トルコリラ円見通し 6日の中銀金融政策決定会合控えて物価上昇は続く(21/5/6)

トルコリラ円は29日に13.38円まで高値を切り上げた後は軟調推移となり、5月5日には13.03円まで安値を切り下げている。

トルコリラ円見通し 6日の中銀金融政策決定会合控えて物価上昇は続く(21/5/6)

6日の中銀金融政策決定会合控えて物価上昇は続く

〇トルコリラ円、6日中銀金融政策決定会合を控え買い戻し、29日に13.38まで高値を切り上げる
〇29日以降は軟調推移となり5/5には13.03まで安値を切り下げる
〇対ドルでは5日夕刻に8.37へ下落、29日高値8.11からの下落基調続く
〇3日発表の4月消費者物価上昇率は前月比1.68%上昇、3月の1.08%から伸びが加速
〇6日の中銀金融政策決定会合、カブジェオール総裁のこれまでの発言通りなら利下げなし
〇中銀金融政策発表後に急落商状なら12.90前後、さらに12.80台前半へ下落の可能性も
〇中銀金融政策発表から強気反応なら4/29高値13.38試しへ向かうとみる

【概況】

トルコリラ円は4月26日夕刻安値で12.67円まで一段安となり3月22日暴落以降の安値を更新したが、13円割れに対する突っ込み警戒感と5月6日のトルコ中銀金融政策決定会合を控えての買い戻しで4月28日まで3日連続の日足陽線で戻して29日には13.38円まで高値を切り上げた。しかしその後は軟調推移となり5月5日には13.03円まで安値を切り下げている。
3月22日からの暴落で付けた3月30日安値13.01円から4月2日高値13.84円までいったん戻してから軟調推移に入り、4月16日から4月23日まで6日連続の日足陰線で下落して3月22日暴落以降の安値を更新したが、4月26日から4月29日への反発とその後の軟調な推移は4月2日への反発時とその後の失速開始時に近い印象がある。

ドル/トルコリラは5月5日夕刻に8.37リラへ下落、その後はやや持ち直しているものの4月29日高値8.11リラからの下落基調が続いている。4月26日夕刻に8.48リラへ下落して3月22日からの暴落で付けた3月30日安値8.45リラを割り込み昨年11月6日の史上最安値8.57リラ以来の安値となったところでいったん下げ止まった状況にあるものの、最安値更新への余裕が乏しい状況にある。

【トルコのインフレ進行続く】

5月3日に発表されたトルコの4月消費者物価上昇率は前月比で1.68%上昇となり市場予想の1.8%を下回ったものの3月の1.08%から伸びが加速した。前年同月比は17.14%上昇となり市場予想の17.3%をやや下回ったものの3月の16.19%から加速した。
4月の生産者物価上昇率は前月比4.34%上昇で3月の4.13%から加速、前年同月比は35.17%上昇で3月の31.2%から一段と加速した。

6日の中銀金融政策決定会合控えて物価上昇は続く

生産者物価の前年同月比は2018年9月に46.15%まで上昇した経緯がある。この時は2018年8月にかけてトルコリラが暴落して当時の史上最安値を更新した局面での通貨インフレによる上昇だった。2020年11月の中銀総裁交代から3会合連続で利上げが行われたことでその後のリラ暴落はいったん落ち着いたが、物価上昇はとどまらない。生産者物価の急上昇を消費者物価が追いかける構図で消費者物価の上昇も続いているが、コロナショック後の世界的な復興期における需給ギャップと原油・資源相場の上昇が生産者物価上昇を加速させている側面がある。そこで再び中銀総裁更迭となり利下げ支持派の総裁が就任したことによるリラ安の再開が輪をかけてきた印象もある。

