『政策金利据え置きも利下げ観測は根強い。リラ安基調が継続か』
〇トルコ円、週明け13.26まで上昇後、米土関係悪化、インフレ率上昇に週央にかけ13.05まで下げる
〇その後はトルコ中銀の政策金利据え置き、米長期金利低下に13.17まで持ち直して越週
〇トルコ円テクニカルには上値重いチャート形状
〇ファンダメンタルズも実質金利低下、トルコ中銀の利下げ観測等トルコ売り材料多い
〇トルコ円軟調推移をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):12.80ー13.40
今週のレビュー(5/3−5/7)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初13.18円で寄り付いた後、早々に週間高値13.26円まで上昇しました。しかし、一目均衡表基準線に続伸を阻まれると、@米トルコ関係の悪化懸念(バイデン米大統領は先週オスマン帝国時代のアルメニア人殺害を「ジェノサイド」と認定)や、Aトルコ国内のインフレ加速(トルコ4月消費者物価指数、トルコ4月生産者物価指数共に前月と比べて伸び率加速。CPIは約2年ぶり高水準)、B上記Aを背景とした実質金利の低下(トルコ国内からの資本流出を想起)が重石となり、週央にかけて、安値13.05円まで下落しました。もっとも、心理的節目13.00円をバックに下げ渋ると、Cトルコ中銀が主要政策金利の1週間物レポレートを19.00%に据え置いたことや、D米4月雇用統計が冴えない結果となったこと(米早期テーパリング観測後退→米長期金利低下→リスク選好ムード)が支援材料となり、結局13.17円前後まで持ち直しての越週となっております。
来週の見通し(5/10−5/14)
トルコリラの対円相場は、上値の重い展開が続いております。上方に一目均衡表基準線や転換線、21日移動平均線やボリンジャーミッドバンド等の主要レジスタンスポイントが密集している他、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転も継続するなど、テクニカル的に見て、地合いの弱さ(上値の重さ)を印象付けるチャート形状となっております。
ファンダメンタルズ的に見ても、@インフレ圧力の高進(今週発表されたインフレ指標は軒並み上昇→実質金利低下→トルコリラ売り。※従来まではインフレ高進に対して利上げカードをちらつかせることで実質金利低下の抑制を図っていたが、アーバル総裁更迭後は、利上げカードを切り辛くなったことから、インフレ高進は素直にトルコリラ売り材料として反応する傾向あり)や、Aトルコ中銀による利下げ観測(※インフレ圧力が落ち着き次第、エルドアン大統領の利下げ圧力に屈する形でカブジュオール総裁が利下げに踏み切る可能性あり。事実今週発表されたトルコ中銀会合の声明でも、前回盛り込まれていた「金融引き締めスタンスを維持する」との文言が削除)、B上記Aを背景とした資本流出圧力(政府・中銀への信頼性低下)、Cトルコ経済の先行き不透明感、D対米関係の悪化懸念など、トルコリラ売りを想起させる材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(来週は5/11に予定されているトルコ3月鉱工業生産、トルコ3月小売売上高、トルコ3月経常収支、トルコ中銀会合議事要旨に注目。冴えない結果となれば、心理的節目13.00円を割り込むシナリオも射程圏内)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):12.80ー13.40
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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