ドル円見通し FOMC後はドル全面安、ドル円は16日夜安値を割り込む(21/3/18)

ドル円は109円を割り込んで108.73まで下落、16日夜安値108.76円を割り込んだ。18日早朝には107.69円まで安値を切り下げている。

ドル円見通し FOMC後はドル全面安、ドル円は16日夜安値を割り込む(21/3/18)

FOMC後はドル全面安、ドル円は16日夜安値を割り込む

〇ドル円、FOMC声明・議長会見後109円を割り込み108.73まで下落
〇FOMC政策金利と量的緩和政策を現状維持、2023年末までの実質ゼロ金利維持を強調
〇パウエル議長は長期金利上昇を一時的なものとして特段の抑制姿勢示さず
〇ユーロドル持ち合い状況から急伸、ポンド/ドルも12日午前高値に迫る反騰
〇NYダウは前日比189.42ドル高、ナスダック総合指数は5.63ポイント高
〇インフレ率見通しは2.4%に上方修正、米連銀の当面の目標2%超に達する見通し
〇108.50割れからは108円台序盤試しへ向かう
〇109円超えからは3/17深夜高値109.32試し

【概況】

ドル円は3月18日未明のFOMC声明・議長会見前に米長期債利回りの上昇によりドル高感が強まる中で109円台序盤へ上昇、深夜には109.32円を付けて3月15日夕高値109.36円に迫っていたが、FOMCが早期に金融引き締めへ向かう可能性を否定する内容だったことで声明発表・議長会見後は米長期債利回りもいったん低下に転じて為替市場はドル全面安となり、ドル円は109円を割り込んで108.73まで下落、16日夜安値108.76円を割り込んだ。18日早朝には107.69円まで安値を切り下げている。
FOMCは政策金利と量的緩和政策を現状維持とし、2023年末までの実質ゼロ金利が維持される見通しを改めて強調して最近の長期金利上昇についても一時的なものとした。声明発表後、ドルは全面安となり、ユーロドルは直前の1.190ドル前後の持ち合い状況から急伸して3月12日早朝高値に迫り、ポンド/ドルも12日午前高値に迫る反騰となった。また豪ドル米ドルは12日午前高値を超える急伸となり、南アランドやメキシコペソなどのコモディティ通貨も直前の下落から反騰に転じた。

米商務省が17日夜に発表した2月の住宅着工件数は前月比10.3%減の142万1000戸となり2か月連続でマイナスとなり、市場予想の156万戸を下回った。先行指標の住宅着工許可件数は168万2000戸となり前月比10.8%減となり市場予想の175万戸を下回った。FOMC前段階だったために市場の反応は限定的だった。
3月17日のNYダウは前日比189.42ドル高(0.58%高)、ナスダック総合指数は5.63ポイント高(0.40%高)、SP500指数は前日比11.41ポイント高(0.29%高)といずれも小幅上昇した。

【FOMCは金融政策現状維持、早期利上げ否定するも米長期債利回りは高止まる】

米10年債利回りは3月17日夜に一時1.69%近辺へ急伸して昨年3月以降の水準を超えて昨年1月下旬以来1年2か月振りの高水準に達した。FOMC声明発表後にはいったん1.62%まで急低下し、債券買い一巡からやや持ち直して前日比0.03%上昇の1.65%で終了した。30年債利回りは前日比0.04%上昇の2.42%となった。急上昇は一服だが、依然として1.60%台にあり高止まりといえる。

米FRB(連邦準備制度理事会)は連邦公開市場委員会=FOMCで政策金利と量的緩和規模の継続を全会一致で決定した。メンバーによる金利予想ではゼロ金利は少なくとも2023年末まで続けるとの見通しを維持したが、2023年末までに少なくとも1回の利上げを想定したメンバーは前回の5人から7人に増えた。
2021年のGDP見通しは6.5%へ大幅に引き上げられたが、新型コロナウイルス危機からの持ち直しには時間がかかり「完全な景気回復には程遠い」とし、「雇用が完全に戻るまで忍耐強く金融緩和を維持する」とした。
2021年の失業率は従来の5.0%から4.5%へ上方修正され、インフレ率見通しは従来の1.8%から2.4%に上方修正された。米連銀は当面の目標としてインフレ率を2%超としてきたが、目標に達する見通しとなった。

