米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利について
(東京時間では2021年3月18日木曜日夜中未明)
NY時間3月17日14時(水曜日)にFOMC会合の記者会見発表要旨が公表され、その後パウエルFRB議長の定例記者会見が予定(同14時半)されています。今回の市場予想は以下の通りになっています。
(1)政策金利
(3月17日 8時30分現在の予想)
現在のFFレート「0.0〜0.25%」⇒据え置き
(エコノミストレンジは0.00〜0.25%で全員据え置き予想)
昨年末から米景気回復期待の高まりやバイデン新大統領の追加経済対策法案成立に、米中長期債の金利が上がり、一方で短期金利はFRBがゼロ金利で抑え込んでいますので、イールドカーブがスティープ化しています。前回FOMC会合時(1月下旬)には10年債金利が1%前後でしたが、先週金曜日には1.642%まで上昇しています。為替は年始からドル高傾向を鮮明にし、1月初の102円台から109円台まで買われています。この間NYダウも連日の史上最高値更新を記録しています。景気回復時の良い金利高で株買い・ドル買い・金利高になっています。今後10年債金利が2%方向に近づく動きとなれば、一部では資産アロケーションの変更が起こりそうで、株から債券への資金シフトも視野に入りそうです。
今日現在までの金融市場はFRBのFFレート据え置きで、リスク資産買いを加速させたいと予想しているようです。すなわち、これまでFRBが見立ての「米経済が今後、半年後に著しく改善したとしても、忍耐強く政策を変更しない」との予想です。
今回の注目点は
@12月に再確認した2024年まではFFレートの引き上げをしないとの表現を維持するか。
A債券購入は暫く現状維持で続けるとしていたが、今回も金額変えずに継続するのか。一部エコノミストは債券購入額を縮小すべきとみています。
Bまた、全体の債券購入額を変えずに、不動産担保債券の購入を縮小し、その分を中長期米国債に振り替えるか。(最近の中長期金利上げに歯止めをかけるのか)
Cあるいは経済回復が一層早まる可能性を示唆し、テーパリング時期について言及するのか。
D経済見通しをどの位上方修正するのか。特にインフレ見通しについての変更があるか。
Eドットプロットは大きく変わってくるのか。
などがポイントになりそうです。また、パウエルFRB議長の記者会見での発言は重要で、最近の市場の経済見通し変化に対するコメントに注目しているようです。
尚、CMEのFedwatchは前回1月会合時では、2021年9月会合までは据え置き、2021年11月3日のFOMC会合では1%の人が0.25%の利上げ、12月15日会合で2.9%の人が0.25%利上げ予想に留まっていました。
今回3月16日時点では、4月会合で0.25%利上げが4.3%、6月会合では0.25%利上げが6%、0.5%利上げが0.1%、9月会合では0.25%利上げが8.8%、0.5%利上げが0.3%にも上っており、前倒しで利上げを予想する向きが増えています。
(2)最近のFRB関係者の主な発言
(最近2週間分程度)
3月6日
ブラード・セントルイス連銀総裁
「2021年には堅調な経済が見込まれる」「労働場にはまだ多くの改善が必要」
3月6日 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁
「2023年までに完全雇用に戻れれば素晴らしいこと」「現在の金利上昇は懸念していない」
3月5日
パウエルFRB議長
「FRBの現在の金融スタンスは適切」「インフレの上昇は一時的な可能性高い」「依然としてFRBの目標には程遠い」
3月4日
ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁
「利上げがあるとすれば2023年末に向けてだろう」
エバンス・シカゴ連銀総裁
「金融市場は前向きな見通しを織り込みつつある」「インフレ率が3%まで上昇した場合は異常だが、上昇しても問題はない」
3月3日
ブレイナード理事
「経済は目標にはほど遠い」
3月2日
バーキン・リッチモンド連銀総裁
「イールドカーブの状況は予想に対する自然の反応」
2月26日
ウィリアムズ・NY連銀総裁
「基調的なインフレ圧力は続く」「さらなる大幅な進展まで債券購入を維持」
2月25日
ジョージ・カンザスシティ連銀総裁
「テーパリング議論は時期尚早」
パウエルFRB議長
「インフレ目標を達成するには3年以上かかる」「現在の債券購入ペースを維持する」
2月24日
パウエルFRB議長
「インフレに関しては1970代の過ちを繰り返すつもりはない」
2021年の委員会メンバーは以下です。
パウエルFRB議長、ウィリアムズ副議長、トーマス・バーキン、ラファエル・ボスティック、
マイケル・ボウマン、ラエル・ブレイナード、リチャード・クラリダ、メアリー・デーリー、
チャールズ・エバンス、ランダル・クォールズ、クリストファー・ウォラー
ユーロドルの日足チャートです。ラインA(=1.2100)を抜いてからユーロ安が鮮明になっています。B(=1.2210)は年始高値からのユーロ安トレンドライン上限で、そこから平行に下したC(=1.1870)、D(=1.1820)が目先の下値目途になります。万一、Dを切った場合にはドル全面高の傾向が続く可能性が高まります。今日のFOMCで今後の方向性がある程度明確になると思います。
(2021年3月17日10:00、1ユーロ=1.1901ドル)
オーダー/ポジション状況
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