『ショートカバー主導で急反発。来週は一巡後の反落リスクに要警戒』
〇今週の南ア円、週初7.16の安値をつけた後急伸、週末にかけ一時7.47をつける
〇先週の急落の反動、株価、商品市況の持ち直し、南ア中銀総裁のタカ派発言等が背景
〇週末FRBパウエル議長のハト派的発言も南アランドをサポート
〇テクニカルには転換線、基準線、200日線、21日線等上抜け地合い強いが、売りシグナルも継続
〇ファンダメンタルズも南ア経済の不透明感、中国の景気減速懸念等下落材料多い
〇南アランド円相場の反落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.25ー7.55
今週のレビュー(8/23−8/27)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初7.17円で寄り付いた後、早々に週間安値7.16円まで下落しました。しかし、先週末金曜日に記録した約5ヵ月ぶり安値7.12円をバックに下げ渋ると、@先週後半にかけての急落の反動(短期筋の利食いを通じてショートカバーが誘発)や、A伝統的金融市場のリスク選好ム―ド(株式市場・商品市況の持ち直し→新興国通貨全般に上昇圧力)、B南アフリカ中銀ナイドゥ副総裁による「インフレ見通しの落ち着きを踏まえれば段階的に金利正常化を進めることが可能」とのタカ派的な発言、CパウエルFRB議長のハト派的な発言(年内テーパリング開始を肯定しつつも、新型コロナウイルスなどの不確実要素を踏まえ、具体的な時期について言明せず。市場では米早期テーパリング観測後退→リスクアセット上昇→新興国通貨上昇の波及経路)が支援材料となり、週末にかけて週間高値7.47円(8/13以来の高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/28午前4時45分時点)では7.44円前後で推移しております。
来週の見通し(8/30−9/3)
南アランド円相場は、先週末金曜日に記録した約5ヶ月ぶり安値7.12円をボトムに反発に転じると、週末にかけて7.47円まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、200日移動平均線や21日移動平均線を上抜けするなど、地合いの強さを印象づけるチャート形状となっております。とは言え、上方には日々垂れ下がってくる「分厚い雲」が観測されている他、強い売りシグナルを示唆する「三役逆転」も継続しており、テクニカル的な視点では、下落トレンド継続中と判断できます(今週の急伸は下落トレンドの過程で見られる一時的な反発局面と整理)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@南ア国内における新型コロナウイルスの感染再拡大懸念や、A南アフリカ経済の先行き不透明感(今週発表された南ア6月景気先行指数、南ア第2四半期失業率は共に悪化)、B南アフリカと経済的な結び付きの強い中国の景気減速懸念、C国内から国外への資金流出圧力、D南ア中銀による早期利上げ観測の後退(南ア中銀ナイドゥ副総裁は今週「金利正常化を進めることが出来る」とのタカ派的な発言を行いましたが、南ア経済の先行き不透明感を考慮すれば早期利上げは難しいとの見方が優勢)など、南アランド円相場の下落を意識させる材料が残っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします。来週は8/31に予定されている南ア7月貿易収支以外に、南アフリカに関する経済イベントが予定されていないことから、米国経済イベントを睨みながらの神経質な相場展開が予想されます。特に9/3に予定されている米8月雇用統計が市場予想を上回る結果となった場合には、米早期テーパリング観測再燃→米長期金利上昇→米ドル高の経路で、南アランド円相場に強い下押し圧力が加わる可能性もあることから、来週はダウンサイドリスクに注意を要する1週間となりそうです(ショートカバー一巡後の反落リスクに警戒)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.25ー7.55
南アランド円日足
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