トルコリラ円見通し トルコCPI発表から乱高下するも米雇用統計発表後は下落(21/9/6)

9月3日は直前2日分のレンジを解消する日足陰線での下落となった。

トルコリラ円見通し トルコCPI発表から乱高下するも米雇用統計発表後は下落(21/9/6)

トルコリラ円見通し トルコCPI発表から乱高下するも米雇用統計発表後は下落

〇トルコリラ円、9/3は13.29から13.14の取引レンジ、直前2日分のレンジを解消する日足陰線での下落
〇トルコ8月消費者物価上昇率発表直後に下落、いったん戻したが米雇用統計後に失速
〇対ドル、9/3は8.34から8.24の取引レンジ、日足は4日ぶりに陰線引けとなる
〇米雇用統計発表直後のドル安局面で8.24まで高値を切り上げたが、上昇一巡感で反落
〇トルコ8月消費者物価、政策金利を上回り実質マイナス金利状態
〇米雇用統計通過でドル安基調・新興国通貨高に一服感
〇13.15超えからは反騰入りと仮定して、9/3高値13.23試しへ向かうとみる
〇13.15円割れからは下向きとして、13.10前後試しへ向かうとみる

【概況】

トルコリラ円の9月3日は13.29円から13.14円の取引レンジ、4日早朝終値は13.15円で前日終値13.27円からは0.12円の円高リラ安となった。
9月3日16時発表のトルコ8月消費者物価上昇率発表直後に下落、いったん戻したものの21時半の米雇用統計後は失速した。
6月2日安値12.44円と6月21日安値12.48円をダブル底とし、その後のジリ高により6月21日安値を中心軸として鍋底型の上昇を継続して9月1日には13.32円まで高値を切り上げてきたが、9月2日は上昇一服で新たな高値更新へ進めず、9月3日は直前2日分のレンジを解消する日足陰線での下落となった。

【対ドルでの上昇一服、米雇用統計後に下落】

ドル/トルコリラの9月3日は8.34リラから8.24リラの取引レンジ、4日早朝終値は8.30リラで前日終値の8.27リラからは0.03リラのドル高リラ安となった。日足は8月31日から9月2日まで3日連続陽線で上昇し、9月3日は夕刻のトルコ物価統計発表からいったん急落したものの切り返し、米雇用統計発表直後のドル安局面で8.24リラまで高値を切り上げたが、為替市場全般のドル安に一服感が出る中でユーロや豪ドル等が一段高後に失速したためにドル/トルコリラも上昇一巡感で反落となり日足は4日ぶりに陰線引けとなった。
6月11日高値8.25リラ、8月3日高値8.27リラ、8月20日早朝のフラッシュクラッシュ的なドル安局面で付けた8.25リラと共に9月3日夜高値8.24リラで上値抵抗帯に到達しての反落という印象だ。

【トルコ8月消費者物価、政策金利を上回る】

9月3日16時発表のトルコ消費者物価指数8月の伸び率は前月比で1.12%となり7月の1.80%からは伸びが鈍化したが市場予想の0.60%を大幅に上回った。前年同月比は19.25%となり市場予想の18.70%及び7月の18.95%を超えた。
消費者物価コア指数上昇率の前月比は0.4%で7月の0.6%からは低下、前年同月比は16.8%で7月の17.2%からは若干低下した。
8月の生産者物価指数上昇率の前月比は2.77%で7月の2.46%から加速、前年同月比も45.52%となり7月の44.92%を上回った。

トルコリラ円見通し トルコCPI発表から乱高下するも米雇用統計発表後は下落

トルコの物価上昇はコロナショック後の景気回復期における需給ギャップと国際原材料相場の高騰及びリラ安による輸入物価高騰が背景だ。NY原油は7月6日に76.98ドルをつけて昨年4月のコロナショック暴落後の最高値を付けてから8月23日安値61.74ドルまで下落していたが、その後は全般的なドル安株高もあってV字反騰となり9月2日には70ドル台回復まで戻している。原油相場の高止まりはトルコの生産者物価の押し上げにより消費者物価の上昇継続ないしは高止まり要因となってきている。8月の消費者物価コア指数の伸びは鈍化したということがトルコ中銀にとっては利上げをしない理屈とされるのだろうが、生産者物価の上昇が続くうちは消費者物価も低下できないだろう。

