トルコリラ円レポート月曜版
〇トルコリラ円週間安値が15.50、高値15.67と10年間で2番目に狭い値幅の一週間
〇政策金利は予想を裏切っての据え置き、ただドルトルコの反応は鈍くほぼドル円からのみの動きに終始
〇トルコリラここ2週間はまったくの凪相場、今週もレンジ継続か
〇トルコ円15.50レベルをサポート、15.80レベルをレジスタンスとする流れ予想
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが「政策金利が予想通り(0.25%利下げ)になる前提で、15.40レベルをサポートに15.80レベルをレジスタンスとする流れ」を見ていました。実際のレンジは、安値が15.50レベル、高値が15.67レベルと一週間のレンジがわずか17銭!と過去10年間でも昨年12月16日週の13銭に続いて2番目に値幅の狭い週足を記録しました。トルコリラ円で、しかも政策金利イベントがあってこのレンジは驚きです。
そして、その政策金利発表では大方の予想を裏切って、なんと現状維持の8.25%(予想8.00%)と、エルドアン大統領の顔色を見ていると言われているハト派中銀総裁らしからぬ決定となりました。これまで9会合連続で利下げしてきたトルコ中銀ですが、先週も中銀決定会合が最大の注目点でした。既にインフレ率よりも低い政策金利で更なる緩和が予想されていたにも関わらず、週初から対ドルではほとんど動きが無く、現状維持発表後も動きは見られずと、トルコリラ円での動きはほぼドル円の動きだけで決定していたと言えます。
トルコリラ市場は5月の取引規制強化以降もそれなりに動いていたのですが、ここ2週間はまったくの凪相場が続いています。市場参加者が何を待っているのかはわかりませんが、既に半月動いていないことから、今週はそろそろ動きが出てもおかしくはありません。材料的には30日の貿易収支、1日の製造業PMI、3日のCPIとPPIと今週は比較的重要な指標が多い週となります。貿易収支、PMIは冴えない数字で当然という見方をされがちですから、中銀による現状維持決定後のCPIが最も注目されそうです。
先月時点でCPIは年率で11.39%と政策金利よりも3%ほど高い水準でしたが、果たしてCPIが先月より下がってくるのかどうか、それによって次回以降の中銀スタンスを占う材料となりそうですし、少なくとも11%以上での推移ということであれば、中銀の緩和もいったん打ち止めという見方でよさそうです。
またトルコは先日セーフツーリズム認証プログラム(国際機関による旅行の安全を保証するプログラム)を紹介し、7月からは海外からの旅行客に対しては安価な保険料で一定の医療費がカバーされるパッケージを提供します。観光収入を重視するトルコとしても出来る限りのことをして、海外からの旅行客を誘致したいようですが、こうした取り組みがワークすればトルコリラにとっては好材料となるでしょう。
テクニカルには何も変わっていませんが、いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
先週の値幅の狭さが際立っていますが、下は15.50、上は15.80というレンジが6月11日以降続いています。今週もこのレンジを抜けだすことは無さそうですが、米国での感染者増が米国株安となると新興国通貨にもリスクオフの動きとなって影響が出そうですから、外部要因として米国の感染者数と株式市場にも目を向けながら、今週ももみあい継続と見ていてよいと思います。
上記のレンジを今週もそのまま引っ張ってきて、15.50レベルをサポートに、15.80レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
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