来週の為替相場見通し:『FOMC声明とドットチャートの結果に注目』(9/18朝)
〇今週のドル円、109.50-110.50を中心に上下を繰り返す展開、米金融政策を巡る不確実性に方向感出ず
〇冴えない米CPIに下限を一時割り込むも、週末にはレンジ内に収斂
〇来週9/21-22のFOMC、ドットチャートに注目集まる
〇ドットチャートの中央値引き上げで、来週はドル高一気に進むか
〇来週の予想レンジ (USDJPY):109.00ー111.50、(EURUSD):1.1600−1.1850
来週の見通し(9/20−9/24)
<ドル円相場>
ドル円は米金融政策を巡る不確実性を背景に、方向感を見出しづらい時間帯が続いております(コアレンジ109.50ー110.50を中心に上下を繰り返す展開。今週は冴えない米8月消費者物価指数を受けてレンジ下限を一時的に割り込む場面も見られましたが、週末時点では結局上記コアレンジ内に収斂)。テクニカル的に見ても、一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や90日移動平均線といった主要チャートポイントが実勢相場近辺に密集するなど、市場参加者の様子見姿勢が確認されます(約1ヵ月に亘る膠着相場でマグマが溜まっている状態→ボラティリティの急上昇に警戒)。
こうした中、来週は9/21ー9/22(日本時間9/23未明)に予定されているFOMC(米連邦公開市場委員会)に注目が集まります。これまでの米当局者発言に照らせば、年内テーパリング開始の可能性は相応に高く、今回の会合では、次回11/2ー11/3のFOMCでテーパリング開始決定を行うための事前告知がなされると予測されます。但し、この点は既に織り込み済みである為、市場参加者の関心は、FOMC声明と同時に発表されるドットチャートになりそうです(※今回から2024年の経済見通しも追加)。
前回6月のドットチャートと比較して、2022年や2023年のFOMC参加者の中央値が引き上げられている場合は、米早期利上げ観測台頭→米長期金利上昇→米ドル高の経路でドル円には強い上昇圧力が加わるものと推察されます(但し、米長期金利上昇・米ドル高は株式市場や商品市況の下落を通じて、一巡後にリスク回避の円買いを齎す恐れがある点には留意が必要)。一方、前回6月と比べて中央値に変化が見られない場合は、早期利上げ観測後退→米長期金利低下→米ドル売りの経路でドル円には強い下落圧力が加わると考えられます。今回のFOMCは通常時と異なり、現時点で市場コンセンサスが定まっていない為、ドットチャートの結果次第で、ドル円相場が予想外の値幅を記録する可能性がある点に注意が必要です(当方は、2022年及び2023年の中央値引き上げを通じて来週はドル高が一気に進むと想定)。
尚、来週はFOMC以外にも、日銀金融政策決定会合が予定されております。政策変更は無いと考えられるものの、自民党総裁選に立候補した高市早苗・候補が掲げる「プライマリーバランスの黒字化目標凍結」に関して、記者会見で黒田総裁に質問が集中する恐れもある為、会見前後のボラティリティ拡大にも警戒が必要でしょう。
来週の予想レンジ(USDJPY):109.00ー111.50
<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は9/3に記録した約1ヵ月ぶり高値1.1910をトップに反落に転じると、今週末にかけて、約1ヵ月ぶり安値となる1.1724まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、一目均衡表雲下限や21日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する弱気のパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的に見て、地合いの弱さを印象づけるチャート形状となりつつあります(一目均衡表の雲が上方から垂れ下がってくることもユーロの重石)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@ECBによる金融緩和の長期化観測(※ラガルドECB総裁は先週「今回の決定はテーパリングではなく微調整」「次の一手についての議論は未済」と発言した他、今週は複数のECB当局者からもハト派的な見解が相次いだ)や、A欧州経済の先行き不透明感、Bドイツを巡る政局不透明感(9/26に予定されている独連邦議会選挙で中道左派の野党SPDが勝利を収める公算大。メルケル氏率いるキリスト教民主・社会同盟の支持率は低迷)、C中国発のリスク回避ムード(中国恒大集団を巡るデフォルト懸念)、D欧米金融政策の方向性の違いなど、ユーロドルの下落を意識させる材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は9/20に予定されているシュナーベルECB理事講演や、9/22のユーロ圏9月消費者信頼感指数速報値、9/23のユーロ圏9月製造業及びサービス業PMI速報値、9/24のドイツ9月IFO景況感指数に注目が集まります。ECB当局者によるハト派的な発言が見られる場合や、欧州経済指標が冴えない結果を示す場合には、ECBによる早期テーパリング観測の後退を通じて、ユーロ売り圧力がもう一段強まる可能性もある為、来週はダウンサイドリスクに注意を要する一週間となりそうです。
来週の予想レンジ(EURUSD):1.1600−1.1850
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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