トルコリラ円見通し 1月18日安値からの上昇基調を維持だが上値も重くなる(21/1/26)

トルコリラ円は1月25日夜に14.06円まで上昇して1月18日夕安値13.74円以降の戻り高値を切り上げた。

トルコリラ円見通し 1月18日安値からの上昇基調を維持だが上値も重くなる(21/1/26)

トルコリラ円見通し 1月18日安値からの上昇基調を維持だが上値も重くなる

〇トルコリラ円、1/25夜14.06まで上昇、1/18夕安値13.74以降の戻り高値切り上げる
〇1月製造業信頼感指数、コロナショック前の水準回復、1月設備稼働率はコロナショック前の水準に迫る
〇製造業系は概ね復調しているが、トルコ最重要産業である観光業の回復期待は鈍い
〇トルコリラ円、年末から14円を挟んで前後0.2円強での持ち合い相場
〇トルコリラ、暴落商状から出直り今後は全般的な新興国通貨動向を意識しながらの展開に入るか
〇13.93割れ回避のうちは上昇余地あり、14.02超えから14.06試し、高値更新から14.10を目指すとみる
〇13.93割れからはいったん下げに入るとみて、13.90から13.85への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円は1月25日夜に14.06円まで上昇して1月18日夕安値13.74円以降の戻り高値を切り上げた。
1月15日から18日にかけてのドル高局面でドル高リラ安となったことやエルドアン大統領による高金利批判発言により1月14日深夜高値14.10円から18日夕安値13.74円まで下落したが、その後はドル高一服と1月21日のトルコ中銀金融政策発表を前にした買い戻しで持ち直してきた。
1月21日のトルコ中銀金融政策決定会合では政策金利が17%に据え置かれたものの、インフレ進行等により必要になれば追加利上げもあり得ると声明で引き締め姿勢の継続を強調したことで市場もエルドアン大統領による利下げ要求発言よりもアーバル新総裁の姿勢を評価して21日夜には14.04円まで高値を切り上げた。その後は14円を挟んだ持ち合いでの推移だが、18日以降は1月20日朝安値13.83円、22日夕安値13.91円と安値を切り上げており、25日夜に14.06円まで上昇した後のドル高局面での反落においても13.95円までの下落にとどまって底上げを継続している。

【トルコ経済、製造業は堅調だが観光の復調には時間がかかる】

1月25日に発表された1月の製造業信頼感指数は107.0となり12月の106.8から上昇、前月比は2.8%上昇となった。昨年3月のコロナショック前の2月が106.9であり、4月に66.8まで急低下したが、その後は徐々に持ち直しを続けておりコロナショック前の水準を回復した。
1月の設備稼働率は75.4%で12月の75.6%からは若干低下したが昨年4月に61.6%まで低下したところからは持ち直しており、コロナショック前の2月の76.0%に迫った状況にある。

トルコリラ円見通し 1月18日安値からの上昇基調を維持だが上値も重くなる

製造業系は感染拡大時のロックダウンの影響も解消して概ね復調しているが、変異種による世界的な感染拡大が止まずに入国規制が各国で強化されているためにトルコにとって最重要産業である観光業の回復への期待は鈍いままだ。1月29日には10−12月期の観光収入、12月の観光客数等の発表があるが、いずれも低調な数字が見込まれている。12月の観光客数については前年同月比でマイナス67%と予想されており11月のマイナス61.9%からさらに鈍化する見込みだ。

【14.00円を中心に前後0.2円強の値幅での持ち合い】

11月6日に11.99円まで急落して史上最安値を更新した後は中銀総裁と財務相更迭による金融政策正常化期待でトルコリラ円は反騰に入り、1月7日には14.25円まで高値を切り上げてきた。しかしその後は1月18日に13.74円まで反落したところからは持ち直しているものの新たな高値更新へは進めず、20日以降は14円を挟んで前後1円に満たないレンジでの推移となっている。年末からは12月31日安値13.70円から1月7日高値14.25円までのレンジ内であり、14円を挟んで前後0.2円強での持ち合い相場の範囲内といえる。
トルコ中銀も2会合連続で利上げののち、1月21日は現状維持としたことで当面の利上げによるリラ高は材料的に一服となっている。ひとまず歴史的なリラ暴落が収まっているので、ここから先は新たなトルコリラ暴落不安が発生しない限りは全般的な新興国通貨動向を意識しながらの展開に入ってゆくと思われる。

