米長期債利回り急上昇で反騰するも株高ドル安基調継続で反落
〇ドル円、6日深夜に103.44まで反騰、7日朝に102.94まで下落したが午前序盤は103円台を回復
〇ジョージア州の上院議員決選投票で民主党が2議席を獲得、上下院のねじれは解消
〇米ADP発表の12月全米雇用報告は非農業部門民間就業者数が前月比12万3000人減少
〇NYダウ前日比437.80ドル高と大幅上昇し史上最高値を更新、ナスダック総合指数は78.17ポイント下落
〇SP500指数は0.57%高と上昇、米債券市場で債券売りとなり米10年債利回りが一時1.05%まで急上昇
〇103円を上回るか割り込んでも回復するなら上昇再開余地あり、103.44超えから103.90への上昇を想定
〇102.75割れから102.59試し、底割れから下落期入りとみて102円試しへ向かうとみる
【概況】
ドル円は1月6日午前に102.59円まで下落して1月4日夜安値102.71円を割り込む一段安に入っていたが、米長期債利回りの急上昇から6日深夜には103.44円まで反騰して1月4日朝及び深夜の戻り高値を上抜いた。しかしその後は反落に転じて7日朝には102.94円まで下落した。7日午前序盤は103円台を回復しているものの一段安入りからの急反騰と反落という乱高下のため、方向感を掴みにくい状況となっている。
米メディアはジョージア州の上院議員決選投票で民主党が2議席を獲得したと報じた。バイデン民主党は上院で50議席を確保し、副大統領の1票を加えて多数派となり上下院のねじれは解消した模様。
米大統領選の公式集計を行う連邦議会建物に多数のトランプ大統領支持者が侵入して一部が暴徒化したために審議が中断された。ワシントン市は夜間外出禁止令が出された。数千人のトランプ支持者が議会議事堂周囲に集結し、一部が乱入したといい死者も出ている。政治的な混乱は続くものの市場への影響は限定的だった。
米ADPが発表した12月全米雇用報告では非農業部門民間就業者数が前月比12万3000人減となり市場予想の8万8000人増に反してマイナスとなった。前月比でのマイナスは昨年4月以来8か月ぶりだが、感染拡大が収まらないことで小売りやレジャー産業での雇用喪失が目立ち、景気回復期待が鈍る状況を反映している。
【株高債券安、米10年債利回り1%超え】
1月6日のNYダウは前日値比437.80ドル高と大幅上昇して3営業日ぶりに史上最高値を更新した。ジョージア州での米上院選決選投票で2議席とも民主党優勢との報道により米上下院のねじれが解消してバイデン政権の経済対策も進むとみて強気された。一方ではバイデン政権による大手IT企業への規制を強化するのではないかとの懸念からアップルが3.4%安となるなどハイテク株が売られてナスダック総合指数は前日比78.17ポイント安と下落した。SP500指数は0.57%高と上昇したため、米債券市場では株高による債券売りの反応となり、米10年債利回りは前日の0.95%から一時1.05%まで急上昇した。
米長期債利回り上昇によるドル買い圧力が働き、6日夜序盤にかけて昨年3月以降の最高値を更新していたユーロドルが深夜にかけて急落し、ドル円は逆に午前安値から1円近い上昇となった。だが、NYダウの史上最高値更新によるリスク選好感は継続したため、深夜にかけてのドル買いが一巡するとその後はユーロドルが反騰、ドル円が反落する展開となった。
リスク選好的なドル安基調の継続か、米長期債利回り上昇によるドル高へ流れが変わるのか、ドル円としても見極める必要が出てきた印象だが、ドル円は深夜への反騰幅の半値以上を削る反落となり、ユーロドルも6日夜高値に迫るところへ戻し、豪ドル米ドルも深夜への小反落を消化して高値更新を伺う動きを見せる等、昨年3月以降の全般的なドル安基調はなお継続的と思われる。このためドル円も103円割れの状況が続き始めれば6日深夜への反騰を一時的なものとして下落再開感が強まるのではないかと思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月5日深夜に1月4日夕安値を割り込む一段安となったために6日午前時点では4日深夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして7日午後から11日夕にかけての間への下落を想定した。また103円手前を上値抵抗とし、強気転換は4日深夜高値超えからとしたが、6日深夜の反騰で4日深夜高値を上抜いた。このため6日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとするが、すでに半値以上を削っているため6日深夜高値でサイクルトップを付けて下落期に入っている可能性がある。
102.75円以上での推移中は上昇余地ありとし、6日深夜高値超えからは7日の日中から11日朝にかけての間への上昇を想定するが、102.75円割れからは下げ再開を警戒して6日午前安値試しとし、底割れからは弱気サイクル入りとして11日午前から13日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では6日深夜の反騰で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いた。その後は反落しているものの両スパン揃っての好転を維持している。先行スパンからの転落を回避するうちは上昇余地ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパン転落からは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は6日深夜の上昇で70ポイント台後半へ急上昇したがその後は50ポイント台まで失速している。50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは60ポイント超えから上昇再開の可能性があるが、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを目指す流れと考える。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、102.75円を下値支持線、1月6日深夜高値103.44円を上値抵抗線とする。
