上値の重い展開が継続か。来週はトルコ中銀会合に注目
〇今週のトルコ円国内インフレ懸念に週明け早々に13.98まで急落
〇その後はトルコのレイオフ禁止大統領令2か月延長、米長期金利低下により一時14.62まで急伸
〇トルコ円テクニカルの地合い悪化、ファンダメンタルズもトルコ売り材料増える
〇3/18トルコ中銀金融政策決定会合は見方分かれ波乱含み
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):13.85ー14.65
今週のレビュー(3/8−3/12)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初14.38円で寄り付いた後、@トルコ国内におけるインフレ懸念(先週発表されたトルコ2月消費者物価指数の伸び率加速)や、A上記@を背景とした催促相場(トルコ中銀に利上げを催促する形でトルコリラを売り込む動き)が重石となり、週明け早々に週間安値13.98円まで急落しました(1/26以来、約1ヶ月半ぶり安値圏)。
しかし、一目均衡表「雲」に続落を阻まれると、Bトルコ政府による「レイオフ禁止の大統領令を3/17から2ヵ月間延長する」との一部報道や、C米長期金利低下を背景としたドル売り・円売り圧力(リスク選好ムード再燃→ドル安・円安→株高→新興国通貨高)、D短期筋のショートカバー、EOECDによるトルコ経済成長率見通しの上方修正(2021年分を2.9%から5.9%へ上方修正)が支援材料となり、週後半にかけて、一時14.62円まで急伸しました。もっとも、一目均衡表基準線に続伸を阻まれると、引けにかけて再び反落。F米長期金利高騰に伴うリスクオフ再燃も重石となる中、本稿執筆時点(日本時間3/13午前5時30分現在)では14.41円前後まで反落する動きとなっております。
来週の見通し(3/15−3/19)
トルコリラの対円相場は、2/16に記録した約半年ぶり高値15.28円をトップに反落に転じると、今週初にかけて、約1ヶ月半ぶり安値となる13.98円まで急落しました(その後持ち直すも、週末にかけて再び反落)。一目均衡表基準線やボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、一目均衡表三役好転も終了するなど、テクニカル的に見て、地合いの弱さを印象付けるチャート形状となりつつあります(昨年11/6を起点に始まった上昇トレンドの終焉を連想)。
ファンダメンタルズ的に見ても、インフレ圧力の高進を背景に実質金利が押し下げられていること(来週3/18のトルコ中銀・金融政策決定会合に向けて、利上げ催促を目的としたトルコリラ売りが活発化する恐れあり)や、トルコ経済の先行き不透明感、米長期金利高騰に伴うリスクオフ再燃への警戒感(来週公表される米ドットチャートで利上げ見通しが前倒しされる恐れ)など、トルコリラ売りを連想させる材料が増えつつあります(中国当局による引き締め観測も過剰流動性相場の逆流を想起)。
以上を踏まえ、当方では、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は、3/12のトルコ1月鉱工業生産および1月小売売上高、3/15のトルコ2月財政収支、3/18のトルコ中銀・金融政策決定会合に注目が集まります。特に会合では、現時点で追加利上げ派と据え置き派で市場の見方が割れている為、発表直後のボラティリティ上昇に注意が必要でしょう(当方は政策金利の据え置きを予想している為、発表後はトルコリラの失望売りが強まる展開を想定)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):13.85ー14.65
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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