新興国通貨ではメキシコペソが1月21日から25日まで3日間連続の下落となり、南アランドも12月25日高値の後は新たな高値更新へ進めずに下落基調に入っている。ブラジルレアルも12月前半からは下落基調であり、1月14日へいったん戻したところから再び下落に転じてる。
年初まではバイデン政権発足による大規模経済対策への期待、主要国の実質ゼロ金利と量的緩和拡大継続による過剰流動性による株高、為替市場での投機通貨買いという流れで推移してきたが、バイデン政権発足へのご祝儀相場も一服しやすい状況の中で新興国通貨買いにも一服感が出ていることは、暴落商状から出直ってきたトルコリラにとっても上値を抑えられやすい状況に入ってきているのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月18日夕安値を起点として上昇期に入ってきたが、20日深夜に14.01円まで上昇したところから21日午後に13.89円までいったん下げてから一段高したために22日時点では21日午後安値を起点として新たな上昇期に入ったとした。また高値形成期は20日深夜高値を基準として25日夜から27日深夜にかけての間と想定した。25日夜へ高値を切り上げてから失速しているので既にサイクルトップを付けた可能性もあるが、25日朝安値13.93円を割り込まないうちは14.02円超えからの上昇再開余地ありとし、13.93円割れからは弱気サイクル入りとみて26日午後から28日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では18日からのジリ高基調が続く中でジグザグの推移のために遅行スパンは実線と交錯を切り返しているが、先行スパンに対しては22日夕及び25日深夜の下落時には一時的に割り込んでも切り返しを続けてきた。このため先行スパンを一時的に割り込んでも早々に回復するうちは上昇余地ありとするが、先行スパン転落と遅行スパン悪化が重なる場合は下向きとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は高値を切り上げるところでは70ポイントに届かず、50ポイントを割り込んだ後は持ち直している。26日午前序盤では50ポイントを割り込んでいるため、50ポイント超えからは上昇再開とみるが、40ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、1月25日朝安値13.93円を下値支持線、25日夜高値14.06円を値抵抗線とする。
(2)25日朝安値割れ回避のうちは上昇余地ありとし、14.02円超えからは14.06円試しとし、高値更新からは14.10円を目指すとみる。14.10円以上は反落注意とするが、14円台を維持しての推移なら27日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)25日朝安値割れからはいったん下げに入るとみて13.80円台後半(13.90円から13.85円)への下落を想定する。13.87円以下は反騰注意とするが、25日朝安値を割り込んだ後も13.95円以下での推移なら27日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

1月28日
 16:00 1月経済信頼感 (12月 86.4、予想 82.2)
 20:00 トルコ中銀金融政策会合議事要旨
 20:30 週次外貨準備高 1/22時点 (1/15時点 479億ドル)
1月29日
 16:00 12月貿易収支 (11月 -50.3億ドル)
 16:00 10−12月期観光収入 (7−9月期 40.4億ドル、予想 36.0億ドル)
 17:00 12月観光客数 前年比 (11月 -61.93%、予想 -67.0%)
2月1日
 16:00 1月イスタンブール製造業PMI (12月 50.8、予想 51.2)
2月3日
 16:00 1月消費者物価 前年同月比 (12月 14.6%、予想 13.8%)
 16:00 1月消費者物価 前月比 (12月 1.25%、予想 0.6%)
 16:00 1月生産者物価 前年同月比 (12月 25.15%、予想 24.4%)


注:ポイント要約は編集部

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