(2)103円を上回るか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇再開余地ありとし、6日深夜高値超えからは12月28日深夜高値103.90円を目指す上昇を想定する。103.65円以上は反落警戒圏とみるが103円台を維持しての推移なら8日も高値を試す余地があるとみる。
(3)102.75円割れからは6日午前安値102.59円試しとし、底割れからは新たな下落期入りとみて102円試しへ向かうとみる。102円前後はいったん買い戻されやすいとみるが、102.75円を割り込んだ後も103円以下での推移なら8日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
1/7(木)
09:30 (豪) 11月 住宅建設許可件数 前月比 (10月 3.8%、予想 2.0%)
09:30 (豪) 11月 貿易収支 (10月 74.56億豪ドル、予想 62.00億豪ドル)
16:00 (独) 11月 製造業新規受注 前月比 (10月 2.9%、予想 -0.5%)
16:00 (独) 11月 製造業新規受注 前年同月比 (10月 1.8%、予想 2.1%)
19:00 (欧) 12月 経済信頼感 (11月 87.6、予想 90.0)
19:00 (欧) 12月 消費者信頼感確定値 (速報 -13.9、予想 -13.9)
19:00 (欧) 11月 小売売上高 前月比 (10月 1.5%、予想 -3.4%)
19:00 (欧) 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 4.3%、予想 0.8%)
19:00 (欧) 12月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (11月 -0.3%、予想 -0.3%)
19:00 (欧) 12月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (11月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 貿易収支 (10月 -631億ドル、予想 -652億ドル)
22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 78.7万件、予想 80.0万件)
22:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 521.9万人、予想 520.0万人)
23:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
24:00 (米) 12月 ISM非製造業景況指数 (11月 55.9、予想 54.6)
26:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
27:00 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、Q&A参加
1/8(金)
08:30 (日) 11月 全世帯消費支出 前年同月比 (10月 1.9%、予想 -1.0%)
14:00 (日) 11月 景気先行指数(CI)速報値 (10月 94.3、予想 96.6)
14:00 (日) 11月 景気一致指数(CI)速報値 (10月 89.4、予想 89.4)
16:00 (独) 11月 貿易収支 (10月 194億ユーロ、予想 196億ユーロ)
16:00 (独) 11月 経常収支 (10月 225億ユーロ、予想 240億ユーロ)
16:00 (独) 11月 鉱工業生産 前月比 (10月 3.2%、予想 0.7%)
16:00 (独) 11月 鉱工業生産 前年同月比 (10月 -3.0%、予想 -2.3%)
19:00 (欧) 11月 失業率 (10月 8.4%、予想 8.5%)
22:30 (米) 12月 雇用統計・非農業部門就業者数 前月比 (11月 24.5万人、予想 5.0万人)
22:30 (米) 12月 雇用統計・失業率 (11月 6.7%、予想 6.8%)
22:30 (米) 12月 雇用統計・平均時給 前月比 (10月 0.3%、予想 0.2%)
22:30 (米) 12月 雇用統計・平均時給 前年同月比 (10月 4.4%、予想 4.5%)
24:00 (米) 11月 卸売在庫 前月比 (10月 1.1%、予想 -0.1%)
24:00 (米) 11月 卸売売上高 前月比 (10月 1.8%)
29:00 (米) 11月 消費者信用残高 前月比 (10月 72.3億ドル、予想 85.0億ドル)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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