【5月6日、中銀金融政策決定会合】

トルコ中銀は4月29日の中銀四半期インフレ報告において年末時点のインフレ率見通しを12.2%として従来予想の9.4%から引き上げた。2022年末のインフレ率については7.5%(前回7.0%)とした。カブジュオール総裁は「強い決意と忍耐で金融引き締めの姿勢を維持する必要がある」と表明した。
カブジェオール総裁は4月23日に、現在16%を超えているインフレ率が目標の5%に低下するまで金融引き締め策を維持すると述べたが、金利を現行水準から引き上げれば実体経済に悪影響が及ぶ恐れがあるとの認識を示した。また通貨防衛のために大規模なドル売り介入を実施したことにより外貨準備が大幅に減少したことについては、介入しなければリラ安を制御できずに借り入れコストが急騰していた可能性があったとして正当化した。

総裁は今年の利下げの可能性については「金融政策はデータに基づいて決定する」とし、「インフレは4月がピークとし、それ以後に下方トレンドに入る」とも述べている。仮にこれまでの発言通りとすれば、インフレ率が5%まで低下しないうちは利下げしないということになるが、エルドアン大統領は元来からインフレ率と政策金利の一桁を目指すとしており、当面は物価上昇率が低下に転じないうちは利下げに動かないだろうが、物価上昇率が低下し始めれば早々に利下げに動く可能性もあるところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月26日午後安値からの反騰が4月29日夕高値で一巡して下落期に入っており、4月30日深夜安値でいったんサイクルボトムを付けてやや戻したものの5月4日夜には30日深夜安値を割り込んでいるため、5月3日夕高値で直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしていると思われる。ボトム形成期は5日夜から7日深夜にかけての間と想定されるのでまだ一段安余地ありとする。13.15円超えからは強気転換注意として3日夕高値試しとするが、新たな強気サイクル入りは3日夕高値13.23円超えからとする。

60分足の一目均衡表では5月4日の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落している。先行スパンを上抜き返せないうちは一段安余地ありとして遅行スパン悪化中の安値試しとするが、先行スパンを上抜き返すところからが反騰入りの可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は4日夜から5日夕にかけての安値更新に際し指数のボトムがほぼフラットとなっているので強気逆行形成による戻りを試しやすい状況にあると思われる。60ポイントを超える反騰の後も50ポイント台を維持する展開となれば上昇再開感が強まるとみるが、50ポイント台に到達しても維持できないうちはもう一度30ポイント割れを試す可能性が残るとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。

(1)当初、13.00円を下値支持線、5月3日夕高値13.23円を上値抵抗線とする。
(2)13.15円以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは13円割れを目指す下落を想定する。13円以下はいったん買われやすいとみるが、中銀金融政策発表後に急落商状となる場合は12.90円前後、さらに12.80円台前半へ下落する可能性もあると注意する。
(3)13.18円超えから続伸の場合は5月3日夕高値13.23円試しへ向かうとみる。13.20円前後は反落注意とするが、中銀金融政策発表から強気反応となる場合は4月29日高値13.38円試しへ向かうとみる。13.30円以上は反落注意とするが、13.18円以上での推移なら7日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

5月6日
 20:00 トルコ中銀 週間レポレート (現行 19.0%、予想 19.0%)
 20:00 トルコ中銀 翌日物貸出金利 (現行 20.5%)
 20:00 トルコ中銀 翌日物借入金利 (現行 17.5%)
 20:00 トルコ中銀 後期流動性貸出金利 (現行 23.5%)
 20:30 週次 外貨準備高 4/30時点 グロス (4/23 479.5億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 4/30時点 ネット (4/23 112.2億ドル)
5月10日
 16:00 3月失業率 (2月 13.4%)

5月11日
 16:00 3月 鉱工業生産 前月比 (2月 0.1%)
 16:00 3月 鉱工業生産 前年同月比 (2月 8.8%)
 16:00 3月 小売売上高 前月比 (2月 3.4%)
 16:00 3月 小売売上高 前年同月比 (2月 4.6%)
 16:00 3月 経常収支 (2月 -26.1億ドル)
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨
5月17日
 17:00 4月 財政収支 (3月 238億リラ)

注:ポイント要約は編集部

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