米FRB地区連銀経済報告（ベージュブック）(2021/9/9）

昨日（8日）、FRBからベージュブックが公表されました。以下はその内容となっています。地区連銀は12地区で構成されており、報告内容期間は2021年8月30日以前までとなっています。内容的には前回よりは景気が緩やかなペースになったと指摘しているものの、雇用タイトが続き、販売価格高は先々高まると報告しています。

（全般的な経済活動）

経済の伸びは7月初旬から8月にかけてやや緩やかなペースに低下した。最近のより強い経済部門には製造業、輸送業、非金融サービス、そして居住用不動産が含まれている。経済活動の減速は、デルタ変異株の増加による安全性への懸念、場合により国際的な観光制限などを反映し、多くの地域で、外食・旅行・観光の低下に起因している。伸びが鈍化し、活動が減速したその他経済部門は、需要が軟化してきたものの、供給混乱、労働不足に制約された部門である。とりわけ、自動車販売の弱さはマイクロチップ不足の中で低い在庫率にあり、住宅販売活動は低供給に起因している。

自動車販売以外の伸びは幾つかの地域でやや減速したが、全国ベースを考慮すると、緩やかに上昇している。居住用建築は全般的に僅かに伸びた。非居住用建設は緩やかに伸びた。貸出量（ローン貸出）のトレンドは、国全体で、緩やかに下がったところから強く伸びたところまで、地域により異なっている。農業やエネルギー部門の報告では、地域によって混在しているが、全体的にはポジティブである。先々を見れば、多くの地域で企業活動は、継続中の供給混乱や資源不足に対する懸念が拡大し続けているものの、短期的にまだ楽観的である。

（雇用と賃金）

全ての地区で、全般的な雇用は上昇を続けている。ただ、雇用創出ペースの特徴は僅かなところから強いところまでの範囲が見られる。労働者への需要は堅調が続いているが、全ての地区で雇用が制限され、多くのケースでは企業活動の制限に結び付く、広範囲に亘る労働不足を指摘している。これらの不足に貢献したものは、増加した転職率、早期退職（とりわけヘルスケア関連）、育児ニーズ、求人交渉への挑戦、失業給付の増加であった。幾つかの地区では、職場復帰スケジュールがデルタ変異株増加により押し戻されたと指摘している。持続的で大規模な労働不足により、幾つかの地区では賃金上昇を報告している。最も象徴的で強い賃金の伸びは中西部と西部地域の全てで起きている。幾つかの地区は特に低賃金労働者の間で、かなりの賃金上昇を指摘している。雇用者は、労働者を惹きつけ維持するために、より頻繁に賃上げ、ボーナス、社内教育、あるいは柔軟な仕事の取り決めを使っていると報告している。

（物価）

インフレは高いペースで堅調であったと報告されている。半分の地区は物価上昇のペースが強いと特徴つけ、残り半分が緩やかであると記述している。拡大する資源不足により、仕入れ価格圧力が広範囲に亘っている。ほとんどの地区で、金属や金属ベース品、運賃や輸送サービス、建設資材、異常高となった水準からは大きく下落した木材の様な顕著な例外もあるが、高いコスト上昇を指摘している。価格が大きく上昇しても、多くの企業は主要な仕入れ品を調達するのに問題ありと報告している。幾つかの地区では、より高い価格を通じて、よりコスト高を転嫁することは容易であると報告している。幾つかの地区では、今後数ヶ月先に販売価格の著しい上昇を予想していると指摘している。
（各地区のハイライトは略）
　(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
（上記出所：FRB　HP）

下図はドル円の日足チャートです。4月下旬底値からのA（＝109円00銭）と3月末高値と7月初の高値を結んだB（＝112円10銭）でドル高トレンドを形成しています。現在は8月4日底値からのサポートC（＝109円70銭）と7月5日高値からのD（＝110円55銭）で3角保合いの収斂を続けています。残りのレンジ幅が85銭になりましたが、まだ継続する可能性もあり、このまま行けば22日のFOMC辺りが極みになりそうです。
今日のECBや来週予定の主要な経済指標（NY連銀製造業景況指数、小売売上高、鉱工業生産指数など）で収斂をブレークしてくれるのか注目しています。Cを切った場合はAですが、Dを越えた場合は8月11日高値110円80銭、3月末高値110円97銭が控えています。そして7月2日111円66銭のダブルトップが視野に入りそうです。