結局レンジ抜けられず、今週も基本小動きか(週報9月第1週)

先週のドル/円相場は、結果としてレンジ取引。過去2週間程度のレンジ上限を一時上抜けたものの続かず。

結局レンジ抜けられず、今週も基本小動きか(週報9月第1週)

結局レンジ抜けられず、今週も基本小動きか

〇先週のドル円、水曜に週間安値109.59から同高値110.41まで急伸後失速
〇週末に発表された米雇用統計が予想より悪化しさらにドル売りが進む展開に
〇今週は米8月生産者物価指数や米地区連銀報告(ベージュブック)発表予定
〇今週のドル/円予想レンジは、108.70-110.80
〇先週高値110.41を超えれば8月の月間高値110.80がターゲット
〇ドル安・円高方向は先週安値で2度下げ止まった109.58が最初のサポート

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、結果としてレンジ取引。過去2週間程度のレンジ上限を一時上抜けたものの続かず。

前週末、米軍が「テロ行為阻止」を目的に、アフガニスタンの首都カブールの空港周辺で空爆を実施したと発表されたほか、IAEAが報告書で「北朝鮮で原子炉の再稼働示す兆候を確認」と公表した。

そうした状況下、ドル/円は109.85円レベルで寄り付いたのち、しばらくは揉み合いをたどるなか週間安値の109.59円を示現した。そののちドルは切り返すと、同高値の110.41円まで急伸。しかし、勢いは続かず失速すると、週末に発表された注目の米雇用統計が予想よりも悪化したことなどを嫌気、さらにドル売りが進む展開となった。いわゆる「行って来い」の動きで、週間安値109.59円に面合わせし、週末NYは109.70-75円で取引を終えて越週している。
なお、先週は週間を通しておおむねドル安、円安。弱者同士の組み合わせであるドル/円は前記のような値動きをたどったが、たとえば豪ドル/円や豪ドル/ドル、NZドル/円やNZドル/ドルは週間を通して緩やかな右肩上がり。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「日本の政局」と「米ファンダメンタルズと金融政策」について。
前者は、週初から「自民党三役から二階氏を外すことで合意」や「週明け6日にも内閣改造・党人事」、「9月中旬に衆院解散の意向」、「自民幹事長に石破・河野・小泉氏が浮上」−−などといった観測報道が相次ぐなか、週末突然に「菅首相が総裁選への不出馬を表明」し、金融市場を混乱に陥れた。為替だけなく株式市場も、発言を受けて一時荒れ模様。なお、菅氏不出馬を受け、政局は一転して混とんとしてきた感を否めない。すでに出馬を表明していた岸田氏だけでなく、石破氏、河野氏、高市氏などが出馬する見込みで、総裁選は一気に予断を許さなくなった。

対して後者は、前週末のジャクソンホール会合・パウエルFRB議長講演がややハト派のトーンとなるなか、先週は週初から重要とされる米経済指標が連日発表され、それに一喜一憂する展開。なかでも週半ばに発表されたADP雇用統計が2ヵ月連続のネガティブサプライズとなり、市場の波乱要因となった。その後発表されたISM製造業景況指数や週間ベースの新規失業保険申請件数は逆に好数字となったものの、注目の米雇用統計は非農業者雇用数が事前予想プラス73万人に対し、プラス23.5万人にとどまり、週末には失望のドル売りがかさんでいる。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円相場は、結果的に「行って来い」。過去2週間程度推移していた109.41-110.26円という「小レンジ」を一時上抜けたものの、再び回帰しての越週となっている。ドルの上値トライは失敗、あるいは「ダマシ」だった可能性を否めない。そのため、今週は一転してレンジの下限トライ、109.41円割れを試すか。割り込めば109.11円や108.73円がターゲットになる。
マーケットで、もっとも注視されているものはこのあとも米ファンダメンタルズならびに金利動向。ただ、早期のテーパリングについては不透明感が漂っており、今週も発表される米経済指標や米地区連銀総裁などに一喜一憂する展開が続くだろう。それ以外では、誰が制するのか菅氏の後継者争いや、続々と誕生しているコロナウイルスの新株、アフガン情勢などに注意を払いたい。

テクニカルに見た場合、85ポイントだった「小レンジ」は109.41-110.41円という1円幅へとわずかに拡大したものの、ドル/円は依然としてレンジ内。引き続き「小レンジ」をめぐる攻防がまずは注視されそうだ。ただ、その外側には「中レンジ」の109.11-110.80円、さらに3円幅に近い「大レンジ」も存在している。チャートを見ると、時間的にもかなり煮詰まっておりそろそろ保ち合い放れが期待され、「大レンジ」はともかく、「小レンジ」だけでなく「中レンジ」もそろそろブレークする可能性も。

材料的に見た場合、中長期的には、気候変動問題でも米国との対立が観測された「中国情勢」や、現在4人が出馬に意欲を見せている自民総裁選を中心とした「日本の政局」、「アフガン情勢」、「新型コロナウイルス変異種(デルタ株・ミュー株)」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、8月の生産者物価指数などの米経済指標のほか、米地区連銀報告(ベージュブック)が発表される予定だ。また、それ以外でも米国ファクターは少なくないが、市場ではむしろECB理事会と金利発表など、欧州ファクターを警戒する声も多い。ユーロ/ドルがテクニカル的にも重要な状況にあるなか、状況次第で波乱の動きをたどる可能性もある。

そんな今週のドル/円予想レンジは、108.70-110.80円。ドル高・円安については、先週高値110.41円をめぐる攻防にまず注視。超えれば8月の月間高値110.80円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週安値で少なくとも2度下げ止まった109.58円が最初のサポート。割り込むと109.41円や109.11円を目指す。それも下回ると8月安値108.72円が意識されそうだ。

結局レンジ抜けられず、今週も基本小動きか

ドル円日足

※ポイント要約は編集部

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