トルコ中銀の政策金利である週間レポレートは19%であり、消費者物価の全体の上昇率が政策金利を上回る実質マイナス金利状態となった。発表当初は実質マイナス金利状態を見てのリラ売り優勢となったが早々に落ち着いてリラ買いへと流れが変わったのは、エルドアン大統領の要求する9月にも利下げということが事実上不可能になったこと、状況次第では利上げの可能性も浮上するかもしれないという事だろうと思われる。

【米雇用統計通過での新興国通貨高の一服感】

米雇用統計に対して為替市場全般としては直後にドル全面安の反応がみられたものの早々に行き詰まり8月20日から続いてきたドル安基調に一服感が出ている。米雇用統計においては就業者の伸びが鈍化したことで9月FOMCでのテーパリング開始決定はないだろうが、失業率や平均時給の改善が進んでいるために遅くとも年末までにテーパリングに着手するという既定路線は変わらないだろうという市場の受け止め方となり、8月20日からのドル安材料の消化、イベント通過としていったんドル安も一巡したという印象も出やすい動きとなった。

トルコリラ円及びドル/トルコリラとしては、トルコの消費者物価上昇率が政策金利を上回ったことに対する中銀やエルドアン政権による金融政策上のスタンスの変化がみられるのかどうか、市場心理として利上げ催促的なリラ売りへ向かうのか、利下げ無しとしてのリラ買い基調を継続しうるのか、試されることになる。それに加えて全般的なドル安基調・新興国通貨高の流れがいったんブレーキのかかった状況になるのか継続してゆくのかについても週前半には見定める必要もあり、自律的な強弱感と他律的な強弱感の判断の交錯という難しい局面になりそうだ。

【中勢のポイント】

【中勢のポイント】

8月9日以降の上昇では日足陰線を1本入れても翌日から切り返してきた。このため9月6日を陽線で切り返せば上昇トレンドも継続しうるが、9月3日の日足陰線から9月6日へと続落陰線になれば三羽烏手前の「伝い線」となり、3本目を陽線で切り返せば「伝い線打ち返し」で強いとされるものの、3本連続で三羽烏(黒三兵)となれば上昇一巡による下落期入りとして8月9日安値12.67円をもう一度試す流れへ進みやすくなると思われる。
このことを踏まえて中勢のポイントを示す。

(1)当面、13.15円を下値支持線、9月3日高値13.23円を上値抵抗線とする。
(2)13.15円超えからは反騰入りと仮定して9月3日高値試しへ向かうとみる。9月3日高値超える場合はトルコ物価統計及び米雇用統計を通過した上での高値更新として13.40円台を目指してゆく流れとみる。
(3)13.15円割れからは下向きとして13.10円前後試しへ向かうとみる。13.10円以下での推移が続来始める場合、先行きは13円割れから12.90円、12.80円と段階的に安値切り下がりを試す流れへ進みやすくなるとみる。

【当面の主な予定】

9月07日
 23:30 8月 財務省現金残 (7月 679.3億リラ)
9月09日
 20:30 外貨準備高(グロス) 9/3時点 (8/27時点 779.6億ドル)
9月10日
 16:00 7月 失業率 (6月 10.6%)
9月13日
 16:00 7月 鉱工業生産 前月比 (6月 2.3%)
 16:00 7月 鉱工業生産 前年同月比 (6月 23.9%)
 16:00 7月 小売売上高 前月比 (6月 14.4%)
 16:00 7月 小売売上高 前年同月比 (6月 17.4%)
 16:00 7月 経常収支 (6月 -11.27億ドル)
9月15日
 17:00 8月 財政収支 (7月 -458億リラ)
9月23日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 19.00%)


※ポイント要約は編集部

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