米連邦公開市場委員会(FOMC)での議事録要旨
(2021年3月16日・17日開催分)
昨日、FOMC議事録の公表がありました。内容は米経済が前回の見通しより改善したが、まだウィルス変異種の不確実性要因もあるので、FRB使命(最大雇用とインフレ2%)を達成するにはこれまでの緩和状態を維持となりました。次回は4月28日(水曜日)に予定されています。
スタッフによる経済状況回顧
3月16・17日会合までに入手した情報によれば、2021年1Q・GDPは2020年4Qよりも、より早いペースで拡大していることを示唆している。それでもパンデミック前の水準までは回復していない。
・労働市場は1月・2月と改善した。しかし、2020年初の水準は下回っている。失業率は2月に6.2%まで下がった。ヒスパニックやアジア系の失業率は概して下がったが、アフリカ系は変わらなかった。
・PCEインフレで見ている消費者物価指数はまだ2%以下である。そのPCEインフレは1月末で年率1.5%だった。コアPCEも同1.5%だった。
・消費支出は1Qに明らかに増加した。これは財政支援による可能性が高いと思われる。3月以降も追加刺激策支援で拡大すると予想される。それでも消費者センチメントはパンデミック前の水準よりも下回っている。
戸建て住宅とその販売はパンデミック前の水準を越え、堅調である。しかしながら、入手したデータを見ると、この部門は好悪が混在している。戸建住宅着工は1月・2月は明らかに下がった。これはこの時期の極寒の影響による。
・企業の設備投資は2020年4Qに続き、2021年1Qは増加を続けている。鉱工業生産は堅調に伸びている。ただ、極寒により地域で差がある。
・実質政府支出は1Qに増加した。州や地方の支出も、雇用拡大により増加が見られる。
・海外経済はCovid-19の新たな感染拡大により、最近のデータからは経済減速が指摘されている。特に欧州と南アメリカである。それでも過去の経験から、社会的制限の下で上手く適応させている。
スタッフ経済見通し
スタッフにより準備された米経済見通しは、概ね1月時点よりはより強くなっている。実質GDPの伸びはスタッフが予想したものより年始から上昇した。これは予想より早い社会的制限の緩和や財政支援による家計の素早い反応を反映していると思われる。
・加えて、3月に可決し4月に実施される追加刺激策はスタッフが想定したよりも大きいものとなった。
・今年の実質GDPの伸びは堅固なものとなり、失業率は際立って下がると予想される。これは幅広いワクチン接種が社会的制限を一層緩和すると見られるからである。実質GDPは2022年、2023年には下がると予想されるが、それでもこの期間の潜在成長率よりは勝ると見られる。これは金融政策の高度な緩和状態を継続することで、失業率が歴史的水準まで下がることで導かれる。
入手したデータによれば、インフレはスタッフが予想したよりも幾分上昇した。全体とコアPCEは、今後数ヶ月したら、一時的に2%を越えることが予想されている。加えて、インフレは今年一時的に上昇すると見られる。それは生産がボトルネックとなり、供給制限が起きる現象が予想されるからである。今年の一時的な上昇後、インフレは来年2%を下回って推移し、2023年までには2%に届くことが予想される。
・スタッフは予想を取り巻く不確実性が高まっていくのかをみている。とりわけ、米国内外でより感染力の強いコロナウィルスの出現による不確実性が、経済見通しを下方リスクに傾かせると見ている。
参加者の現状と経済見通し
(会合参加者の経済状況見通しに関しての訳は略します。スタッフの見方とほぼ同じです)
・5年債や10年債の市場ベースのインフレ尺度は会合期間中も上昇したが、調査ベースのインフレ期待値は全般的にほとんど変わらなかった。それでも多くの参加者は昨年春の非常に低い水準のインフレから、委員会の目標に沿った道のりにインフレが進んでいることを指摘した。
・参加者は全体的な金融状況は依然として非常に緩和的であると指摘した。会合期間中に発生した長期債の利回り上昇については、一般的に経済見通しの改善、堅調なインフレ期待、米国債発行増期待などが反映していると見ている。多くの参加者は、多数の中小企業にとっては金融情勢(資金調達など)に厳しさが残っていることを認めた。2・3の参加者は高度な緩和状態は過剰なリスクテイクや金融不均衡を形成することに繋がることを強調した。
GDPや失業率の中期的見通しが改善したことは確認した。それでも見通しを取り巻く不確実性も高まっていると見ている。ワクチン接種の進行を含め、そして新しい感染力の強いウィルスに関連した状況に大きく依存することに同意した。
・金融政策のスタンスを考えるに、参加者はこの困難な時期に米国経済を支えるためにあらゆる手立てを使うことがFRBの使命であることを再確認した。それによって最大雇用と物価安定という委員会の法定目標を促進していく。
(具体的な金融政策決定事項に関する部分は略。尚、金融政策に関する投票は全員が賛成しています。)
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
南アランド円週報:『約1カ月ぶり安値を更新するなど上値の重い展開が継続中』(11/23朝)
南アランドの対円相場は、11/7に記録した約4ヵ月ぶり高値8.86円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、一時8.44円まで下落しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
トルコリラ円週報:『トルコ中銀は政策金利の据え置きを決定。一巡後の反発に期待』(11/23朝)
トルコリラの対円相場は、9/16に記録した史上最安値4.10円をボトムに切り返すと、11/15にかけて、約3カ月半ぶり高値4.56円(8/1以来の高値圏)まで上昇しました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2021.04.08
ドルは下値正念場、続落なら「本格調整」も(4/8夕)
8日の東京市場はレンジ取引。109円後半における一進一退で、明確な方向性はうかがえなかった。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。