トルコリラ週報:『一巡後の反落リスクに要警戒。来週はトルコのインフレ指標に注目』(8/28朝)

トルコリラの対円相場は6/2に記録した約7ヵ月ぶり安値12.45円をボトムに反発に転じると、8/20にかけて一時13.27円まで上昇しました。

トルコリラ週報:『一巡後の反落リスクに要警戒。来週はトルコのインフレ指標に注目』(8/28朝)

『一巡後の反落リスクに要警戒。来週はトルコのインフレ指標に注目』

〇今週のトルコ円、週初12.90の安値をつけた後、リスク選好、国内指標の改善等に週後半13.22まで上昇
〇週末は反落して13.14レベル
〇トルコ円テクニカルには下値の堅さ印象づけるチャート形状
〇ファンダメンタルズは国内コロナ感染拡大、EU・米国と関係悪化、アフガン情勢緊迫化等不安材料残る
〇トルコ円反落をメインシナリオとして予想、来週の予想レンジ(TRYJPY):12.75ー13.25

今週のレビュー(8/23−8/27)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初12.92円で寄り付いた後、早々に週間安値12.90円まで下落しました。しかし、90日移動平均線に続落を阻まれると、@伝統的金融市場のリスク選好ムード(株高・商品高→投資家心理改善→新興国通貨上昇)や、Aジャクソンホール会合を控えたポジション調整(トルコリラのショートポジションの解消)、Bトルコ8月景気動向指数(結果112.2、前回112.1)及び、Cトルコ8月設備稼働率(結果77.1%、前回76.7%)の前月比改善、D米トルコ関係の改善期待(ブリンケン米公務長官がアフガニスタン問題を巡って、トルコが地域に於ける重要なパートナーであると発言)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値13.22円まで上昇しました。もっとも、8/20に記録した直近高値13.27円をバックに伸び悩むと、引けにかけて反落し、本稿執筆時点(日本時間8/27午前4時45分現在)では、13.14円前後で推移しております。

来週の見通し(8/30−9/3)

トルコリラの対円相場は6/2に記録した約7ヵ月ぶり安値12.45円をボトムに反発に転じると、8/20にかけて一時13.27円まで上昇しました。今週も節目13.00円台より上側での推移が継続するなど、底堅い動きが確認されます。ローソク足が一目均衡表基準線や転換線、90日移動平均線や21日移動平均線より上側で推移していること、強い買いシグナルを示唆する三役好転が成立していること等を踏まえれば、テクニカル的に見て「地合いは強い(下値は堅い)」と判断できます。

しかし、ファンダメンタルズ的に見ると、@トルコ国内の新型コロナウイルス感染再拡大懸念や、Aトルコ経済の先行き不透明感、BEU及び米国との関係悪化懸念(アフガニスタン問題を巡り対米関係が回復するとの見方がある一方、一部ではトルコがロシア製地対空ミサイルの追加購入を検討しているとの報道も確認されており予断を許さない状況)、Cエルドアン大統領による根強い利下げ圧力(同氏の方針に従わなかったカブジュオール総裁が更迭される場合も、中銀の独立性への疑念からトルコリラ売り材料と見做される恐れあり)、Dアフガニスタンを巡る地政学的リスク(アフガニスタンからの難民受け入れ問題)など、トルコリラの下落を意識させる材料が複数残っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(テクニカル的な強さを残しつつも、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むシナリオ)。尚、来週は8/31に予定されているトルコ7月貿易収支や、9/1のトルコ第2四半期実質GDP、9/3のトルコ8月消費者物価指数及び同生産者物価指数に注目が集まります。特に消費者物価指数が市場予想を下回る場合には、トルコ中銀の利下げ観測再燃を通じてトルコリラに強い下押し圧力が加わると考えられます。一方、消費者物価指数が市場予想を上回る結果となった場合でも、実質金利低下を通じて一巡後にトルコリラ売りに繋がる展開(当初は利下げ観測後退でリラ買いが進むも、一巡後は実質金利低下でリラ売りに波及する恐れあり)が想定される為、来週はダウンサイドリスクに注意を要する1週間となりそうです。

来週の予想レンジ(TRYJPY):12.75ー13.25

『一巡後の反落リスクに要警戒。来週はトルコのインフレ指標に注目』

トルコ円日足

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