/13−9/17)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初12.98円で寄り付いた後、@米早期テーパリング・米早期利上げ観測の後退や、A上記@を背景としたリスク選好ムードが支援材料となり、翌9/14にかけて、週間高値13.09円まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、B中国経済の先行き不透明感(今週発表された中国8月小売売上高、固定資産投資、鉱工業生産が軒並み悪化)や、C上記Bを背景としたリスク回避ムード、Dトルコ中銀による根強い利下げ観測(国際金融協会はトルコ中銀が来週の会合で50bpの利下げに踏み切るとの予想を発表)、Eエルドアン大統領による利下げ圧力(同氏は9/16に出来るだけ早くインフレを抑制し不合理な物価上昇を防ぐと発言)が重石となり、週末にかけて、週間安値12.70円(8/9以来、約1ヵ月半ぶり安値圏)まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間9/18午前5時30分現在)では、12.71円前後で推移しております。尚、トルコ中銀は今週、市中銀行が中銀に預ける外貨建ての預金準備率を2%引き上げることを発表しました(リラ安抑制策の一種)。
来週の見通し(9/20−9/24)
トルコリラの対円相場は9/1に記録した約4ヵ月ぶり高値13.34円をトップに反落に転じると、今週末にかけて、約1ヵ月半ぶり安値となる12.70円まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、雲上下限を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転も成立するなど、テクニカル的に見て「地合いの悪化」を印象付けるチャート形状となりつつあります。
ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感(今週発表されたトルコ7月鉱工業生産は3ヵ月ぶりにマイナス圏へ転落)や、AEU及び米国との関係悪化懸念、Bトルコ中銀による利下げ観測、Cアフガニスタンを巡る地政学的リスク(難民受入問題)など、トルコリラの下落を意識させる材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は9/23に予定されているトルコ中銀の金融政策決定会合に注目が集まります。トルコ中銀カブジェオール総裁は先週、金融政策を決定するにあたって重視すべき指標を従来までの消費者物価指数から消費者物価コア指数に変更すると発表しました。消費者物価コア指数は既に鈍化傾向を示している為、市場ではトルコ中銀がエルドアン大統領の要求に応じる形で、9/23に予定されているトルコ中銀金融政策決定会合で「利下げに踏み切る為の理由作り」を行ったのではないかとの思惑が広がっています。トルコ中銀が仮に利下げに踏み切った場合は、金利先安観に伴うリラ売りと、中銀が政治的圧力に屈したことを嫌気したリラ売りが重なることから、トルコリラ円相場の想定外の値幅拡大に警戒が必要でしょう。
来週の予想レンジ(TRYJPY):12.30ー12.90
トルコ円日足
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