ドル/円はレンジ上抜け、105円台回復も!?
〇先週のドル円、週半ばに上抜けた後上げ足加速、週間高値104.94まで一気に値を上げる
〇バイデン氏の尖閣諸島関連発言に対し中国サイドが「中国固有の領土だ」と猛反発
〇ロイター「EU大統領、ワクチン供給遅延について法的措置検討」と報じる
〇NYダウ、テクニカルには2万8000ドル台まで続落ならさらに下値余地拡大の可能性
〇今週は105円超え、さらに昨年10月高値106.11に接近、上抜けていく展開を期待
〇今週のドル/円予想レンジ103.70-106.10
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドルが小じっかり。週央以降上げ幅を拡大させると、レンジを上抜け週末には105円近くまで達する局面も観測されていた。
前週末には、バイデン新大統領をはじめ、1月20日に発足した米国の新政権の閣僚らによる外国高官との電話会談が相次ぎ話題に。また、新型コロナウイルスの感染者が「米国だけで2500万人を超えた」ことが明らかになり、懸念の声が広がっていた。
そうした状況下、ドル/円は103.70-75円で寄り付いたのち、しばらくは冴えない値動き。103.55-95円といった40ポイント程度のレンジ取引をたどるも、週の半ばに上抜けると、週末にかけて上げ足が加速。年初来高値などを次々突破し、そのまま週間高値の104.94円まで一気に値を上げた。ただ105円は超えられず、最終盤はやや調整的な動きに押され、週末NYは104.70-75円へと小緩み越週している。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「バイデン新米政権の動き」と「新型コロナ」について。
前者は、1月20日に発足したバイデン新米大統領を中心に、閣僚らが積極的な外交・電話会談に動いたことが話題に。バイデン氏はカナダのトルドー首相と会談をしたことを皮切りに英国のジョンソン首相、フランスのマクロン大統領などとも会談を行ったうえ、日本の菅首相とも日本時間同月28日未明に30分ほど会談を実施したという。なお、そのなかでバイデン氏が「尖閣諸島は防衛義務を定めた日米安保条約第5条の適用対象だと明言した」とされるが、のちに中国サイドが猛反発。「尖閣諸島は中国固有の領土だ」と強く主張する事態になっている。
対して後者は、米ジョンズ・ホプキンス大学の集計で、新型コロナウイルスの感染者は世界全体でついに1億人を超えたことが明らかになった(1月27日)。5000万人を突破したのが去年11月であり、わずか2ヵ月半あまりで倍増した計算だ。それもあり、欧州を中心に依然としてロックダウン(都市封鎖)などの措置をとったり、措置の延長を決定したりする国が多く、まだまだ厳しい状況は続いていると言わざるを得ない。一方、そうしたなか新たに「ワクチンの接種や供給」が問題となりつつあるようで、市場の警戒感が高まっていた。一例だけ挙げると、週末にはロイターが「EU大統領、ワクチン供給遅延について法的措置検討の考えを示した」と報じている。今週も、関連報道などには要注意。
<< 今週の見通し >>
ドル/円相場は1月27日終了時点、つまり残り2日を残し、月間変動幅はわずか1.80円にとどまっていたものの、28日と29日に巻き返しの動きが入り、月間変動も2.30円ほどで終了している。年明け早々に「フラッシュクラッシュ」と呼ばれるドルの暴落をたどった2019年を持ち出すまでもなく、ここ数年の1月相場は総じて活況だったことと比べると、今年は期待外れで「静か」だったと言わざるを得ない。ただ、それでも月末にかけてレンジ放れを達成するなど、次の動意に向けた萌芽が観測されているだけに、今週以降その流れをしっかりと継いでいきたいところだ。
一方、今週は週末の1月雇用統計を中心に注目の米経済指標発表が相次ぐなか、前述した「新型コロナ」に関するニュースや「バイデン新米政権の動き」に要注意。また、先週末にかけ大きく値を崩し、週末終値ベースでも3万ドルの大台を下回ってきたNYダウなど米株の動きも注目だろう。テクニカルには2万8000ドル台まで続落すると、さらに下値余地が拡大する可能性もある。
テクニカルに見た場合、過去半年程度ドルの上値を阻んできた一目均衡表の先行帯の雲の上限や、移動平均では90日線が位置する104.35円前後を「しっかり」上抜けてきた。再三再四報じているように、ここ数年の相場は「ダマシ」が多いのが気掛かりだが、基本的なリスクはやはりドル高方向か。今週は、先週超えられなかった105円を超えるだけでなく、昨年11月高値の105.68円や同10月高値の106.11円などに接近、もしくは上抜けていく展開が期待されている。
材料的に見た場合、中長期的には再び激化の兆しのうかがえる「米中の対立」やそれだけにとどまらない「様々な中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「トルコ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種など」、「バイデン米大統領による政権運営」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、1月のISM製造業景況指数や同雇用統計といった非常に重要な米経済指標が発表される予定だ。先週発表された2020年の米GDPが予想通りながら、「74年ぶりのマイナス成長」となったことが、ネガティブサプライズとして捉えられた面もみられていただけに今週も米指標に対する関心が非常に高い感は否めない。
そんな今週のドル/円予想レンジは、103.70-106.10円。ドル高・円安については、先週超えられなかった105円レベルの攻防にまず注視。超えれば移動平均の200日線も近い昨年11月高値105.68円が視界内に入ってくる。
対するドル安・円高方向は、これまで強い抵抗で、先週末にかけて上抜けてきた一目均衡表の先行帯の雲の上限などが位置する104.30-35円が、今度はサポートとして寄与するのか否かに注目だ。再び割り込んでしまうと、ズルズルと104円割れまでドル安が進行する危険性もある。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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