米長期債利回り急上昇一服で104円を割り込む
〇ドル円、米長期金利低下に転じ、12日深夜から104円割り込む
〇米10年債利回りは1.13%台、30年債利回りも1.87%へ共に低下
〇ユーロドルは下げ渋り持ち合いから深夜に反騰、1.220台まで戻す
〇ポンド円は1月8日深夜高値を超え、昨年9月22日以降の最高値更新
〇ドル円の6日からの反騰は一時的、戻り一巡から下げ再開へと向かい始める可能性も
〇103.50割れからは103円前後への下落を想定
〇104円超えから続伸に入る場合は11日深夜高値104.39試し
【概況】
ドル円は米長期債利回りの急上昇を背景に1月6日午前安値102.59円から上昇に入り1月11日深夜には104.39円まで高値を切り上げてきた。12日も104円台序盤で確りしていたが新たな高値更新へ向かうには慎重な動きとなり、深夜からは米10年債の大量入札を無難に通過したことから米長期債利回りが低下に転じたことでユーロやポンド、豪ドル等が上昇反応を見せ、ドル円も104円を割り込んだ。
【米10年債入札堅調、ドル反落】
1月12日には380億ドルの米10年債入札が行われたが、旺盛な買いで確りし最高落札利回りは1.164%となった。市中の米10年債利回りは一時1.18%台まで続伸していたものの入札堅調を見て1.13%台まで低下した。米30年債利回りも1.91%台まで続伸していたがその後は1.87%へ低下した。
米10年債利回りは1月4日時点で0.90%台だったところから急上昇に入り、6日に1.05%を付けて1%の大台に乗せ、8日には1.12%、11日に1.15%へと大幅上昇したことで為替市場もドル高感が強まる展開を強いられた。12日からの米国債大量入札スケジュールも意識されていたのだが、12日の入札を無難に通過したことでやや過剰なドルの買い戻しが一服、ユーロ買い等へと風向きが変わった印象だ。
米長期債利回りが反落したことをきっかけに12日深夜以降はドル売りが再燃。ユーロドルは1月9日夜高値1.2348ドルで昨年3月以降の最高値を更新していたところから1月11日深夜安値1.2131ドルまで下落してきたが、12日は下げ渋り持ち合いから深夜に反騰に入り1.220ドル台到達まで戻した。
ポンド/ドルも1月4日夜に1.37027ドルまで上昇して昨年3月以降の最高値を付けてから下落に転じていたが、11日深夜安値1.3451ドルから反騰に転じ、1.3650ドルを超えて1月4日高値以来の水準まで回復した。また豪ドル米ドルも1月6日高値0.7819ドルで昨年3月以降の最高値を更新してから1月11日深夜安値0.7665ドルまで下落していたが12日の日中を下げ渋り12日深夜からの反騰で0.776ドル台へ上昇した。
ドルストレートでのドル安再開感が強まる動きとなる中、クロス円ではユーロ円がユーロ高と円高の相殺で横ばい推移にとどまったものの、ポンド円は1月8日深夜高値を超えて昨年9月22日以降の最高値を更新、豪ドル円も80.60ドル台を回復して1月8日高値に迫る等概ね上昇した。
1月12日深夜からの米長期債利回り低下が一時的なものにとどまって上昇基調が続くのか、いったん落ち着き処を探る下落基調に入るのか、判断するには早計だが、米長期債利回りが急伸する前の為替市場は株高=リスクオンでの投機通貨買い・ドル安の図式で推移しており、株高基調が今後も継続してゆけば金余りによる株買い・投機通貨買いの投資家心理も継続となり、昨年3月以降のユーロ等の上昇基調も継続しやすくなるのではないかと思われる。そうなればドル円の1月6日からの反騰も一時的なものにとどまり、昨年3月以降繰り返してきた概ね2か月から3か月周期での短期的なリバウンドからの一段安と同様に、戻り一巡から下げ再開へと向かい始める可能性もあるところと思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月6日深夜の反騰で4日深夜高値を上抜いたために7日午前時点では6日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとしたが、8日夜に小反落してから一段高したために12日朝時点では8日夜安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクル入りしている可能性があるとした。12日深夜からの反落では8日夜安値割れには至っていないものの1月6日午前安値以降では最大の下げとなっているため、11日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りと仮定する。8日夜安値を基準として安値形成期は13日夜から15日夜にかけての間と想定するが、長期債利回り動向によっては短期的な下落にとどまって反騰入りする可能性もあるので、104円超えを強気転換注意とし、11日深夜高値超えからは新たな強気サイクル入りとみて14日夜から18日夜にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では12日深夜からの反落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落しているので、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとし、先行スパンからの転落中は一時的に遅行スパンが好転してもその後に悪化するところからは下げ再開を疑う。
