FOMC後はドル安リラ高を背景に上昇、円高に押されるも高値を切り上げる
〇昨日のトルコリラ円、ドル安リラ高を背景に深夜12.98へ上昇、7/16高値12.97を上抜く
〇対ドル、ドル全面安でトルコリラ買い強まり深夜に高値8.41へ上昇、その後も高値圏を維持
〇昨日発表のトルコ経済信頼感指数上昇、2018年4月以来の高水準となる
〇観光収入の回復が経済全般の底上げとなるため、本日発表の観光関連の経済指標に注目
〇12.90以上での推移中は上昇余地あり、12.99台へ乗せてからは13.00から13.10のゾーンを試すとみる
〇12.90割れからは下向きとし、12.85割れからは12.83から12.80を試すとみる
【概況】
トルコリラ円の7月29日は12.98円から12.79円の取引レンジ。
7月29日未明の米FOMC後にドル円は下落したものの29日午後からは下げ渋りに入った局面で対ドルでトルコリラが上昇したために7月28日夜高値を上抜き、さらに7月16日高値12.97円も超える反騰となった。
7月19日夜から7月23日夜にかけてはドル/トルコリラが横ばい推移の中でドル円が上昇したために円安由来で上昇してきたが、7月26日から27日深夜にかけてはドル円の下落と同調して反落していた。28日夜への反発と29日午前への反落もドル円と同調した動きだったが、29日午後からはドル/トルコリラでのドル安リラ高により騰勢を強めている。
7月29日夜には一時的に12.79円まで下げる局面もあったものの買い戻されて深夜にはこの日の高値となる12.98円へ上昇、7月24日未明高値12.96円、7月16日高値も上抜いた。深夜以降は上昇一服だが30日朝も12.90円台を維持して確りしている。
【FOMC後のドル全面安でトルコリラも反騰】
ドル/トルコリラの7月29日は8.55リラから8.41リラの取引レンジ。
7月29日未明の米FOMC声明及び議長会見に対してはあまり反応せずにそれまでの横ばい推移を続けていたが、為替市場全般がドル安へ進む中で29日午後からはトルコリラへの買いも強まり、29日午後からの上昇で17時台には8.48リラをつけて7月16日高値8.46リラに迫った。29日夜にいったん8.55リラまで反落する場面もあったものの深夜にはこの日の高値となる8.41リラへと上昇して7月16日高値を上抜き、その後も8.45リラを挟んで高値圏を維持している。
ドル/トルコリラは7月26日午後に8.62リラへ一時的に下落したところ以外は8.55リラを中心として8.50リラ前後から8.60ドル前後までの狭いレンジでの持ち合いが続いてきたが、29日深夜への上昇で7月16日高値を超えて持ち合いから上放れとなり、6月25日の史上最安値8.79リラを起点とした揺れ戻しの上昇が二段目に入ってきたようだ。
今回の米FOMCでは6月に量的緩和縮小議論開始と利上げ想定時期を前倒ししたところからサプライズ的な踏み込みは見られなかったためにイベント通過感からドル安へと進んでいる。米連銀は量的緩和縮小の手法や時期についての議論に入ったようだが、パウエル米連銀議長は相変わらず雇用回復までには時間がかかり物価上昇は一時的との見方を継続して忍耐強さを強調している。8月下旬にジャクソンホール会合で議長講演があり、その段階ではより具体的な量的緩和縮小へのプロセスも示されると思われるが、早まった量的緩和縮小開始はないとの見方が優勢となり、株高基調も継続する中で為替市場はリスクオン優勢の情勢となっている印象だ。
ユーロドルは7月21日夕安値以降の高値を更新、ポンドドルも7月20日夜安値以降の高値を更新、豪ドル米ドルも7月21日夕安値以降の高値を切り上げている。南アランドも7月26日夕以降の上昇を継続しており、メジャー通貨、資源通貨、新興国通貨が総じて買われる中でトルコリラも買われている印象だ。
【トルコの経済信頼感指数、2018年4月以来の高水準に】
トルコ統計局が7月29日に発表した7月経済信頼感指数は100.1となり6月の97.8から上昇した。市場予想は横ばいからやや低下とみていたが予想を大幅に超え、2018年4月以来の100台到達となった。パンデミックが直撃した2020年4月には3月の93.1から52.4まで急低下したが、その後は持ち直しを続けてきた。感染拡大第三波により今年5月は92.6まで低下したものの感染収束と共に持ち直している。
セクター別では消費者部門が6月の81.7から79.5へ低下したものの、製造業部門は109.8から112.1へ上昇、サービス部門も108.5から114.8へ上昇、小売部門が105.7から109.6へ上昇、建設部門も82.4から86.3へ上昇した。全般的にはサービス部門の改善に勢いがあり小売や製造も堅調だが消費者心理はまだ停滞している状況で建設部門も回復途上という印象だ。
ワクチンの普及と共に海外からの観光客訪問数が増加すれば観光収入の回復で経済全般も底上げとなるところだが、変異株による世界的な感染再拡大の動きもありまだ予断が許されない状況だ。7月30日夕刻には4-6月期の観光収入と6月の観光客数等の発表があるので注目される。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月27日夜の下落で7月26日夕安値を割り込んだために7月28日午前時点では底割れによる弱気サイクル入りとしていたが、7月29日午後からの急伸で7月28日夜高値を超えたため、7月27日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は23日夜高値を基準とすれば28日夜から30日夜にかけての間と計測されるので既に反落注意期にあるが、サイクルトップ形成期の延長入りによる上昇余地もあるとみる。弱気転換は12.85円割れからとし、その場合は30日夜から8月3日深夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では29日午後からの上昇で遅行スパンが好転、先行スパンからも上抜けてきているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。高値更新が続かないと遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパン悪化からはいったん下げに入りやすいとみて安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は29日夜の上昇で70ポイント台へ到達したが、その後はややピークが切り下がっている。50ポイント以上を維持するうちは上昇余地ありとするが、29日深夜高値を超えても指数のピークが切り下がる場合は弱気逆行からの下落期入りを警戒し、50ポイント割れからは30ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.90円を下値支持線、12.98円を上値抵抗線とする。
(2)12.90円以上での推移中は上昇余地ありとし、12.99円台へ乗せるところからは13.00円から13.10円にかけてのゾーンを試すとみる。13.05円以上は反落注意とするが、12.90円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる.
(3)12.90円割れからは下向きとし、12.85円割れからは12.80円台序盤(12.83円から12.80円)を試すとみる。12.80円台序盤は買い戻しも入りやすいとみるが、12.90円以下での推移なら週明けは安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
7月30日
16:00 6月 貿易収支 (5月 -41.3億ドル)
17:00 6月 観光客数 前年同月比 (5月 3038.38%)
20:30 外貨準備高 7/23時点
8月02日
16:00 7月 イスタンブール製造業PMI (6月 51.3)
8月03日
16:00 7月 消費者物価上昇率 前月比 (6月 1.94%、予想 1.54%)
16:00 7月 消費者物価上昇率 前年同月比 (6月 17.53%、予想 18.50%)
16:00 7月 生産者物価上昇率 前月比 (6月 4.01%)
16:00 7月 生産者物価上昇率 前年同月比 (6月 42.89%)
※ポイント要約は編集部
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