トルコリラ円見通し 3月3日深夜高値の後は新たな高値更新へ進めず、シリア情勢混沌(20/3/5)

2日夜、3日夕、4日午前と安値を切り上げているが、3月3日深夜高値17.81円の後は新たな高値更新へ進めずにいる。

トルコリラ円見通し 3月3日深夜高値の後は新たな高値更新へ進めず、シリア情勢混沌(20/3/5)

【概況】

トルコリラ円は2月26日未明安値で17.83円まで下落して1月6日安値17.94円を割り込み、2月21日から28日までは世界連鎖株安の拡大によるリスク回避的な売りに押されて6日間続落となり、週明けの3月2日朝には17.08円まで安値を切り下げた。
3月2日以降は世界連鎖株安一服でリスク回避感が再び緩んだとしてトルコリラ円も持ち直しに入った。
3月2日朝安値の後は2日夜、3日夕、4日午前と安値を切り上げているが、3月3日深夜高値17.81円の後は新たな高値更新へ進めずにいる。

新型コロナウイルスの感染拡大問題への悲観で先週は世界連鎖株安となり、リスク回避感から新興国通貨は売られた。ドル円も106円台まで急落した。トルコリラ円は対ドルでのリラ安とクロス円での円高に押される展開を強いられたが、今週はひとまず株安一服によりトルコリラ円の急落も収まっているところだ。
しかし感染拡大は今週も一段と深刻化しており、NYダウが凡そ千ドル規模で乱高下を繰り返す中でもドル円の戻りは鈍く、トルコリラ円も当面の安値を出し切って市場心理が好転して反騰入りしているという印象には至らないところだ。

イスタンブール100株価指数は2月27日から28日への2日間で8%以上の暴落となっていたが、3月2日に1.24%高、3日に3.63%高と戻した。しかし3月4日は再び失速して0.38%安で終了している。1月22日高値124536.63から2月28日安値99331.99まで暴落後、3月4日高値11289.65まで戻した流れはNYダウの暴落と今週の反騰を後追いしているが、暴落幅の凡そ半値を戻したところで上値が重くなった印象であり、感染拡大による世界景気見通しの悪化懸念が強まれば再び世界連鎖株安と同調した下落に見舞われかねないと懸念される。
ドル/トルコリラは3月2日に6.2615リラの高値を付けた後はドル高一服により4日まで下落している。2019年5月高値6.2539リラを上抜いたためにチャート上の上値抵抗線は2018年8月の7.2169リラまで切り上がっているため、目先はドル高リラ安一服でも、さらに高値を更新し始める場合はリラ売りに拍車がかかりやすいと警戒される。

【シリア情勢、3月5日のロシア・トルコ首脳会談を見守る】

2月3日からシリアのアサド政権軍とトルコ軍は大規模な軍事衝突に入り、その後も双方が空爆や砲撃を繰り返して戦局が拡大している。
エルドアン大統領は2月末までにアサド政権軍が停戦合意ラインへ退かない場合は宣戦布告する姿勢を示してきたが、その一方でロシアとの協議も繰り返して停戦を探っている。3月5日にはエルドアン大統領とプーチン大統領の首脳会談がモスクワで行われるため、そこで状況が打開できるのかどうか注目されるところだが、シリアでの戦闘は日増しに激化している。
3月4日にはクルド民族主義民兵組織の人民防衛隊(YPG)を主体とするシリア民主軍がトルコ軍の攻撃に対するシリア・アサド政権の対応を批判する一方でトルコ軍侵攻への抵抗に参加すると表明した。その一方でトルコ軍の支援を受ける国民軍はYPGの勢力地帯を砲撃し、アル=カーイダ主導のシリア反体制派とアサド政権軍の武力衝突も激化している。

トルコとシリアが全面戦争に突入する場合はアサド政権の後ろ盾であるロシアとトルコの衝突となり、中東の地政学的リスクが一挙に高まる可能性もある。また全面戦争突入が回避される場合でも、シリア難民の欧州への流入問題が深刻さを増す可能性もある。
エルドアン大統領は3月2日に、トルコへの移民数百万人が間もなく欧州に向かうと警告し、EUはトルコの方針を批判している。トルコとシリアの対立に対してEUがトルコを積極的に支援しないなら国境を開放して大量の移民を送り込むという脅しでもある。大量の移民がギリシャ経由でEUへ流れ込めば、2015年の様にEU各国での政治的危機も再発しかねない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月24日夜安値を割り込んで底割れによる弱気サイクル入りとなっていたが、3月2日朝安値からの反発が続いたために3月3日午前時点では3月2日朝安値を直近のサイクルボトムとしてリバウンドに入っているとした。3月3日深夜へ戻り高値を切り上げてから反落していたため、4日午前時点では既にサイクルトップを付けた可能性があるとした。
3月4日時点で弱気転換目安とした3日夕刻安値17.31円を割り込んでいないものの、3月2日朝安値から3日を経過しているので、3日深夜高値を上抜く場合は新たな強気サイクル入りとするのを妥当とみて3月3日深夜高値を直近のサイクルトップとする。ボトム形成期は3月5日朝から9日朝にかけての間と想定し、3日深夜高値を上抜く場合は新たな強気サイクル入りとして6日夜から10日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では、3日深夜への上昇で先行スパンを突破し、その後も上抜いた状況を維持している。5日午前時点では遅行スパンも好転している。3日深夜高値を上抜く場合は一段高入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、17.50円を割り込むと先行スパンからの転落となるので下げ再開として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は50ポイント以上を概ね維持して推移しているので、50ポイント以上を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとするが、45ポイントを割り込む場合は下げ再開として30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、17.50円を下値支持線、3月3日深夜高値17.81円を上値抵抗線とみておく。
(2)17.50円以上での推移中は高値更新余地ありとし、3月3日深夜高値を上抜く場合は18円試しを想定する。17.90円以上は反落警戒とし、3日深夜高値を上抜いた後に17.65円を割り込むところからは下げ再開とみる。
(3)17.50円割れからは下げ再開とみて17.25円前後への下落を想定する。17.25円以下は反発注意だが、さらに続落の場合は3月2日安値17.08円割れを目指す流れと考える。また17.50円以下での推移が続く場合は6日も安値試しを続けやすいと考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

3月10日
 16:00 12月失業率 (11月 13.3%)
3月11日
 16:00 1月経常収支 (12月 -28億ドル)
3月13日
 16:00 1月鉱工業生産 (12月 8.6%)
 16:00 1月小売売上高 前月比 (12月 1.1%)
 16:00 1月小売売上高 前年比 (12月 11.0%)

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