60分足の相対力指数は7日深夜高値から8日夕、11日夜へと高値を切り上げてくる過程で指数のピークが連続して切り下がる弱気逆行となっていたが、11日深夜からの下落で30ポイント割れまで突っ込んだ。このため50ポイント以下での推移が続くうちはまだ一段安余地が残るとみる。また小反発した後に安値を切り下げる際に指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られればその後の反騰入り注意とみるが、相場の安値切り下げに対して指数のボトムも切り下がるうちはさらに一段安してゆきやすいとみる。強気転換には50ポイント超えが必要と思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、103.50円を下値支持線、104.00円、次いで1月11日深夜高値104.39円を上値抵抗線とする。
(2)104円以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは一段安余地ありとし、103.50円割れからは103円前後への下落を想定する。103円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、104円以下での推移が続くうちは14日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)104円前後は戻り売りにつかまりやすいとみるが、104円超えから続伸に入る場合は11日深夜高値試しとし、高値更新からは一段高に入るため105円を目指す上昇を想定する。
米長期債利回り動向、為替市場全般もまだ波乱含みの可能性があるので、上下に大きく振れる可能性のあるところと注意して臨機応変に対処したい。
【当面の主な予定】
1/13(水)
18:00 (欧) ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、発言
19:00 (欧) 11月 鉱工業生産 前月比 (10月 2.1%、予想 0.3%)
19:00 (欧) 11月 鉱工業生産 前年同月比 (10月 -3.8%、予想 -3.2%)
22:30 (米) 12月 消費者物価指数 前月比 (11月 0.2%、予想 0.4%)
22:30 (米) 12月 消費者物価指数 前年同月比 (11月 1.2%、予想 1.3%)
22:30 (米) 12月 消費者物価コア指数 前月比 (11月 0.2%、予想 0.1%)
22:30 (米) 12月 消費者物価コア指数 前年同月比 (11月 1.6%、予想 1.6%)
24:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) ブレイナードFRB理事、講演
28:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
28:00 (米) 12月 月次財政収支 (11月 -1453億ドル)
28:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
1/14(木)
未 定 (中) 12月 貿易収支・米ドル建て (11月 754.2億ドル、予想 700.0億ドル)
未 定 (中) 12月 貿易収支・人民元建て (11月 5071.0億元、予想 4664.0億元)
06:45 (NZ) 11月 住宅建設許可件数 前月比 (10月 8.8%)
08:50 (日) 11月 機械受注 前月比 (10月 17.1%、予想 -6.7%)
08:50 (日) 11月 機械受注 前年同月比 (10月 2.8%、予想 -15.5%)
08:50 (日) 12月 国内企業物価指数 前月比 (11月 0.0%、予想 0.2%)
08:50 (日) 12月 国内企業物価指数 前年同月比 (11月 -2.2%、予想 -2.2%)
22:30 (米) 12月 輸入物価指数 前月比 (11月 0.1%、予想 0.7%)
22:30 (米) 12月 輸出物価指数 前月比 (11月 0.6%、予想 0.6%)
22:30 (米) 週間新規失業保険申請件数 (前週 78.7万件、予想 78.5万件)
22:30 (米) 週間失業保険継続受給者数 (前週 507.2万人、予想 494.0万人)
23:00 (米) ローゼングレン・ボストン連銀総裁、講演
25:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、パネル討論会司会
26:30 (米) パウエル米FRB議長、プリンストン大学で講演
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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