声明発表後の会見においてパウエル議長は最近の長期金利上昇について「無秩序な動きで金融が引き締まることを懸念している」と述べたが、長期金利上昇を一時的なものとして特段の抑制姿勢は示さなかった。
FOMC声明及び議長会見内容についてサプライズはなかったが、早期の金融引き締め開始への市場の懸念はひとまず後退した。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月17日深夜に3月15日夕高値へ迫ったもののわずかに届かずに失速して16日深夜安値を割り込んだため、3月15日夕と3月17日深夜の両高値をダブルトップとして下落期に入った印象だ。16日深夜安値を基準として安値形成期は19日夜から23日夜にかけての間と想定されるので、17日深夜高値を超えないうちは一段安警戒とする。ただし17日深夜高値を超える反騰が発生する場合は新たな上昇期に入るとみて18日夜から23日夜への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では3月18日未明の急落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落したため、遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。強気転換は両スパン揃って好転するところからとみる。
60分足の相対力指数は3月18日未明の急落で30ポイント台へ低下した。その後も反騰気配がみられないので30ポイント割れへ進む可能性が残る。強気転換には50ポイント超えの反騰が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。

(1)当初、108.50円を下値支持線、17日深夜高値109.32円を上値抵抗線とする。
(2)109円以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは一段安余地ありとし、108.50円割れからは108円台序盤試しへ向かうとみる。108円以下は反騰注意とするが、109円以下での推移なら19日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)109円超えからは3月17日深夜高値109.32円試しとし、高値更新からは1月6日底からの上昇継続として109円台後半を目指すとみる。また17日深夜高値を超えた後も109円台を維持しての推移なら19日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3/18(木)
日銀・金融政策決定会合(1日目)
09:30 (豪) 2月雇用統計・新規雇用者数 前月比 (1月 2.91万人、予想 3.00万人)
09:30 (豪) 2月雇用統計・フルタイム就業者数 前月比 (1月 5.9万人)
09:30 (豪) 2月雇用統計・労働参加率 (1月 66.1%、予想 66.2%)
09:30 (豪) 2月雇用統計・失業率 (1月 6.4%、予想 6.3%)
19:00 (欧) 1月 貿易収支・季調済 (12月 275億ユーロ、予想 290億ユーロ)
19:00 (欧) 1月 貿易収支・季調前 (12月 292億ユーロ)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 17.00%、予想 18.00%)

21:00 (英) イングランド銀行(BOE、英中銀) 税策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%)
21:00 (英) 英中銀資産買取プログラム規模 (現行 8950億ポンド、予想 8950億ポンド)
21:00 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
21:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 71.2万件、予想 70.0万件)
21:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 414.4万人、予想 487.0万人)
21:30 (米) 3月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (2月 23.1、予想 23.0)
23:00 (米) 2月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (1月 0.5%、予想 0.3%)
26:00 (米) 財務省インフレ指数連動10年債入札

3/19(金)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.10%)
08:30 (日) 2月 全国消費者物価 前年同月比 (1月 -0.6%、予想 -0.4%)
08:30 (日) 2月 全国消費者物価 生鮮除く 前年同月比 (1月 -0.6%、予想 -0.4%)
08:30 (日) 2月 全国消費者物価 生鮮・エネルギー除く 前年同月比 (1月 0.1%、予想 0.2%)
09:01 (英) 3月 GFK消費者信頼感 (2月 -23、予想 -20)
09:30 (豪) 2月 小売売上高速報 前月比 (1月 0.6%、予想 0.6%)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
16:00 (独) 2月 生産者物価 前月比 (1月 1.4%、予想 0.8%)

注:ポイント要約は編集部

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