米FRB地区連銀経済報告(ベージュブック)
昨日(2日)、FRBからベージュブックが公表されました。以下はその内容となっています。地区連銀は12地区で構成されており、報告内容期間は2021年5月25日以前までとなっています。内容的には前回よりも一段と成長が拡大し、価格上昇圧力が高まっていると見ています。
(全般的な経済活動)
米国経済は4月初から5月下旬にかけて緩やかなペースで拡大し、前回の報告よりは幾分早い伸び率となった。幾つかの地区ではワクチン接種率の増加や社会的制限の緩和によるポジティブな効果を挙げている。一方で、供給チェーン混乱による負の影響も指摘している。ワクチン接種率拡大の効果はおそらく消費支出(レジャー旅行や外食消費が消費カテゴリーの中で特に増加させる)に最も顕著に表れると思われる。軽自動車販売は堅調だが、厳しい在庫状態に強いられている。工場出荷は、厳しい供給チェーンによる生産混乱の中でも一段と増加した。製造業者らの報告では、配送遅延による原材料や労働不足が広がり、顧客に製品を届けるのが厳しくなっている。
同様の問題が建設業にも及んでいる。住宅建設業者は低い住宅借入金利に支えられて需要が強く、建設の稼働率はペースを越え、販売制限に繋がると指摘している。非住宅関連建設は全般的に緩やかなペースで拡大した。幾つかの地区での聞き取りで供給チェーンの混乱よるコスト引き上げを指摘し、幾つかのケースでは、計画の遅延が起きている。専門職やサービス関連の需要は緩やかに拡大した。一方で、港湾含む輸送サービスの需要は際立って強い。家計や企業の借入の増加に伴い、貸出額が緩やかに増加した。全般的に先行き見通しは変わっていないが、経済成長は堅調であると聞き取り先は楽観的にみている。
(雇用と賃金)
雇用人員の水準は堅調なペースで増加している。地区の2/3で、今回の報告期間中、控えめなペースで雇用拡大があったと報じている。残りの地区は雇用拡大が緩やかになったと指摘している。Covid-19の広がりが緩やかになり、雇用の伸びは、食品サービス・接客・小売で非常に強いものとなった。製造業者は幾つかの地区で雇用を拡大した。多くの企業で新規雇用が困難となり、とりわけ低賃金の時間給労働者、トラック運転手、熟練小売業者である。雇用志願者の不足は幾つかの企業で生産増を抑制し、中には営業時間低下に繋がっている企業もある。
全般的に、賃金の伸びは緩やかで、魅力的な雇用や雇用維持のためボーナス支給や初任給引き上げを申し出ている企業が増えている。聞き取り先では、先々労働需要は強いままであるが、供給は制約を受けると予想している。
(物価)
全般的に、物価上昇圧力は前回報告時よりも上がっている。小売価格は緩やかに上昇した。一方で、仕入れコストはより強く上昇している。仕入れコストは今後も全般的に上昇が続く。多くの聞き取り先では建設や製造業の原材料価格の急激な上昇を指摘している。加えて、貨物運送料、梱包、石油化学製品価格の上昇を指摘している。供給チェーン混乱が続くことでコスト上昇圧力を強めていると報告している。しかしながら、強まる需要により、幾つかの企業(例えば製造業・建設業・輸送業)では顧客に対し、そのコストの大部分を転嫁できることを可能にしている。先々を見ると、今後数ヶ月でコスト上昇に直面し、より高い価格を請求していくと予想している。
(各地区のハイライトは略)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
(上記出所:FRB HP)
為替相場はこのベージュブックを材料視する動きは無く小動きとなりました。米金利も小幅低下し、先行きの米経済拡大を織り込んでいるのかは、やはり金曜日の雇用統計にかかっている感じです。今日は前哨戦となるADP社民間雇用者数の発表が控えており、この辺りを手掛かりにしたいと思います。
下図はドル円の週足チャートです。年始からのドル高トレンドはA(=109円10銭)、3月高値からの抵抗線B(=110円20銭)の3角保合いの収斂が11週になりました。目先はここ7週間のC(=108円70銭)とD(=110円50銭)のドル高トレンドラインになっています。明日の雇用統計でAとBのどちらかを越えたらCとDを見ておき、ドル高トレンドを維持出来れば水色のE(=111円)のダブルトップ狙いになりそうです。逆にCを切ると、4月下旬の107円50銭が視野に入りそうです。
(2021年6月3日11:00、1ドル=109円65銭)
オーダー/ポジション状況
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